3日目〜よく考えてみると、クリスマスと正月を両方共やるのはとっても不自然なような
警察には連絡ができないので、明日の午後まで待つ事になった。
その間、赤沙は別荘にいる。
夏見たちは未だに信じられていない。
まさか、赤沙が弥羅和を殺しただなんて。
でも、弥羅和を演じていた彼女は犯行を認めていた。
そして今はコンクール合奏。
「じゃあ、今日は兵士の合唱から」
ファランドールのように完全小節の三拍目から始まるこの曲は、トロバトーレの中の一曲である。それを吹奏楽譜に編曲したものだ。
その名の通り兵士役の男性陣が野太い声で歌う場面。
金管楽器の切れと、木管楽器の速い指の動き。そして全体でどれだけ縦が合わせられ、ハーモニーがしっくりくるか。
まあ、曲が速めの曲なので誤魔化しは多少はきく。
先生が指揮棒を構え、四分音符160程のテンポで余動二泊の後、全員でBの八分音符から吹き始めた。
が、縦が合わない。
先生はすぐに止める。
「もう一度」
夏見はどこか納得できていなかった。
不自然な所があるような気がする。
何処だ。
入れ替わったのは分かる。
確かに合理的であるように一見、見える。
いや、実際に見える。
だが納得はいかない。
原因はなんだ。
「いちっ、にっ」
そう言いながら、先生は棒を振り下ろし、振り上げ、そして三の所でもう一度振り下ろした。ここから、二回目の演奏が始まる。
演奏は意識しなくてもできる。
みんなが知らなくて、僕だけ知っている事があるのか。
僕だけで行動したのは。
占いをした後。弥羅和を助けた時。フロントに聞きに行った時。夜にお風呂に入った時
二日目は、お風呂の時だけか。
今日は特になし。
占いは佐々木萌子の要求。という事は、やっぱり何かあるのかもしれない。
スペードのクイーン。
スペードは、剣、権力、ストレス、死の象徴。クイーンは見た目通り女性の象徴。
あれは、死の象徴か。それとも権力の象徴か。
弥羅和を助けてからも特にこれといった事はない。はずだ。
ただ、アルコールが。
いやアルコールを飲まなくても、別にただ階段から落ちれば良かったんじゃあないか。
本当にアルコールを飲んだのはわざとなのか。
おかしい。
じゃあフロントではどんな事を喋った。
電話が繋がらない。近くのホテルも同じ。復旧が3日後の午後になるみたい。それまでは。こちらから病院に向かうのは。残念ながら。病院に行くには橋を通らないといけない。橋が壊れていて外部との接触が出来ない。
あれ、これも変じゃないか。
「お〜い、夏見君、起きてー」
気付くと、夏見の顔のすぐ前に春見の顔があった。
後少しで答えが出てきそうだったのに、と少しだけ悔しい思いをする夏見だった。




