古代遺跡攻略7
「ぐおおおん!」
ヒカリがデカ竜姿になる。
「いくのだ! ズバッ、ズバッ、ズバッ、ズバッ!」
ヒカリの周りに炎、岩、氷、雷の玉が浮かび上がる。
「なら僕も!」
ヒカリの様子を見て、コウも同じく四つの魔法を同時に展開してみせる。
「どぉりゃあー!」
魔法が次々とオーガに襲いかかる。
オーガも斧を振って抵抗を見せるものの、連続して飛んでくる魔法全てを撃ち落とすことはできない。
オーガに当たった魔法は爆発を起こし、轟音を響かせる。
爆発が黒煙に変わり、オーガの上半身を覆い隠す。
「やったれ、トモナリ!」
この隙を逃してはならない、とトモナリがオーガに飛びかかる。
一撃で戦いを終わらせるつもりで剣を高く振り上げた。
「守る!」
「‘二本でダメなら三本で。ダーリンの邪魔はさせないわよ’」
黒煙うごめき、オーガの斧が飛び出してくる。
攻撃態勢に入って無防備なトモナリに襲いかかる斧をメイリンとユシルが止める。
黒い剣も取り出して三本の剣とユシルのシールドが斧を阻んでいた。
カッコよく止めはしたものの、正直ギリギリだった。
内心では受け流せばよかったとメイリンが思ったことは秘密である。
「はああああっ!」
トモナリはオーガの頭を目掛けて真っ直ぐに剣を振り下ろす。
かなり重たい手応えだった。
相当頭蓋骨が分厚いのか、剣を持つ手が痺れるほどの反動を感じつつもトモナリは剣を振り切る。
頭から胸にかけて大きく斬り裂かれ、血が噴き出した。
「うーわ……すごい生命力……」
頭が真っ二つにされれば大体どのモンスターだろう即死である。
しかしオーガは斧を落とし、頭を手で挟み込んでまるでくっつけようとしている。
「まさか……くっつかない、よな?」
ここまででオーガに再生力を感じてはこなかった。
けれどもくっつかないとも断定しきれず、みんなでオーガの様子を固唾を呑んで見守る。
「くっつい…………」
「てねぇな」
オーガの腕がダラリと下がる。
一瞬頭がくっついたようにも見えたのだけど、オーガの体がぐらりと揺れた瞬間に再び裂けてしまう。
今度は血を噴き出すこともなくドロリと血が流れ落ちていき、オーガはそのままゆっくりと後ろに倒れた。
「……だいしょーり! なのだ!」
「なのだ!」
オーガが死んだことを確認して、デカ竜ヒカリが勝利のポーズを決める。
ユシルをヒカリの頭に乗っかって同じポーズをする。
「ふぅ……結構大変だったな」
純粋な能力押しのオーガだった。
割と強くはあったものの、Aクラスには及ばないといった感じであった。
ここにもう一つスキルでも乗っかっていたらかなり大変だっただろう。
「トモナリ!」
「ん?」
いつの間にかミニ竜に戻っているヒカリが何かを抱えてトモナリのところに飛んできた。
「あそこにあったのだ!」
「それって……ゴーレムの心臓?」
ヒカリが持ってきたのはハートの形をした宝石。
少し前に使ってしまったゴーレムの心臓と同じもののように見えた。
玉座の上に置いてあったらしく、嬉しそうに持ってきていた。
「ゲートの報酬ってところかな? おっと……これは」
軽く地面が揺れた。
普通の地震という可能性もあるが、トモナリたちは振動がただの地震ではない可能性が頭をよぎっていた。
「もしかしたらこの島、消えるかもな」
同化現象にも段階がある。
完全に同化が進んでしまうと同化した現象は消えないのだけど、同化の初期段階で攻略すると同化と消えてしまうのだ。
島が現れるなんて同化現象は初めてであり、攻略したら消えるのかどうかも分からない。
しかし消えてしまえばここは海のど真ん中。
「戻ろう。ここが沈んだり消えたりしたら大変だ」
古代遺跡の島に異変が起こったということは攻略に成功した証でもある。
トモナリたちはオーガの死体をインベントリに回収して、慌てて古代遺跡から脱出した。
キャンプに戻り、そこから攻略したことを伝えて慌ててキャンプを引き上げて艦船に撤収。
「古代遺跡が崩れていく」
丸一日ほど経って、大きな振動と共に古代遺跡が崩壊してしまった。
「ただ……島は残るみたいだな」
古代遺跡は崩壊したけれども、島までは崩れず残った。
まだ安心はできないものの、どうやらこの世界に島が一つ増えてしまったようだった。




