古代遺跡攻略3
「細長い通路……まだ移動させるのか」
スイッチを押してみるとカチリと音がして、壁がスライドして開く。
壁の向こうには左右に伸びる細い通路になっていた。
窓もなく、人が一人通れるぐらい幅しかない。
一体何をさせたい通路なのか謎である。
「私があっち見てみるぜ」
一人ずつしか進めない通路をゾロゾロと移動するのも効率が悪い。
左右に伸びているので、ある程度すぐに駆けつけられる距離まで分かれて確認することにした。
サントリは懐中電灯を使わず、自前で炎を出して周りを明るく照らす。
前方向しか照らせない懐中電灯に比べて、サントリが出す炎は周り全体をかなり明るくしてくれていた。
「僕もなのだ! ぽっ!」
炎の方が明るいな、と思ったヒカリは先頭を歩くトモナリのために火の玉を出す。
片手に持った懐中電灯で遠くを照らし、近くは炎で照らすという万能な働き。
横幅一人分でもヒカリなら一緒にいられる。
トモナリの頭の上に上半身が乗っかるようにしてるので、顔面の横に炎がある形にはなってしまうが多少は仕方ない。
みんなで壁を確認しながら少しずつ進んでいく。
また分かりにくいスイッチのようなものがある可能性は十分にあり得た。
「んん?」
少し進んだところで、うっすらと光が差し込んでいるところを見つけた。
「外……? 何か部屋でもあるのか?」
壁に隙間があって、そこから光が漏れているようだった。
風があるようには感じないので、外ではなく室内に繋がっているのではないかとトモナリは見ていた。
「ここら辺を調べてみよう」
少なくとも何かが壁の向こうにある。
最悪壁を壊すことも考えながら、周りを調査する。
「壁に切れ目……」
目を皿のようにして調べると、壁にほんのわずかな切れ目のようなものがあった。
ただ開くためのスイッチのようなものが見つけられない。
「いいや、壊しちゃおう」
いい加減細々としたものを探すのにトモナリも飽きた。
切れ目の感じから、螺旋階段を登ってきたところにあった扉と同じぐらいの大きさの出入り口がある。
出入り口の真ん中にトモナリは軽く拳を当てる。
「魔力物質構成……」
トモナリの拳が魔力によって作り出された金属に覆われていく。
「怪力……!」
腕を引き、勢いをつけて壁を殴りつける。
スキルを手に入れたばかりの頃、壁を殴りつけて腕を壊すところだった。
今回は魔力物質で手を覆いつつ、怪力の出力もちゃんとコントロールする。
さらには世界樹の加護のおかげで体の基礎的な頑丈さも増している。
「はあっ!」
腰を入れ、しっかりと拳を突き出す。
「うわぉ……」
「流石なのだ!」
壁が砕け散って飛んでいく。
大きな音が鳴り響いてガラガラと壁が崩れ、空いた穴から差し込む光にトモナリは目を細めた。
「ベッドがあるのだ」
「……寝室?」
戦闘も覚悟していたが、敵はいない。
壁の向こうは部屋であった。
大きなベッドが置いてあり、きれいに掃除がされていて埃っぽくもない。
「女の子の部屋、なのかな?」
誰の部屋であるか、なんてことは知り得ないものの、ベッドの上に人形のようなものが置いてある。
ややファンシーなドレスを着せられた人形を見ると、部屋の主人は女の子なんじゃないかと感じられた。
「こういうの見るとさ、ちょっとこう……萎えるっていうか、やる気削がれちゃうよね」
「ああ、なんとなく分かるな、その気持ち」
ミズキは部屋の様子を見て顔をしかめる。
時々、人間の生活を感じさせるようなゲートがある。
基本的に人は出てこないのだけど、こうした生活があるということは人がいたということではないかと思うのだ。
ならばどうして人はいないのか。
モンスターばかりになっているのか。
そんなに明るい想像はできない。
待ち受ける未来を自分たちにどこか重ねて、モンスターに敗北するという結末を考えてしまうと多少気分も沈むというものだ。
どうせならただモンスターだけ出てきて戦うのみ、というのが簡潔でいいのはみんな同意する。
「ここはどこなんだろうな」
部屋には窓があって、外の光を取り込んでいる。
「わっ……結構高いところだね」
窓から外を覗いて現在地を特定しようとする。
まず見えたのは水平線だった。
遠くに海が見え、そこにはアメリカの戦艦も停泊していた。
少し視線を下げてようやく古代遺跡がある島が見えてくる。
位置的にかなり高いところから見下ろす形になっていて、古代遺跡や周りの森が上から一望できていた。
どこにいるのかは分かりにくいものの、外から見えていた古代遺跡の高いところにいるのは確実であった。
つまりだいぶ進んだ場所にいると見ていい。
「もしかしたらボスがいる場所も近いかもな」
どこにボスがいるのかも分かっていないが、大体高い場所か一番奥にボスがいる。
古代遺跡は中心部から高くなっているので、中心部の高いところにボスがいる可能性が高いと見ていた。
「……軽く飯でも食べてから進もうか」
時間的にはもう昼を過ぎている。
部屋の中はひとまず安全そうなので少し休憩する。




