3日目〜バレンタインデーって、バレンタインさんが死んだ日、だったっけ?
就寝時間の十一時を過ぎた。
しかし、休息スペースには二人の人影があった。
夏見は隣に座っている秋見に聞く。
「なあ、石田さん。本当に弥羅和さんと入れ替わった赤沙さんが犯人なのか」
「不明」
「どうも納得ができないんだよな」
「何故?」
「そもそもさ、階段を転げ落ちるだけなら、アルコールなんて飲んだように見せかけなくてもいいんじゃあないか」
秋見の鋭い視線が夏見を刺す。
「其だけ?」
「あともう一つ。フロントの人に救急車を呼んでもらおうと思って話したんだけど、そこで会話が納得いかなくて」
「どんな」
電話が繋がらない。近くのホテルも同じ。復旧が3日後の午後。こちらから病院に向かうのは。残念ながら。病院に行くには橋を通らないと。橋が壊れ外部と接触出来ない。
秋見は少し考える。
「外部と接触不可。が、情報が分かっている、事」
首を僅かに傾けて、もう少し秋見は続けた。
「連絡方法は」
それに答えるように夏見が思い付くまま単語を言う。
「電話、携帯、無線、トランシーバー、パソコン、鳩、口伝え、糸電話、ラジオ、テレビ」
二人の視線は、目の前のコンピューターに向く。
そのコンピューターにはうっすらと埃がかぶっていた。
「成る程」
秋見はそれを見て納得したようだった。
「私、昨日、あれ、使った」
「それが」
「解らなければ、其で好い。後、髪の毛を、ちょっと切ったのは、矢張り弥羅和」
「それで?」
「解らなければ、其が好い。私、寝る」
そう言って秋見は立ち上がり、夏見を置いて階段を上っていった。
秋見は、部屋の前に辿り着くとぼそりと呟いた。
「彼女達に、謝るべきか」
バレンタインさんがバレンタインデーに死んだ、というのは、信憑性が低いのだとか。




