古代遺跡地下坑道3
「ぬぬぅ?」
「ふぬーん?」
まるでトモナリがいないかのよう。
ヒカリとユシルも不思議そうに採掘に勤しむゴーレムのことを眺めている。
「……もうちょっと進んでみようか」
みんなには待機のジェスチャーを出しておいて、トモナリはもうちょっと採掘場所の奥へと進む。
しかし相変わらずトモナリは無視される。
「襲われない……のか?」
ゴーレムがかかってこないのはいいことなのだけど、あまりにも無視されるので少し不安すら覚える。
「ツンツンなのだ」
トモナリは剣でゴーレムのことをつつく。
今の所安全そうに見えるが、本当に安全なのか不安が大きすぎる。
「……無視なのだ」
「むしー」
「うーん?」
トモナリに剣の先で突かれてもゴーレムはツルハシを振り下ろすのをやめない。
「坑道の中であったゴーレムとは違うのか」
採掘した岩を運ぶゴーレムの前に飛び出してみた。
台車のようなものに岩を入れて運んでいたのだけど、トモナリを轢くこともなく動きを止める。
少し待ってみたけれど、ゴーレムは動きを止めたまま。
トモナリが目の前をどけると再び運搬作業を再開する。
「人を傷つけないようになってるらしいな」
ツルハシの前に手を出してみてもゴーレムの動きが止まる。
いわゆる安全装置のようなものがある、とトモナリは感じた。
動いているものはゴーレムであるが、機械が動いているトモナリたちの世界の巨大な工場とそれほど変わりない雰囲気を感じていた。
「もうちょい捜索したらみんなも呼ぶか」
採掘現場に入らないようにみんなでトモナリのことを覗き込んでいる。
ゴーレムが襲いかからない異様な状況を、もうみんなの方も感じとっているらしい顔が見えていた。
みんなを呼び寄せてもいいかもしれないが、複数人が入ってくると状況が変わる可能性は十分にあり得る。
なので今の一人で安全なうちに奥まで見てしまうことにした。
「運ばれた鉱石はここに積み重ねられて、分別されてるのかな?」
ゴーレムたちの作業を観察する。
ツルハシで岩を砕いて、鉱石を運ぶ。
運ばれた鉱石は大きな箱の中に集められ、ゴーレムが鉱石をいくつかの種類に分けていた。
どういう基準で分けているのか、分けられた鉱石を覗き込んで見てもトモナリには分からない。
ある程度仕分けした鉱石が溜まってくるとまたゴーレムが運んでいく。
適当に山に投げ捨てられるものもあれば、他の場所に運ばれていくものもある。
採掘現場の奥には階段があった。
下に向かう階段と上に向かう階段で、鉱石は上にも下にも運ばれていっている。
「僕の勘が叫ぶのだ……下に何かあり、なのだ!」
予想としては上への階段の先は古代遺跡に繋がっているだろうと思う。
となると下はなんだろうか。
ヒカリは下に何かがあると踏んでいるようだ。
「一人でこの先に行くのはな。みんなのことも呼ぼうか」
流石に何も言わずに一人で偵察するのは良くない。
トモナリは戻って状況を説明した。
「ふーん、襲ってこないんだ」
「作業用とは別に警備ゴーレムなんてのもあっておかしくないと思うんだけどね」
「確かにな」
作業のためだけに作られたゴーレムが襲ってこなくても、それはそれで納得できる。
しかし坑道の途中には襲ってくるゴーレムもいた。
ならばこうした場所にもそうしたゴーレムがいても全くおかしいことではない。
けどいないのだから、なんとも言えない。
「とりあえず奥の階段に向かってみよう」
みんなでゾロゾロと移動する。
一度出て、また入ると一瞬ゴーレムの動きが止まった。
けれどもまたすぐに採掘を再開する。
襲いかかってくる様子は微塵もなく、ゴーレムたちは真面目に採掘作業に取り組んでいる。
「ぺしぺし」
「こらユシル、やめなさい」
ユシルはゴーレムの頭に乗っかって小さな手で叩く。
それでもゴーレムは一切の反応も見せない。
「順当に行くなら上だけど、ヒカリは下も気になるようだ」
上へ行く階段と下へ行く階段を前にして、トモナリたちはどちらへ向かうか相談する。
古代遺跡の攻略を考えたら上に向かうべきだろう。
しかしヒカリは下に何かを感じている。
トモナリも下には何かありそうだと思っていた。
「下に行ってみてもいいと思う」
「僕もいいと思うよ。そんなに長くもかからないと思うしね」
トモナリたちにだって欲がないわけじゃない。
何か入手できるものがあるなら手に入れたいところである。
「‘私もいいと思うわよ。後ろに何があるのか分からないのは怖いもの’」
メイリンも賛成してくれた。
知らない場所、知らないものをそのままにしておいた時に、後々困る可能性だって否定できない。
上に向かえば古代遺跡に行ける可能性が高く、下に何があるのか分からないなら下から調査をしてもいいとメイリンは考えていた。
「それじゃあ下からだな」
反対意見はなかった。
トモナリたちは下に向かうことにした。
階段は坑道よりも広めに作られている。
鉱物を置いてきたのか、空になった箱を持ったゴーレムが階段を登ってくる。
トモナリたちが端によって道を開けてやるとゴーレムはそのまま横を通り過ぎていく。




