古代遺跡攻略2
「でも使えってどこに……」
使っても危ないわけでないのなら使ってみようと思う。
危険があったとしても今の戦力なら対処もできるだろう。
ただゴーレムの心臓をどこで使うのか謎である。
周りに立っているゴーレムっぽいものに使えばいいのか、と周りのことを見回す。
「あれじゃないか?」
サントリが檻の床を指差す。
そこにはハート型の窪みがあった。
「なるほどな」
トモナリが見比べてみると、ちょうどゴーレムの心臓がはまりそう。
「僕がやってもいいのだ?」
「ああ、いいぞ」
ゴーレムの心臓をはめられそうな窪みは檻の中にある。
万が一も考えて、檻の扉を開けたままみんなには少し下がっていてもらう。
ヒカリがやりたいというので、トモナリはヒカリにゴーレムの心臓を渡して共に檻の中に入る。
「いくのだ! とりゃっ!」
ヒカリはためらいもなく床の窪みにゴーレムの心臓をはめ込んだ。
「おっ?」
地面が揺れる。
トモナリとヒカリは慌てて檻の中から脱出し、みんなして檻の奥にある扉っぽいものに注目する。
「………………あれ?」
「なんなのだ?」
揺れが収まる。
しかし見つめていた扉にはなんの変化もなく、ミズキとヒカリは首を傾げる。
「なんだったの?」
「てっきりあれが開くと思っていたんですけどね」
「トモナリ、トモナリ」
「どうした?」
みんなが困惑している中、ヒカリがトモナリの服をくいくいと引っ張る。
「あそこ開いてるのだ!」
「あそこ……? あっ、本当だ!」
扉を守るように左右に立っているゴーレムナイトの、左側のゴーレムナイトの後ろの壁が開いている。
「んだよ、こんなところ開くのか」
いかにも扉です、みたいなものが開かなくて、全く開く様子もなかったところが開いた。
覗き込んでみると奥には通路が続いているようだった。
「あっ! あー……」
みんなで通路の様子を窺っていると、檻の扉が勝手に閉まって天井まで檻が引き上げられてしまった。
ゴーレムの心臓はまだ回収していない。
回収してもよかったのかは不明であるが、ちょっともったいなかったなと思ってしまう。
「意外と便利そーだったのにな」
「まあ、ここで使い切りのアイテムだったと思うことにしよう」
ゴーレムを操作できるというアーティファクトは、使いにくさもあるものの破格の能力である。
そもそもそんなにゴーレムが出てくるゲートが多くないものの、ゴーレムが出てくるゲートなら無類の強さを誇ることが可能になるだろう。
正直トモナリとしても持っておきたいところだった。
けれども今は開いた壁の向こうに進むことを優先にした。
「さぁて、この先には何があるんかね?」
人がギリギリすれ違えるぐらいの広さしかない通路は明かりもなくて暗い。
先頭に盾を構えたサーシャが立って、ヒカリが懐中電灯でサーシャの上から先を照らす。
埃っぽい通路は長いこと使われていないような雰囲気がある。
「子供捧げてもここ開いたのかな?」
「どうなんだろうね?」
ミズキはこの通路がゴーレムの心臓を使ったから開いた秘密のものなのではないかと気になった。
子供を捧げると大きな扉の方が開いていたのかもしれない。
「子供捧げることなんかないから、一生分かんないな」
古代遺跡の攻略情報はトモナリの記憶にもほとんどない。
子供を捧げたらどうなるのか、ということも分かっていないのだ。
仮に試す機会があったとしてもそんなことするつもりはないし、他の人がそんなことをしようとするならまた邪魔をするだろう。
結局扉が開くのかどうか確かめる術はないのだ。
「おっと……おおっとぉ……」
通路を進んでいくと階段があった。
縦に伸びる円柱形の部屋の壁に沿って上に向かう螺旋階段で、どれだけ上に続いているのか暗くて見えない。
「結構大変そうだな」
上が見えないということは少なくとも二階とかそんな高さではない。
覚醒者としての体力を持ってすれば階段なんて屁でもないが、どこまであるのか分からない階段を登っていくを面倒だと思うことは止められないのである。
「ふぅ……」
「結構登ってきたな」
暗い上にグルグルと登る螺旋階段はどこまで登ったのか分かりにくい。
けれどもなんとなくの肌感覚では、相当上まで来ている感じだった。
外から見た古代遺跡から考えると、間をすっ飛ばしてかなり先の方に来ている可能性も浮上している。
「階段終わりだな」
螺旋階段の一番上までやって来た。
特にモンスターに襲われることもなく、階段の上にもモンスターやゴーレムの姿はない。
「ええ……こっからどうしたらいいの?」
モンスターどころか何もない。
「‘壁の色が違うわね’」
ここまで来て行き止まりなんてことはないだろうと調べてみると、壁の一部が周りと少し違うことに気づいた。
さらによく見ると細い切れ目のようなものがある。
「開きそうな雰囲気があるな」
色の違う壁はきっと開くのだろう。
しかし押してみても動きはしない。
手をかけるようなところはなくて、引っ張ったり横にスライドさせるわけでもなさそうだった。
「何か仕掛けがあるのかな?」
「暗いと分かりにくいよね」
周りは真っ暗なので明かりの光で照らさねばならず、周りを調べるのも楽じゃない。
「トモナリ君、ここだと思う」
軽く壁に触れていたコウがスイッチのようなものを見つけた。
ほとんど壁だが、触れてみると押すことができるようになっていた。




