4日目〜冬の間準備をしていた芽は、そろそろ萌えて。
今日の朝食の当番は、ユーフォニアムを除いたバスパートとパーカッションパートだった。
しめやか。
そんな言葉が浮かんでくる雰囲気だ。
会話はすぐに途切れ、食器の並べられる音が食堂に響く。
ぞろぞろと入ってくる生徒も、どこか暗い雰囲気だった。
弥羅和に成りすました赤沙が、寝ている弥羅和を殺した。
それが真実になっていた。
「何で、赤沙ちゃんが」
智恵子の涙はもう出なくなった。昨日の夜に散々泣いた。
でも、やっぱり嫌だった。
赤沙ちゃん、弥羅和ちゃんが心配でずっと待ってて、無事だって分かるとあんなに喜んでたのに。
絶対にそんな事はないんだ。赤沙ちゃんが弥羅和ちゃんを。
本当は違うのに、みんながそう思ってるから、集団意思決定論的に私に影響しているだけなんだ。
智恵子は自分でもよく分からない言い訳で自分自身を慰めていた。
少し離れた所にいる冬見は、心配そうに智恵子の様子を見ていた。
「大丈夫、かな」
「大丈夫」
秋見が珍しく大きな声で言った。それでも数人にしか聞こえていなかったが。
冬見は秋見を見詰める。
「誤解をしたのは、私」
秋見の言葉を聞き返す。
「誤解?」
「……驚かない?」
秋見はしばらく間を開けてから冬見の目を見てそう聞き、僅かに首を傾けた。
冬見は頷く。
「弥羅和、今日の昼食で、来る」
その言葉に思わず声を上げてしまいそうになった冬見だが、我慢をして簡潔に聞く。
「何で?」
「嘘、だから」
秋見は更に付け足した。
「この事、誰にも、秘密」
「何で、私だけ?」
「其れは」
焦らすように少しの間を開け、続けた。
「冬見には、別の役割、を付与、したかった」




