問題解決、問題発生2
「アイゼンさん、少し話よろしいですか?」
子供たちの確認をしていたアビコが、いつの間にかトモナリの後ろにいた。
「あ……はい」
アビコは結構険しい目をしている。
トモナリは怒られた子供のように小さくなってアビコに向き直る。
「……なかなかとんでもないことをしでかしてくれましたね?」
「あぁ……すいません」
「謝って済む問題ではないですよ」
アビコは首を振りながらため息を漏らす。
「俺たち……どうなるんですかね?」
「細かく見ていくと色々と引っかかるでしょうね」
「やったのは俺なんで! みんなはその……俺に従っただけで」
「そういうのはいいです。…………今回のことは不問にします」
「えっ?」
流石に何もなし、とはいかないだろうと思っていた。
しかしアビコはトモナリたちを何かの罪に問うつもりはなかったのである。
「表に出して処理するにはあまりにも事態が複雑すぎます。内密にあなたたちに罰を与えることは難しい。アメリカ側も今回のことを騒ぎにしたくないし、おそらく子供を追いかけている方も同じです」
まだ小さい子供を覚醒者にして生贄にしようとしたことも、そんな子供たちを匿ったことも、そして子供たちをこっそりと保護しようとしていることも。
それら全ては内緒にしたいことである。
関わった全ての人が表に出したくないことなので、今回は何もかもなかったことにすることにした。
当然トモナリたちの関与もなし。
それが良いのか悪いのかは分からないが、国同士レベルの意思判断があったことは間違いない。
「ですので今回のことは決して口外しないようにしてください。何かを尋ねることはいたしませんし、公的に記録を残すこともしません」
「……分かりました」
別に処罰されたいわけでもないからトモナリも大人しく従うことにした。
チラリと見るとメイリンが目を細めてトモナリのことを見ていた。
面倒を避けたいという上の判断もあるが、もしかしたらメイリンが何か手を尽くしてくれたのかもしれない。
「子供たちはアメリカで引き取ることになりました。我々はただ何もなかった……それでいいのです」
「……ほんとにそれでいいんですか?」
「変に手を出せば国際問題です。くれぐれも大人しくしていてください」
「…………はい」
アビコはすごく怖い目をしてトモナリのことを見る。
どうにもアビコにとってこの結果は不満の残るものであるようだ。
「いいですか? 今回のことは、日本にとってあなたという覚醒者が大事であることも大きいのです。今後もこうした問題を起こされると困るのですよ?」
「はい、すいませんでした……」
この年になって本気で怒られることになるとは思わなかった。
「‘ふふ、大変ね’」
「‘そっちのせいだろ……’」
アビコはまだ何かいいたげであったが、アメリカの覚醒者協会の方に呼ばれて離れていった。
「‘なんにしても……ありがとう。感謝しているわ’」
「‘まあ、こっちがいつか困ったら助けてくれよ?’」
「‘もちろん。なんなら貰い手がなったらお嫁さんにもなってあげる’」
「‘それはまだ大丈夫だよ’」
若いし出会いもないわけじゃない。
今のところ誰かと付き合うとか考えていないし、トモナリは軽い冗談だと流す。
しかしメイリンは少し不満そうだ。
「‘ねぇ’」
「‘なんだ?’」
「‘もう一つ助けてほしいことがあるって言ったら助けてくれるかしら?’」
「‘内容によるな。もう子供は匿わないぞ?’」
「‘そもそも、こんなことになった原因はゲート……古代遺跡の島が悪いのよ’」
今回の出来事の発端は同化現象を起こした古代遺跡ゲートが原因である。
子供を捧げるところがあって、そのせいでメイリンは捧げられそうになっていた子供を助け出した。
「‘きっと別の子供を用意しようとするはず……その前に攻略してしまわねばならないわ’」
「‘攻略って……でも俺たちにそんな権限ないだろ?’」
「‘私がどうにかするわ。もし声がかかったらやってくれる?’」
「‘まあ、ここまで来たら最後まで付き合うよ’」
「‘流石ダーリン。私が知る中で一番カッコいいわよ’」
今度は攻略か。
目の前の大問題が解決したのに次の問題が出てきてしまい、トモナリは軽くため息を漏らしてしまうのだった。




