姉、復活する7
「落ち着きましたか?」
割と恥ずかしい思いはあった。
四人の前で姉を抱きしめるなんて、普通の行為ではない。
ただ明らかにモーノの電撃が弱くなっていく。
「姉さん」
「お姉様」
「お姉」
「お姉ちゃん」
「みんな……」
「ビリビリするのだ……」
「ビリリ〜」
トモナリがやったように、サントリたちもモーノを抱きしめる。
オートマタゲートでは、倒すためにみんなで必死にしがみついていたけれど、それとは全く違っていた。
トモナリの背中にはヒカリが抱きつき、さらにその背中にはユシルも抱きついている。
「もうただ守られるだけじゃないんだ。大変でも……自分たちで戦うんだ」
「僕たちも頑張ってるんだよ! 戦うし、料理したり、洗濯したり、色々やってるんだ」
みんなで抱きしめ、みんなでモーノを落ち着かせようとする。
等しく痺れを共有して、同じ痛みを分かち合う。
「………………そうなのね。あなたたちは、前に進んだのね」
そうして、モーノの電撃は完全に収まった。
「お姉様も一緒に行きましょう」
「うん、一緒」
「……私も? いいの?」
「一緒に行きましょう。みんなのお姉さんなら歓迎だ」
他のオートマタでは再現しきれなかった電撃の力をモーノは持っている。
ゲートで戦った時も強かったし、味方になってくれるのならなんの文句もない。
今回まともな戦いはほとんどなかった。
でも、戦いがなくともいいじゃないかとは思う。
「ドアが開いた……」
トモナリが部屋に入ってきたゲートが消えて、部屋のドアが開く。
ドアの向こうには別のゲートが渦巻いていた。
『ゲートが攻略されました!
間も無くゲートの崩壊が始まります!
残り00:10』
「……なんかあっけないな」
ゲート攻略の表示が現れる。
これで攻略、ということらしい。
思っていたよりもあっさりと終わってしまった。
「そうか? 簡単そうに見えて簡単じゃないと思うぜ」
「なんでだ?」
「姉さんの電撃……攻撃もしないであん中に突っ込んでいくなんて、できないよ」
トモナリはなんともなく終わったと思っているが、トモナリが無防備に電撃をくらいながらモーノを抱きしめた時にはみんな驚いていた。
簡単なようだけど、バチバチと激しい音のする雷を見て近づこうとする人の方が少ないだろう。
「あんなん馬鹿のすることだ。もうやめてくれよ?」
モーノを助けてくれたことには感謝している。
しかしトモナリが傷つくことも望まない。
「分かったよ。でもなんか……大丈夫な気がしたんだよ」
「まだシビビ〜ってするのだぁ〜」
「シビビ〜」
トモナリもまだ痺れた感じがある。
けれども死ぬではいかないような、不思議な気がしていた。
「頼んだよ。僕の可愛い娘たちを……」
ゲートを出ていく一瞬、五姉妹の父親の声がトモナリには聞こえたような気がしたのだった。




