救うべき存在2
「世界樹のところで保護できたら無事に済むかな?」
やはり人ではないというところは大きなネックだった。
ドワーフを受け入れられない人たちもいた。
そしてドワーフ側も割と考えが固くて、人に馴染むまでに時間がかかってしまった。
結果的に残されたドワーフは少なく、トモナリがドワーフに会った時には最後の一人となっていたのである。
だが本来はドワーフももっと多くの人数がいた。
上手くやればまとめてドワーフを保護することも可能なはずなのだ。
「上手く思い出せないな……」
トモナリは椅子に座って険しい顔をする。
ここまで記憶に頼ってきたことも多い。
思い出せる限りのことはしてきたが、実際は思い出せないこともたくさんある。
ニュースを見てふと思い出したり、どうにかできるはずだったのにどうにもできなかったこともある。
ドワーフ関連の話はあまり多くを記憶していない。
エルベルドから聞いた話もあるが、ドワーフがどういう経緯で仲間になったのか知らないのだ。
役に立つような話もあったはずなのだけど、エルベルドから聞いた武勇伝のような話ばかりが思い出されてしまう。
「大丈夫なのだ?」
「ああ、少しシャワーでも浴びようかな」
ぼんやりしていたら、いつの間にかヒカリとユシルが下からトモナリの顔を覗き込んでいた。
思い出せないことを思い出そうとしても時間の無駄である。
それなら思い出せることを使って何かしていた方がいい。
「何かやるにも……色々目が厳しいしな」
世界樹のおかげでトモナリたち周りの注目度は上がっている。
本当の世界樹の所有者はトモナリであり、他の人たちは自由にできない。
ただ表向きには五十嵐ギルドが筆頭で管理をしていて、木崎植物研究所がお世話をしている形となっている。
五十嵐ギルドのところには問い合わせが殺到しているらしいけれど、そこら辺は五十嵐ギルドも上手く対応してくれていた。
トモナリたちは目立たぬ立場となっているのだけど、流石にいなかったことにはならない。
どこかでトモナリたちの存在がバレてしまう可能性は低いとも言い切れなかった。
ゆかりの引っ越しも計画しているが、まだ終えていない。
派手に行動して世界樹の所有者だとバレて、一気に注目されても面倒である。
「次何が起こるか。そして何をやっていくかだな」
もうだいぶ記憶と違うところも出てきてしまっている。
次に起こる出来事も予想しきれなくなってきた。
何が起きても対処できるように力をつけてきたし、味方となってくれるような縁も繋いできた。
世界全体が良くなったとは断言できないが、回帰前よりも良い感じになっているところあると思う。
「ドワーフが出るゲートってどこに出んだっけ?」
こんなことならもっとエルベルドの話を聞いておけばよかった。
トモナリはそう思いながら深いため息を漏らしてしまうのだった。




