卑劣な奴ら1
「気をつけ〜手を上げろ! わははっ! 面白いのだ!」
宝物庫に他のものはなかった。
とりあえずゴーレムの心臓なるアイテムを手に入れたので、トモナリたちは戻ってきた。
たまたま宝物庫の方に鉱物を運ぼうとするゴーレムがいたから、アーティファクトの効果を試してみることにした。
ハート型の宝石を持ったヒカリの命令に従ってゴーレムが動く。
ゴーレムは割と精密に動く。
操っているヒカリは楽しそうだった。
「これがどーなんだって話だけどな」
ゴーレムを操れるのは面白い。
しかし操ってどうなるのだ、とユウトは思った。
「いや、状況によってはかなり便利だと思うよ」
「そうか?」
ゴーレムなんか操れなくてもいいというユウトに対して、コウはまた別の視点から見ていた。
「ゴーレムを操れるってことはゴーレムに襲われなくなるってことだよ」
「ゴーレムに襲われなくなる……」
「これからどれぐらいゴーレムが出てくるのか分からないけど、この感じならきっと敵としてゴーレムが出てくる。そんな時に操れるなら、戦わなくて済むでしょ?」
「あぁ、なるほどな」
ユウトはゴーレムを戦力として考えていた。
宝物庫の番人クラスなら役に立ってくれるだろうが、普通のゴーレムだとそこまで強くない。
むしろ戦闘の邪魔になるぐらいに思っていた。
しかしコウはゴーレムのことを戦力として捉えていない。
ゴーレムを操ることができるなら、ゴーレムに襲われないようにできるのではないかと考えている。
ここまでで何回かゴーレムと戦っている。
これからもゴーレムが出てくることは予想できるので、ゴーレムも戦わなくて済むなら古代遺跡の攻略も楽になるだろうと思っていたのだった。
「まあ状況見るに攻略が楽になるアイテムっぽいから、上手くいけばゴーレムも利用できるのかもな」
襲われなくなる可能性は高い、とトモナリも思う。
同時にゴーレムも利用できるだろうし、何かゴーレムを使ったギミックがあるかもしれない。
「一度撤退して、休んでから上に向かってみようか」
ゴーレムナイトとの戦闘ではだいぶ魔力も使った。
まだみんな余裕があるにしても、これから先に何が待ち受けているかは謎である。
常に万全に近い状態を保っておきたい。
ここは安全策をとって、キャンプに戻って休憩することにした。
「よし、行くのだ!」
ヒカリはゴーレムの上に乗って、途中まで一緒に戻った。
適当なところでゴーレムをリリースすると元いた場所に戻っていく。
意外と面白そうなアーティファクトを手に入れたようである。
ーーーーー
「んじゃ今回はここから上に向かっていくか」
キャンプに戻って休んだ。
快適環境とは言いがたかったけれど、それほど消耗しているわけでもなかったのでゆっくり休めば回復はできた。
途中にいたゴーレムやモンスターはまだ復活しておらず、トモナリたちは悠々と地下坑道まで再び来ることができた。
採掘現場では相変わらずゴーレムたちが働いていた。
何もなければトモナリたちのことを完全に無視する作業ゴーレムたちだが、試してみた感じではゴーレムの心臓でその場にいたゴーレムをコントロールすることができた。
作業ゴーレムなので戦闘には連れて行かない。
ゴーレムには作業に戻ってもらい、トモナリたちは階段前に来ていた。
下に向かえば宝物庫があることは分かっている。
今度は上に向かう階段の方に行ってみることにした。
「こっちの方は古代遺跡だと思うけど……何があるかな?」
今いる位置的には外から見える古代遺跡の下らへんになる。
上に向かう階段なら古代遺跡の中に出られるだろうという期待は持てる。
「上にも何か運んでるんだね」
作業ゴーレムの中には上に向かっているものもいた。
「ゴーレムが使ってるならただの行き止まりじゃなさそうだな」
作業ゴーレムが向かうということは途中で道がなくなって進めなくなっているとか、そんなことはないと推測ができる。
ゴーレムが話せるなら操作して情報でも聞き出せるのだけど、道案内すらできるのか怪しい。
「壁の雰囲気が変わってきたのだ」
「本当だ」
岩を削ったようなゴツゴツとした壁が、気づけば切り出したような滑らかな壁になっている。
より人工的な感じが強くなってきた。
「ようやく着いたな」
結構な段数を上り、部屋にたどり着いた。
広い部屋には下から運んできた鉱石が山と置いてあるのみで、他には何もない。
「またどこかに運ばれていくんだな」
坑道の方から来たゴーレムはそのまま坑道に帰って行った。
代わりに別のゴーレムが部屋に入ってきて鉱石を台車のようなものに乗せて持っていく。
出入り口はゴーレムが出て行ったところしかない。
「うわっ!?」
部屋の外を覗き込んだミズキが驚いたような声を漏らす。
「なんなのだ? うおおおおっ!?」
「すっげえ数のゴーレム……」
同じように隣を覗き込んだヒカリとユウトも驚いている。
「なんだこれ?」
「ゴーレム製造部屋?」
「これだけのゴーレムが襲いかかってきたら……いくらなんでもキツイよな」
隣もそのまま部屋であった。
そしてその部屋の中には大量のゴーレムが並んでいたのだった。
何十体もありそうなゴーレムがかなり威圧感がある。
もし仮に全て戦闘用ゴーレムで、戦うことになったらかなり大変である。
祝600話!
まだまだ続くぞ!




