古代遺跡地下坑道4
「ああやってゴーレムが全部やってくれたら楽なのになぁ」
ミズキが呟く。
文句を言わず、力持ちで疲れ知らず。
ちょっと細かい作業は苦手そうだが、ざっくりとしたことならゴーレムはやってくれそう。
「ご主人様には私がいますから」
確かになんでも言うこと聞いてくれるゴーレムがいるなら便利だけど、トモナリにはそんなものよりも優秀なものがいる。
ディーニは何かとトモナリの身の回りの世話を焼く。
それはトモナリが命令しているからではなく、ディーニが好きでやってることだった。
トモナリのことをご主人様と呼んでいるし、普段はメイド服のようなものを好んで着ている。
言ってしまえばゴーレムのはるか上位互換な存在がトモナリのそばにいた。
「いいなー」
「トモナリには私もいるしな」
「サントリはゴミ捨てにも文句言うでしょう?」
「そりゃディーニ姉さんがやれって言うからで、トモナリに言われたら素直に捨ててくるさ」
他の五姉妹たちもトモナリが言えばなんでもやってくれる。
一部料理なんかはできるかどうか別として、やってくれようとはするのだ。
「ギルドハウスの片付けなんてのはディーニがやってくれてるしな」
ミズキの専属ではないが、ディーニの恩恵はみんなも受けている。
「ああ、そっか。ディーニさん、いつもありがとね」
「どういたしまして。好きでやっていることですから」
ディーニは微笑を浮かべる。
好きでやってても感謝されると嬉しいものである。
「下が見えてきたね」
コウが少し先に炎を飛ばす。
もう少し降りた先で階段が終わっている。
「ここは……?」
「明かりがついた……」
降りた先には円柱形の広い部屋があった。
トモナリたちが部屋に足を踏み入れると、壁に炎が灯って部屋の中が明るくなった。
『宝物庫の番人を倒そう!
宝物庫を守る番人は主人を失い、ただ侵入者を攻撃するだけの存在に成り下がった。
もはや宝物庫を守れと命じるものはなく、魔晶石によって動けるように生かされている。
番人を止めることができれば、宝物庫への進入が許されます。』
続いてトモナリたちの前に表示が現れる。
「特殊クエストだな」
ゲートそのものの攻略とはまた別の攻略条件が発生することが稀にある。
いくつか呼び方はあったりするのだけど、一般的には特殊クエストなどと呼ばれるこれはアイテムなどが入手できる言わばイベントなのだ。
「ヒカリの勘が当たったな」
「宝物庫……いかにもなんかありそうだな」
お宝の気配がすると言っていたが、宝物庫があるならまさしくお宝があると言っていいだろう。
「ただ……問題はあれだな」
階段とは逆側に大きな扉が見えている。
そして、その前にゴーレムがいる。
ただ上の採掘現場で働いていたゴーレムとは違って、かなりシュッとした人に近い体型をしている。
「あれカッコいいのだ!」
例えるならSFもののロボットのような感じすらある。
大きさ的にはトモナリたちより二回りほど大きいぐらいで、手には両刃の剣を持っている。
「あれが宝物庫の番人……なことは見れば分かるな」
いかにもな敵である。
宝物庫を守る番人なことは誰でも分かる。
番人ゴーレムの横には上から運ばれてきた鉱石が積まれている。
青い結晶が見える鉱石を、他のゴーレムが番人ゴーレムの背中にせっせと投げ込んでいた。
鉱石が燃料らしい。
「やるか?」
「ここまでやらないわけないだろ」
「ねっ!」
「おったから! あったから! なのだ!」
「おったから!」
ユウトやミズキ、ヒカリやユシルなんかはお宝を目の前にしてやる気になっている。
コウやディーニなんかはお宝に興味ないし、目の前に見えるリスクを回避してもいいのではないかと考えている。
ただやる気になっているのならわざわざ止めるような気はない。
「‘私はあなたに従うわよ、ダーリン’」
メイリンはトモナリに対してパチンとウインクしてみせる。
こちらもお宝が欲しいなんて全く興味ないが、別に戦いを回避しようなんて考えもない。
「それじゃあ挑んでみるか。厳しそうなら撤退だ」
お宝はあくまでもお宝にすぎない。
本筋の攻略とは関係ない。
そこまで無理をすることはないだろう。
「でも関係あることもあるじゃない?」
「まあ、それはそうだな」
実はこの先の攻略を楽にするアイテムが手に入りました。
そんな例はいくつか存在している。
だから一概に攻略に関わらないとも言い切れないのは難しいところだった。
「サーシャ、ディーニ、前に。俺とユウトとメイリンでいつでも動けるようにして、ミズキとサントリはバックアップだ」
全員好き勝手に動くと、お互いの動きが邪魔になったりしてしまう。
相手が単体ならある程度戦闘人数も絞って不測の事態に備えたり、交代できるようにしておくことも大事なのである。
サーシャはもちろんタンクなので前に置かれているが、ディーニも魔力物質構成スキルで全身を硬くすることができるのでタンク的な役割を果たすことができる。
トモナリとメイリンの両トップをタンクの後ろに置き、そこに攻撃力の高いユウトも加えた。
魔法使いのコウは当然後ろで、コウを守りつつも何かがあればすぐに動ける素早さの高いミズキとサントリを後ろに配置した。
万全の体制である。




