古代遺跡2
「‘何が待ち受けているのかはまだまだ分からない。だが協力してくれないか?’」
「‘もちろんですよ’」
「‘まあ協力とは言うけれど、基本的には君たちの自由に動いてくれて構わない’」
アメリカからの要請で協力する形になってるものの、トモナリがアメリカの覚醒者を率いたり、逆に部隊の一員となるわけじゃない。
遊撃隊として自由な攻略の裁量を任されることになっていた。
知らない覚醒者と行動させるよりトモナリたちだけで動いた方がいいだろうという判断である。
「‘このような形で協力をお願いする形にはなってしまったけれど……結果的に良い判断に思っている’」
メイリンの件がなかったらトモナリたちに協力を要請したかは分からない。
要請しない可能性の方が高かっただろう。
しかしメイリンの意向でトモナリたちも巻き込まれることになった。
その判断はダンも支持するところだった。
何もない状態でトモナリたちに協力を要請するのは流石に国やギルドとしての威信に関わる。
一個何か理由を挟めるのなら、トモナリたちに協力をお願いしてもいいだろうとダンは思う。
「‘俺の知る中で、そのレベル帯最高峰の覚醒者は君だ。我が国の覚醒者が最高ではないことは残念だが、幸い良い関係を繋ぐことができているしな’」
「なあ、ダンさんなんて言ってんだ?」
「トモナリ君や僕たちのこと、褒めてくれてくれてるよ」
残念ながらユウトは英語が得意ではない。
トモナリはダンと話しているし、コウに会話の内容を尋ねていた。
表情からはちょっと分かりにくいが、ざっくりと言ってしまえば手放しでトモナリたちのことを褒めてくれているのだった。
「すごい人に褒められると嬉しいな」
ほとんどがトモナリに向けたものだけど、ダンはトモナリの仲間であるユウトたちの実力も疑っていない。
「‘急なことだが、明日には移動しよう。船での移動だが大丈夫だな?’」
「‘ええ、こちらはいつでも行動できるように準備してあります’」
「‘流石だな’」
ーーーーー
「見えてきたな」
「実際見るとすごいもんだね」
トモナリたちは軍隊なんかが使う補給艦に乗り込み、数日かけて海の上を移動した。
まず見えてきたのは巨大な島。
そうしたものがあると分かっていたのだけど、目の前にすると古代遺跡の島はかなり大きく見えていた。
四角い形をした島は誰かの手が加わったような異質さも感じさせるものだった。
「あれが島外のベース基地になってる軍艦か」
島から離れたところに大きな軍艦が停泊している。
太平洋のど真ん中に浮かぶ古代遺跡は移動にも時間がかかるし、一々行ったり来たりするのも大変である。
攻略に当たっている覚醒者のために補給やいざという時の避難のバックアップとして軍艦を一隻常駐させているのだった。
補給艦に乗ってきたのは移動のためもあるし、軍艦への補給という目的もあった。
「ぬぅ……なんだか目が厳しいのだ……」
「そりゃ、多少はしょうがないよな」
トモナリたちの立場は微妙だ。
メイリンが手を回したことをトモナリたちは知っているが、どんなふうにしてトモナリたちへの協力をねじ込んだのかは謎である。
トモナリたちですら詳細は知らないのだから、他の人たちからしてみればなぜトモナリたちに協力を要請するのかすら不思議だろう。
状況的に切羽詰まっているわけではない。
必要に迫られたわけでもないのに、他国の覚醒者に攻略を要請するのは気分も良くはないはずだった。
言ってしまえば自分の国で処理できるというプライドがある。
軍艦にいる軍人やアメリカの覚醒者たちはトモナリたちのことを冷ややかな目で見ている。
若いというところもあるのかもしれない。
「‘楽にしていいぞ。そんなに畏まることはない’」
トモナリたちとは違って、ダンはアメリカの英雄的存在でもある。
軍人たちはダンが現れて一斉に敬礼した。
トモナリたちに対する態度とは大違いだった。
「‘それでは作戦会議と行こうか’」
周りの視線を気にしている場合ではない。
トモナリたちは古代遺跡を攻略するために来ている。
まずは軍艦にあるミーティングルームで古代遺跡についての説明を受けることになった。
「‘ここから先は小型のボートに乗り換えて向かってもらう。レベル制限の範囲内の人でないと島には近づけないからな’」
入場条件となっているレベルの範囲内でない人はある程度島に近づくと見えない壁にぶち当たって進めなくなる。
ボートや物資などものは通過できるので、軍艦からボートに乗って島に向かって行くことになる。
「‘古代遺跡の周辺は広く森林が広がっている’」
古代遺跡だけならまだ攻略も楽だったのかもしれないが、島は大きくて古代遺跡以外のところも広い。
「‘モンスターは多種多様なものが現れる。油断できないものも多いから気をつけるんだ’」
森の中にもモンスターがいる。
現在確認されているものでも数種類はいるようだった。
全く異なる色々なモンスターがいるゲートは意外と珍しい。
「‘島の東側には我々のベースキャンプもある。そこを活用してほしい’」
もちろん島の方にも攻略を円滑に進めるための備えはある。
覚醒者たちを送り込んで拠点となるキャンプもすでに用意してあった。




