子供救出作戦5
「デバフ系のスキルか」
相手の能力を下げたり、行動を邪魔したりするスキルを剣の男は持っているようだ。
「はっ!」
「助かった!」
トモナリが鎖を切って破壊する。
ユウトの腕に絡みついていた鎖が消えて、体の重さがなくなっていく。
「あいつらレベル高そうだな……」
スキルの制限ありとはいえ、二人がかりでも互角に戦っている。
自信満々に姿を現しただけはある。
「……向こうも同じような感じか」
サーシャとミズキが戦う槍の男も引けを取らない能力の持ち主である。
どちらかといえば槍の男の方が力は強いようだが、ミズキのフォローがあるサーシャの防御を打ち崩すところまではいかないようだった。
「早めにこっちが倒すしかないな!」
あまり時間をかけていると警備員が来てしまうかもしれない。
「一気に行くぞ」
「おうよ!」
コンテナに閉じ込められている子供たちも心配だ。
「二連撃!」
ユウトがスキルを発動させる。
二連撃は便利で応用性の高いスキルではあるが、希少とまではいかず比較的見られることもある。
スキルがバレたところですぐに正体には直結しないし、さらに二連撃は意外と厄介だ。
「‘くっ!?’」
魔力によって間髪入れず繰り出される二撃目は警戒していても防ぐのが難しい。
剣の男の脇腹を二連撃が掠める。
傷口は深くないが、それでも斬られた痛みは一瞬動きを鈍くする。
「喰らえ!」
トモナリは動きの鈍った隙をついて剣を振り下ろす。
「‘……なんだと!?’」
回避は間に合わない、と考えた剣の男はトモナリの攻撃を自分の剣で受け止めた。
結果、トモナリと剣の男の剣は互いに砕け散った。
外から変化が見えにくいスキルは当然バレにくい。
トモナリは怪力を発動させて力を引き上げた。
世界樹の加護で数値に現れない体の頑丈さも上がっていて、スキルの出力を抑えれば自分の力で体が壊れることもなく使えることができるようになった。
力任せの一撃はお互いの剣を破壊したのである。
「‘くっ! こいつ……’」
「力勝負しようか!」
逃げようとした剣の男だったが、トモナリは足を踏みつけて逃さない。
足の甲が砕けて痛みを感じる剣の男に向かって、トモナリは拳を突き出す。
今トモナリの力は170もある。
そこに怪力スキルで1.5倍にすると、多くの覚醒者が純粋な力ではトモナリに敵わないことになる。
「ひぇー……こええなぁ……」
アゴを打ち抜かれ、剣の男が吹き飛んでいく。
近くにあったコンテナに衝突し、ベコリと大きくへこむほどの力を見てユウトは背筋が凍る思いだった。
トモナリが味方でよかった。
そう感じる。
「アイツも倒すぞ」
「……ああ!」
呆然としている場合ではない。
トモナリとユウトは槍の男との戦いに加勢する。
流石に四人相手では分が悪い。
逃げるような姿勢も見せたが、連携を取って追い詰めて槍の男も倒した。
「こいつらどうする?」
「連れてこう。メイリンに任せるんだ」
明らかに敵であるし、リスクを考えれば殺してしまうということも選択肢としてはある。
しかし何かの情報を持っているかもしれないし、メイリンに引き渡してしまおうと思った。
「子供たちを探そう。この近くの可能性が高い」
最初からつけられていたにしては、男たちは突然現れた。
だとしたらこの辺りで隠れて様子を窺っていたに違いないとトモナリは考えた。
つまりこの辺りでメイリンの協力者と戦って、仲間が来ると待ち伏せしていたのだ。
そうなると周辺にコンテナがある可能性も高い。
「トモナリ君、あれじゃない?」
サーシャが盾でトモナリのことをつつく。
視線の先には青いコンテナがある。
ちょうど剣の男が衝突したコンテナの隣にあったものだった。
「……本当だ」
標識を確認してみると連絡にあったものと同じだった。
「……ようやく見つけた」
コンテナを開けてみる。
中には五人の子供たちがいた。
怯えたような顔をしているが、怪我はなさそう。
「よし、迅速にここを脱出だ」
トモナリたちは子供たちと拘束した男たちを連れて、ヒカリの上空からのアシストを受けて港を抜け出したのであった。




