古代遺跡1
「‘久しぶりだね。またこうして会えるとは思わなかったよ’」
「‘こちらこそ会えて嬉しいです’」
「うわっ、超有名人じゃん」
「世界トップ覚醒者だ……」
メイリンや子供たちと別れて、トモナリたちはちょっとのんびりしていた。
お咎めもなく、特に誰かに狙われることもなく体を休めていた。
そんな時にギルドの方に仕事の話が舞い込んできた。
相手はアメリカのヒーローズギルド。
以前トモナリが試練ゲートを不法に占拠した終末教と戦う時に、メインの部隊となったギルドである。
ヒーローズギルドは世界でも有数のギルドで、トモナリと握手を交わすダン・グリアは世界トップレベルの覚醒者である。
前回はトモナリ一人での活動となったが、今回はギルド全体での依頼なのでみんなでアメリカに乗り込んできた。
ユウトやミズキたちはもちろん、サントリとディーニもいる。
五姉妹のうち残りの三人はゆかりや世界樹を守るために残っている。
やはり後ろの安全というのも大事である。
「‘今回は君のお仲間にも会えて嬉しいよ’」
スーパーヒーローのようながっしりとした体型に、甘めの顔立ちでニッコリと笑うダンはトモナリから見てもカッコいい人である。
「‘いくらか事情は分かっていると思うけれど……今回も君に手を貸して欲しいんだ’」
今日はヒーローズギルドが保有するギルドハウスに来ている。
ハウスというが、そこは巨大なビルである。
一棟丸々ヒーローズギルドが保有しているもので、土地と建物でいくらになるのか想像もできない。
呼ばれた理由はもちろん古代遺跡の攻略についてだった。
今のところメイリンの姿はないものの、どうやらヒーローズギルドを通してトモナリたちも古代遺跡の攻略を手伝うことになりそうである。
「‘古代遺跡のことはどれぐらい知ってるかな?’」
「‘あまり細かいことは知りません’」
「‘そうか。では軽く説明しておこう。古代遺跡のダンジョンだが……現在攻略の進行状況はあまり良くない’」
アメリカと中国で古代遺跡の攻略を争い合っていた形だったが、メイリンの一件以降中国はトーンダウンした。
そこでアメリカは一気に攻略してしまいたいと考えていた。
しかし実際には古代遺跡の攻略は公表されるよりも前から始まっていたのであり、公表されて主権を争いながらも攻略はいくつかの国で進められていたはずなのだ。
にも関わらずいまだに攻略されておらず、進行状況が良くないとダンは悩ましげに口にする。
「‘原因はいくつかあるのだが……大きな要因は攻略難易度の高さと入場条件だ’」
「‘何が問題なんですか?’」
「‘攻略難易度はB+。状況によってはAに迫るということだ。だが一方で入場条件は15以上……そして85以下だ’」
今回の古代遺跡はかなり特殊なものとなっている。
普通同化現象が起こるとゲートの入場条件などは無視される。
ブレイクなどを起こしてゲートの外に出てきたモンスターは誰であっても戦えるように、同化現象が起きてしまえばゲートの外に出たところは攻略できるのだ。
しかし古代遺跡はゲートの条件が適応される。
自由に攻略できるはずなのに、高レベル覚醒者は島に上陸できないという事態が発生していた。
「‘レベルの制限があるために、当然俺は入れない。60から80までは覚醒者の数も多いが、80以上で85までとなるとなかなかいない……’」
同化現象は普通長期間放置されてジワジワと起こるものである。
ただ今回はブレイクも全てを飛び越えて突然同化現象を起こした。
そのために同化現象が起きているのに、ゲート条件が適応されている。
そして今回問題となっているのはレベル制限だ。
攻略難易度がB+ということはレベルでいえば80前後、入れるなら100近い人も集めたいところである。
それなのに上限は85レベル。
これが一つ目の問題だった。
さらにはスキルの関係から五つ目のスキルが解放される80以上のレベルの人をメインに据えたい、というのは誰でも考えることだ。
ただここに二つ目の問題がある。
「‘誰でもスキルを解放したら試したくなるものだからな’」
レベルは上がるほどに上げにくくなる。
ただある程度のレベルで覚醒者が多くなるボリュームゾーンと呼ばれるところがある。
大体レベル60前後ぐらいの覚醒者が多い。
ただもっと細かく見ると各スキル解放レベルより5レベルほど高いところの覚醒者が多くなっている。
なぜなら理由は簡単で、スキルが解放されてみんな試したりするからだった。
スキルのおかげで強くもなるし、一つ上のゲートに挑んだりとスキル解放レベルから少しの間はみんな活動的で良くレベルを上げる。
「‘強力なスキルを手に入れたものほど85なんてすぐに突破してしまう’」
90レベルぐらいでまた大きな壁があるのだけど、80から85ぐらいまでなら上げてしまう覚醒者も多い。
つまりギリギリのレベルで優秀な覚醒者の数が少ないのである。
となるとそれ以下のレベルの覚醒者を中心とするしかない。
「‘うちにも優秀なものは多いが、正直ずば抜けたものはいない。君たちのレベルはまだやや低めではあるが、非常に優秀だ’」
強いものほどレベルが上がるのも早い。
制限に引っかからないレベルの覚醒者を用意するのも意外と大変だった。




