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【第九章完結!】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第十章

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姉、復活する6

「なんか、ピンクの部屋だな」


 ゲートを抜けた先にあったのは、やたらとピンク色のものが置いてある広い部屋だった。

 部屋の真ん中には女性が立っている。


 銀色にも見えるような艶やかな白い髪をした女性は、トモナリたちに背を向けていた。


「姉さん……」


 サントリの呟きに反応するようにモーノが振り向く。


「綺麗な顔してるのだ」


 オートマタゲートでは顔が半壊していた。

 その状態でも元が美人なことは分かりきっていたが、今は傷一つない綺麗な顔をしている。


 四姉妹でサントリとディーニが美人な感じで、シテトラとペンターゴは可愛い感じの顔をしている。

 サントリはボーイッシュな感じの美人で、ディーニはクールな感じの美人。


 モーノは少しばかり垂れ目で、おっとりとした優しそうなお姉さんといった顔つきをしている。

 オートマタゲートで戦った時とはだいぶ印象が違う。


 紫と赤のオッドアイとトモナリは目があった。


「……えっ!?」


「お姉様、ダメですよ」


「そうはさせない」


「なぜ……止めるの?」


 次の瞬間、モーノはトモナリに殴りかかっていた。

 ディーニとサントリが止めると、モーノは驚いたように目を見開く。


「姉さん、この人は敵じゃない」


「……敵よ。もう騙されない。私たち姉妹以外はみんな敵なの」


 正気を失っているものだと思ったが、意外と理性がありそう。

 もしかしたらそのまま説得できるかもしれないと期待を抱く。


「彼があなたたちを騙しているのね?」


 モーノは光の入らない暗い目をしてトモナリのことを睨みつける。

 話が通じそうだと言ったのは撤回である。


「どいていなさい。あなたたちのことはお姉ちゃんが守るから」


「お姉様、もういいのです」


「何がいいのかしら?」


「僕たちももう守られるだけじゃないんだよ!」


「お姉ちゃん、自分だけを犠牲にしないで」


「……その男に一体何を吹き込まれたの?」


 モーノの体からバチバチと音を立てながら電気が放たれ始めた。

 他のオートマタでは再現することができなかった雷の力を持つのが、最初の一人モーノの力である。


「……みんな下がってて」


「トモナリ!」


「ここは俺がやる」


 トモナリは感じた。

 顔合わせはまだ続いている。


 父親に続いて姉なのだ。

 四姉妹に相応しい男であるとモーノに自分自身で証明する必要があるのだと前に出る。


「そのうちこんな男が出ると思っていたわ……あの子たちをたぶらかし、利用しようとする奴が!」


「確かに利用していることは否定しません。でも彼女たちとは互いに助け合う関係です」


「なら証明してみなさい!」


 魔力の属性を変化させて戦う点ではサントリにも近い。

 だが火炎を操るサントリがパワータイプなら、雷を操るモーノはスピードタイプだといえる。


 気づいたらトモナリの目の前にモーノの拳が迫っていた。


「くっ……」


 速い。

 そして速度の分だけ勢いもあって意外と重い。


 さらにモーノの体をほとばしる電気がトモナリの腕に伝わってビリビリとしている。


「あなたが俺に彼女たちを任せてくれたんじゃないですか」


「私が? いつ?」


 モーノは覚えていないようだが、オートマタゲートでの最後に魔石を自らトモナリに渡して任せると言ったのだ。


「うっ……!」


 急にモーノの頭に痛みが走った。

 頭を押さえてふらつくモーノは、何かを思い出そうとしていた。


「モーノさん、大丈夫……」


「来ないで!」


「うわっ!」


 トモナリが手を伸ばそうした。

 モーノは拒絶するように電気を放つ。


「そうだ……周りの奴らは私たちをモンスターとしか見ていない……そのあとどうなった……? あれ? 私は……みんなを守るために」


 雷を身にまとうモーノは頭を抱えたまま、ブツブツと何かを呟いている。

 瞳はブルブルと細かく震え、明らかに正気ではなかった。


「…………ご主人様!?」


「何をするつもりだ!」


 どうしたらいいのか、考えた。

 このままではモーノはまた正気を失ってしまいそうに見えた。


 トモナリはふと、四姉妹の父親の言葉を思い出した。


「うっ……」


 モーノに近づくと、電撃がトモナリに襲いかかる。

 体の筋肉が勝手にピクピクと動き、感じたことのないような痛みに襲われて顔を苦痛に歪める。


 それでも止まらずモーノに近づき、そっと彼女の体に手を回した。


‘強いように見えて、あの子は繊細で寂しがり屋だ。昔は寝れないと部屋を訪ねてきたあの子を優しく抱きしめたものだよ’

 

 そんなことを四姉妹の父親は言っていた。

 父親の代わりにはなれないけれど、少しでも落ち着けばとトモナリはモーノのことを抱きしめたのだ。


 正直すごくキツかった。

 モーノから放たれる電撃がトモナリの体も駆け抜ける。


 しかし魔力を全身にみなぎらせてなんとか耐え抜き、そっと抱きしめる。


「…………あなたは、何がしたいの? 私に優しくして……」


「あなたが、したいようにしてください。できるだけ多くの人を、助けたい」


 トモナリはなんとか答える。


「そう……ああ、思い出したわ」


 モーノの電撃が収まっていく。


「あの牢獄のような場所からあの子たちを救い出してくれた、カッコいい人」


 正気を失いかけていたモーノの目に理性が戻ってきた。

 抱きしめる腕にそっと触れ、トモナリのことを見上げる。

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