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【第九章完結!】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第十章

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姉、復活する4

「さてと……何が待ち受けてるのかな?」


 開け放たれた門を抜けて洋館に近づく。


「おっと、私が開けようか」


 相変わらずちょっと怪しい雰囲気のある洋館であるが、オートマタゲートの時のような威圧感はない。

 トモナリが前に出て玄関のドアを開けようとしたのだけど、何があるかは分からない。


 代わりにサントリが開けることになった。


「いくぞ……!」


 鍵がかかっている様子はない。

 サントリは薄くドアを開け、手のひらをそっと押し当てる。


 そして勢いよくドアを開け放った。


「おかえり」


「………………父さん」


 ドアを開けた先、そこに立っていたのは四姉妹の父親であった。

 深い紫の瞳に白髪混じりの茶髪、優しい笑みを浮かべた四姉妹の父親はどことなく四人それぞれにも似ている。


 四姉妹はそれぞれ驚きに目を丸くしている。

 モンスターの襲撃を予想していたのに、自分たちの父親の姿があったのだから当然の話だろう。


「そう警戒しなくても大丈夫だよ」


 屋敷の中もただの屋敷だった。

 オートマタゲートの時は、中が異常な広さのダンジョンとなっていた。


 今は見た目上は普通だ。


「こうしてまた……みんなに会えたのは嬉しいと同時に、不思議な気持ちになるね」


 どうするべきなのか。

 ディーニすら困惑している。


「玄関先で立ち話もなんだから中に入ろう」


「…………どうなさいますか、ご主人様?」


「……ついていこう。警戒はしながらもね」


 父親は奥に歩いていく。

 判断ができなくて、ディーニは少し困った目をしてトモナリのことを見た。


 仮にトモナリが攻撃しろというのなら、他の三人はともかくディーニはそうするつもりだった。

 しかしトモナリに攻撃するつもりはない。


 相手が本当に四姉妹の父親なのかどうかトモナリには判断できない。

 ただ敵意は感じなかった。


 サントリたちを見るその目には慈しみがあったのだ。

 一応剣はしまわず手に持ったまま四姉妹の父親の後を追う。


 よく掃除のなされた綺麗な廊下を歩いていく。

 サントリたちはやや緊張したような面持ちをしている。


「お腹は空いてるかな? 何か用意させよう」


 ついた部屋は食堂だった。

 数体のオートマタがいて、トモナリはほんの少し身構えたけれども攻撃してくる気配はない。


 メイド服を着たオートマタがキッチンの方から紅茶が乗せられたカートを運んできた。


「何この配置……」


 長いテーブルの真ん中に四姉妹の父親が座り、なぜかその正面にトモナリが座らせられる。

 トモナリの左右にはサントリとディーニが座って、さらにその横にシテトラとペンターゴがいる形となった。


 ヘキサムはシテトラの隣の床に伏せ、ヒカリはトモナリの膝、ユシルは小さくなってヒカリの頭に引っ付くようにして寝ている。

 最近になってユシルはサイズを覚えたらしい。


 トモナリはなんでこんな配置になっているのかと緊張する。

 四姉妹の父親はニコリと笑顔を浮かべているが、これでは恋人の親との顔合わせみたいである。


 トモナリにそんな経験はないけれども、覚えのないような緊張感に珍しく固くなってしまう。


「君が娘たちを助け出してくれた人だね」


 四姉妹の父親がトモナリのことを見つめる。

 表面上は笑顔なのに、目の奥が笑っていないことは正面にいるトモナリには分かった。


「え、ええ、運が良くて……助けたし、助けて、もらいました」


 慎重に言葉を選ぶように返す。


「そうかい。僕は……漂う波の中でずっと一つのことだけを考えていた。我が愛娘たちが幸せになってくれただろうかと」


 お菓子まで運んできたオートマタは壁際に立って待機し、部屋の中に四姉妹の父親の声だけが静かに響く。


「不思議なもので、またこうして娘たちに会う機会を与えられ、何が起きたのかほんの少しの記憶も与えられた」


 四姉妹の父親は悲しげな顔をした。


「僕が……みんなをオートマタにしてしまったせいで大変な苦労をかけてしまったね。モンスター扱い、そして──────へ封じ込められてしまった」


「……なんだ?」


 言葉の一部がまるでノイズでも走ったように聞こえなくなった。

 トモナリは眉をひそめるが、サントリたちがおかしく感じているような雰囲気はない。


「モーノは身も心も壊れてしまった。僕のわがままが……こんな結果を生み出すとは思っていなかった。みんなに生きていてほしいと願って、禁忌を犯したばかりに……」


「そんな、父さん。私たちは大変だったと思っても、後悔したり、今こうなったことをなかったことにしたいと思ってなんかいないよ」


「そうですよ、お父様。どんな姿になろうとも私たちは、私たちです」


 泣き出してしまいそうな雰囲気すらある四姉妹の父親にサントリとディーニがフォローを入れる。


「大変だった……でも、今は僕楽しいよ」


「うん、生きててよかった」


「……そうか」


 四姉妹の父親の目にジワリと涙が浮かぶ。

 この場にいていいのだろうか、そんな思いでトモナリはできるだけ気配を消していた。


「感謝をしようか。我が娘たちを助けてくれてありがとう」


 四姉妹の父親がまっすぐにトモナリのことを見つめた。


「……どういたしまして」


 謙遜するのもなんだかおかしいので、素直に感謝を受け取った。

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