卑劣な奴ら2
「こえー……」
並ぶゴーレムの間を抜けていく。
今のところ動き出す気配はないが、動き出したらトモナリたちはゴーレムのど真ん中ということになる。
「これは命令できないのだ?」
「こら! ヒカリちゃん、やめなさい!」
ヒカリが動かないゴーレムを爪でつつく。
ミズキが慌てたようにヒカリを抱きかかえてやめさせる。
何か刺激を与えて動き出したら困る。
「コントロールはできないみたいだ。動いてないからかな」
トモナリもゴーレムの心臓を片手にゴーレムのコントロールをしてみようとしたが、ゴーレムは命令に動かない。
ゴーレムが起動していないのだろうと思った。
ゴーレムというが、なんとなくその実態はロボットなんかに近い。
さしずめ、魔力で動くロボットとでもいうことができる。
スイッチが入っておらず動いていないロボットを操作はできない。
ここにあるゴーレムも見た目こそ完成しているが、スイッチが入っていない。
ただの置き物と変わらないのだ。
仮に動き出してもゴーレムをコントロールできるので、大丈夫だろうとは思っている。
「こんだけゴーレムがあって……なんでここは滅びたんかね?」
古代遺跡は明らかに滅んだ文明という感じがする。
ゴーレムナイトとの戦いの前に出たクエストを見ると、ゴーレムを作り出して命令していた存在がいたことは間違いない。
宝物庫には人の骨があったし、何か人のようなものがいたことも予想できる。
古代遺跡に何が起きたのか。
色々と想像も広がってしまう。
「これほどのゴーレムがいたらなんだって勝てそうだけどね」
モンスターだろうと人だろうと、痛みも疲れも感じずに襲いかかってくる不死の軍団が相手なら戦うのは厳しい。
ゆうに三桁はいそうなゴーレムを動員すれば、大体の相手はひとたまりもない。
「しかし動かないんじゃ……どうしようもないけどな」
サントリもゴーレムをつつく。
理由は知らないがゴーレムは動いていない。
古代遺跡の文明が滅びる時も、こうしてただ並んでいただけなのだ。
「何が悪いんだろうな?」
今動いてほしいとは思わないが、動かなかった理由が何かあるのだろう。
ゴーレムは見た目しっかり完成している。
不良品をこうして並べているわけじゃないはずなのだ。
「……燃料不足」
「ああ……なるほど」
サーシャがボソッとつぶやいた。
ゴーレムを動かすための燃料が足りないから動かせなかった。
それは一つ筋の通った考えである。
「下のゴーレムは燃費悪そうだったしな」
ゴーレムナイトは山のように積んであった鉱石を注ぎ込んで動いていた。
ビームを放つと燃料不足に陥っていたようにも見えたし、もしかしたらゴーレムを動かすのには多くの燃料がいるのかもしれない。
「あれかもね。燃料が尽きてこの文明は滅びた……なんてこともあるかもしれない」
無限にあると思われた資源が無限ではなく有限で、使っていくと枯渇してしまった。
こんなことはトモナリたちにも身に覚えがあることだった。
ゴーレムによって繁栄した文明だったが、ゴーレムを動かすためのエネルギーとなるものがなくなって衰退してしまう。
何かそれを裏付けるものはないけれど、意外と納得もできる推測である。
「なんだ、この部屋?」
ゴーレムの間を抜けて次の部屋に移動した。
そこには見慣れぬ装置があった。
上に漏斗のようなものがついた四角い機械のようなものがある。
ゴーレムが漏斗の中にせっせと鉱石を投げ込んでいる。
「何が出てきた……」
しばらく鉱石を投げ込むと四角い機械が大きく振動して、下の方からゴロリと大きな石が出てくる。
「……もしかして、ゴーレムのコアか?」
少し濁った青色の丸い石はゴーレムのコアにも似ている、とトモナリは思った。
「鉱石を加工して、ゴーレムのコアを作ってるのか?」
「でもなんだか、気に入らなさそうだね」
出てきたコアを拾い上げ、ゴーレムは一度首を傾げるような動作をしてコアを丁寧に箱の中に入れる。
いくつか並べられた箱のうち、コアを入れたものだけが他にもコアが入っていっぱいになっていた。
「品質が悪そうですね」
箱の中をディーニが覗き込む。
なぜゴーレムが首を傾げるような動作をしたのか、箱の中を見比べて分かった。
コアでいっぱいになっている箱に比べて、ほとんど何も入っていない箱だったが、いくつかそこにコアが転がっている。
ただ同じコアでも品質が違う。
いっぱいになっている箱のコアは濁ったような色をしていて綺麗じゃない。
対してほとんど入っていない箱の方のコアは透き通っていて綺麗であった。
「さっきの予想が意外と当たってるのかもしれないな」
またコアを作っているが、濁った色をしている。
どんなコアがいいのかトモナリたちは知らないので、見た目で判断するしかない。
ただ透き通った綺麗なものの方が品質が良さそうなことは見た目でわかる。
綺麗なコアが出来上がらない。
運ばれてくる鉱石の質はあまり良くないようであった。
コアが出来ないからゴーレムを動かせなかった。
それにより何かしらの問題に対処できなくなって滅びた。
かなり信ぴょう性もある妄想になってきた。




