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【第九章完結!】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第十章

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姉、復活する5

「特に……モーノには苦労をかけてしまったようだね」


「姉さんは今、どうなってるんだ?」


「今モーノは狭間にいる。生と死の、そしてただのモンスターと人としての意識の間で揺れ動いている」


 四姉妹の父親がいたのは予想外のことだった。

 最初に予想していたのはモーノがいるということである。


 ただこうなればモーノもどこかにいるだろうという雰囲気は感じられていた。


「助けてやってくれ。あの子を……モーノを頼みます」


 四姉妹の父親は立ち上がってトモナリに頭を下げる。


「……ええ、任せてください」


 確実なことなんて言えないのだけど、頑張りますなんて言葉を濁せる状況じゃない。


「大丈夫ですよ……あなたならきっとモーノを連れ戻せる」


「どうしたらいいですか?」


「なんてことはありませんよ。彼女のことを受け入れてあげてください。今のモーノは全てを敵だと思っている……だから、敵ではないと伝えてあげてください」


 ゲートの攻略条件としても連れ戻せとなっていた。

 条件としては曖昧でどうしたらいいのか、トモナリは少し困っていた。


 しかし四姉妹の父親が笑って答えたのもまた曖昧だった。


「強いように見えて、あの子は繊細で寂しがり屋だ。昔は寝れないと部屋を訪ねてきたあの子を優しく抱きしめたものだよ」


「…………努力します」


 結局どうしたらいいのか、分からない。


「……おっと、もう時間がないようだ。僕は気まぐれで少し話す時間をもらっただけの存在に過ぎない」


 ほんのりと四姉妹の父親の姿が透けてきていた。


「最後に……みんな、別れの挨拶を」


 テーブルを回ってきた四姉妹の父親がそっと手を広げる。


「お父さん……!」


 ペンターゴが飛び出すように父親に抱きついた。


「僕も……!」


 シテトラもペンターゴに続いて飛びつく。

 すごく優しい顔をして、二人のことを抱きしめる。


「君たちに寂しい思いをさせたね。良い人がそばにいてくれるようでよかった」


 父親の声は、少し震えている。


「僕はもうそばにいてやれない。でも彼に任せれば大丈夫そうだ」


 シテトラとペンターゴそれぞれの頭を撫でる。

 ペンターゴはグリグリと胸に頭を擦り付け、シテトラは泣きそうな顔をして父親を見上げている。


「ディーニ、サントリ、二人も」


「……恥ずかしんだからな」


「お父様、私たちは大丈夫ですよ」


 ディーニとサントリも父親と抱擁を交わす。

 トモナリには父親がいない。


 小さい頃に亡くなってしまったので、記憶すらほとんどないのである。

 ただ優しくて良い人だったとゆかりから聞いたことはある。


 父親がいたら、こんな感じなのだろうかとトモナリは目を細めていた。


「トモナリ君……だったね?」


「はい……」


 四姉妹の父親は改めて一人ずつ抱きしめて、最後はトモナリに目を向けた。


「彼女たちを……そしてモーノを頼むよ」


「任せてください」


「僕たちの世界は助からなかった。君たちの世界はこれから大きな困難に遭遇だろう。頑張って。みんなで力を合わせて、乗り切るんだ」


「……はい」


 四姉妹の父親はこれから何が起こるのか分かっているようだった。

 そして、似たようなことが四姉妹の父親の世界でも起きたようだとトモナリは感じた。


「ドラゴン……人と共にある不思議なドラゴン」


 四姉妹の父親はヒカリのことを見つめる。


「なんなのだ?」


「いや、心強い友がいるのだなと、羨ましく思った。これからは娘たちの友としてもお願いできるかな?」


 ほんの少し何か思うところがありそうだったけれど、言葉を飲み込むように首を振る。

 ドラゴンが人と一緒にいることが不思議なのかもしれないとトモナリは思った。


「もちろんなのだ! みんなは僕の友達なのだ!」


「そうか……そうか」


 ヒカリが胸を張り、四姉妹の父親は笑顔を浮かべる。


「それじゃあ……みんな、幸せにね……」


 四姉妹の父親の姿が薄くなって消えていく。

 そして、最後には小さな光が残った。


「変なゲートだな……」


 光はパッと広がって次の階へのゲートになった。

 不思議なゲートがあることは知っている。


 ただモンスターと戦うだけではなく、あたかも別の世界を感じさせるようなストーリーを持ったゲートがある。

 ゲートの存在については色々な議論があった。


 異世界の一部なのではないか、そんなことを言う人もいる。

 トモナリにも本当のところは分からない。


 ただ、こうした出来事があると別の世界の存在を強く信じてしまう。


「この世界は守ってみせる……」


 そして、他の世界はこの世界のように滅びてしまったのではないかとも思うのだ。

 以前世界樹がもう滅びは見たくないと言った。


 世界樹はいくつもの世界に並行して存在し、その意識はどこかで繋がっているという。

 世界樹が存在していた世界にも試練が現れ、乗り越えられずに滅んでしまった可能性はある。


 感情に浸っている暇はない。

 トモナリが振り向くと、四姉妹は少し涙ぐんだ目をしながらも力強く頷いた。


「モーノを救おう」


 今すぐ世界は救えない。

 目の前の、手が届くものが救っていこうとトモナリはゲートを通り抜けた。

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