卑劣な奴ら 4
「相手は三人……装備としてはそんなに強くもなさそうだけどな」
戦うと決めたので相手を観察する。
やや浅黒い肌色をした髭面の三人組。
攻略しようとする人数にしては少ないし、だからといってその人数で攻略できるような強さにも見えなかった。
見た目で人の強さを判別することは難しい。
いかつい見た目をしていてもレベルが低ければ弱いし、スキルも本人が公開しない限りは見て分かるものなど少ない。
しかし装備を見ればなんとなく強さが分かることもある。
いってしまえば強い奴ほどいい装備を身につけている。
強いからお金を稼げるとか、強さに見合った装備を身につけるとかそうしたことで見栄えは立派になる。
お金持ちだった弱い覚醒者が装備だけは立派にしていることもあり得るけれど、強い人がわざわざ弱い装備を身につけていることはほとんどない。
男たちの身なりは決して安っぽくはないものの、高価、強力、特殊な装備を身につけているように見えなかった。
しっかりした装備なので古代遺跡のレベル制限の範囲内で、平均的な強さに近いぐらいのそこそこの覚醒者といっただろう。
「移動するみたいだな」
男たちは子供を連れて移動する。
エドがその後を追いかけて、トモナリたちは少し距離を空けてバレないように追跡していく。
子供たちは怯えたような顔をしている。
それに三人だとモンスターが現れた時に守るのも大変なはず。
多少犠牲になることもやむを得ないと思っているのかもしれない。
「‘早く歩け!’」
男が子供を叱責する。
すると子供たちはひどく体を震わせた。
あまり良い関係を築けているわけじゃなさそう。
男たちは道を知っているようにスイスイと進んでいく。
子供たちのためにもモンスターに遭遇しないようにと、ひっそり願っていたが、とりあえずモンスターが現れる気配はなかった。
「子供たちは今のところ安全そうだけど……」
「モンスターはいなさそうだけどな」
「もう倒してあるのかもしれないな」
移動のルートは迷いがなくて慣れている。
少し前に同じルートを通ってモンスターを倒してあるから余裕があるのかもしれない。
「‘ああ、ようやくついた’」
「‘ガキどもがタラタラと歩くから……’」
「この部屋は……」
「‘はぁ……悪い予感は当たるわね’」
男たちがやってきたのは広い部屋だった。
円柱形の部屋は複数の場所から来られるようになっていて、壁にはゴーレムのようなものが並んでいる。
部屋の奥には宝物庫にあったような大きな扉があって、その左右には一際大きなゴーレム。
こちらも宝物庫のものに似ているとトモナリは思った。
扉の前には巨大な鳥籠のような檻が天井から降りていて、その中にはもうすでに何人かの子供たちが閉じ込められている。
「‘ここが例の、子供を犠牲にする場所よ’」
メイリンは深いため息をつく。
将来有望な子供たちを犠牲にするような非道なギミックがあるのが、今男たちがいる場所だった。
ということは子供たちをどうするのか、完全に確定した。
「助けなきゃな。……相手は十人か」
子供が生贄にされてしまう前に行動せねばならない。
トモナリはエドカメラで相手を確認する。
待っていた男たちの数の方が多い。
三人合流して、合計十人となった。
「強そうなのは二人ぐらいか」
十人の中でも立派な装備を身につけているのが二人いる、
おそらくリーダー格で、実力も男たちの中で高いのだろうと思った。
「人数に大きな差はないな」
トモナリたちは八人。
それに加えて、ヒカリや他のドラゴンたちまでいることを考えるとむしろ有利かもしれないぐらいだ。
「……よし、一気に襲撃を」
「‘待って’」
勝算は十分にある。
トモナリたちはすぐ生贄部屋に飛び込めるところまで近づいた。
そこでメイリンが突如ストップをかける。
「‘誰か来るわ’」
メイリンは別の出入り口を睨みつけている。
「‘やあ、ようやく準備ができたのか’」
生贄部屋の近くまで来ているので、中の会話が聞こえてくる。
現れたのは細い目をしたアジア系の男を中心に五人ほどの覚醒者集団。
「‘ウー……’」
「‘知り合いなのか?’」
「‘ええ、元同僚よ’」
細い目をした男の顔を見てメイリンは顔をしかめる。
どうやら後から現れた男たちはメイリンの知り合いらしかった。
「‘ウーはかなり厄介な男よ。私の一つ上で、私がいなかったらあいつが天才と呼ばれていてもおかしくないぐらいなの’」
メイリンの元同僚ということは中国の覚醒者であるということになる。
覚醒者を厳しく育て上げる中国において覚醒者の全体的な質は高くて、その中でも天才と呼ばれることは滅多にない。
そんな天才の称号を欲しいままにしていたのがメイリンであったのだけど、メイリンがいなければ天才だったと言われるような才能の持ち主がウーなのである。
「‘メイリンがそんなふうに言うってことは相当強いんだな’」
「‘ええ、強いし、性格も悪いわよ。相当いじめられたもの。私が強いと分かってからは陰湿なものになったけれどね’」
天才の名を奪われることになったウーは一つ上の先輩としてメイリンのことをいじめていた。
今でも思い出すと腹が立つ。
「‘子供の数は足りてるな?’」
「‘もちろんだ’」
「‘この状況、あいつらの手引きのようね’」
鉢合わせたという雰囲気ではない。
ウーは子供を連れた男たちと知り合いのようだった。
こちらの作品、ネトコンさんで受賞いたしました!
NTTソルマーレ様よりコミカライズ賞の入賞ということになりました!
電子コミカライズなので本は出ませんが、ヒカリが漫画になります!
一応漫画家さん探したりと、予定ではありますが来年のコミカライズを目指してくださるそうです。
ここまで来られたのは応援してくださったみなさんのおかげです!
ありがとうございます!
これからもよろしくお願いします!




