天才vs天才6
「‘あなたとの因縁は終わり。静かに休みなさい。私は……罪を背負って前に進むから’」
転がるウーの首を、メイリンは悲しそうな目で見下ろす。
出会いが違ったのなら、違った関係を築くことができたのだろうかと考えてしまう。
「‘いや、無理ね’」
メイリンはため息をついた。
違った出会いなら他の男のようにストーカーになっていたかもしれない。
トモナリのように興味ないといった態度でいられるような男ではないので、めんどくさい関係になりそうだと思った。
「‘あっちは問題なさそうね’」
メイリンがトモナリたちの様子を確認する。
信頼していたし、ウー相手に集中を切らすわけにはいかなかったので、トモナリたちのことはほとんど気にしていなかった。
トモナリは傭兵リーダーを倒し、ユウトたちに加勢している。
元々優位な感じだったところに、トモナリまで参戦してきたのだから勝負はもう決したようなものだった。
「‘うっ……’」
メイリンは頭を押さえてふらつく。
「‘やっぱり三本は辛いわね’」
メイリンは黒い剣をインベントリに戻す。
そして赤と青の剣を腰の鞘に収める。
「‘私が裏切り、ウーまで消えたら向こうは大変でしょうね’」
頭を軽く振ったメイリンは思わず小さく笑う。
「‘情報の流出を恐れて色々証拠隠滅もしているだろうから、向こうはしばらくは動けないわね’」
ヒカリの一撃で傭兵の中でも強そうな奴が倒れた。
一人やられたことを皮切りに、なんとか状況を保っていた男たちは一気に崩れる。
トモナリたちもチャンスとばかりに攻勢を強める。
あっという間に男たちが倒されていき、気づいたら戦いは終わっていた。
「じゃあ私たちは子供のこと見てくるから!」
「ああ、任せたぞ」
子供安心させ要員のヒカリを筆頭にしてミズキたち数人が避難させた子供の様子を見にいく。
「さて、こいつらはどうするかな……」
トモナリやメイリンは残された男たちの後処理を考える。
半分ほどは助けられなかったが、半分は死なずに拘束されている。
明らかにいい人たちではないので殺してしまうこともできるが、簡単に殺すという選択も取れない。
「‘連れていきましょう’」
「‘……おっ?’」
「‘なーに? その顔?’」
悩むトモナリにメイリンは意外な提案をした。
メイリンなら殺してしまえばいいというと思っていたトモナリは驚いた顔をする。
「‘いや……意外だなと思って’」
「‘こいつらも何か情報を握っているかもしれないわ。こいつらは……殺してもいいわね’」
ウーの仲間は中国の諜報員でもある。
捕らえてアメリカに引き渡せば情報を引き出せる可能性もある。
そして傭兵の男たちはついでに生かしてやってもいいぐらいのことだった。
「‘そうだな。とりあえず連れていくか’」
処分はアメリカの方に判断を押し付けてもいいだろう。
残った死体は証拠隠滅のために燃やして、トモナリたちは男たちを連れて古代遺跡を脱出した。
子供たちも坑道の方で大人しくしていて無事だった。
古代遺跡を攻略したいのに、色々と問題が起きて進まない。
かなり大変な仕事を引き受けてしまった。
次こそは古代遺跡を攻略できるかなとトモナリは一人でため息を漏らしていたのだった。




