3日目〜雪の結晶、蜂の巣、六方細密構造。これらの共通点は非常に合理的だという事
ここから解答編
翌日、古木木木先生は、自分同伴という条件付きで、午前中に田奈浜家の別荘に行く事を許可した。各務先生は文句を言っていたが、最終的には折れた。
そして、その食堂に集まった九人。
古木木木先生、智恵子、弥羅和、春見、夏見、冬見、秋見、東海林、守村。
召集したのは秋見。
「石田様、我々を集めて、一体」
「事件、の犯人、解った、から」
顎に手を当てて考え込む東海林。智恵子や冬見は秋見を注視する。
弥羅和は緊張で体が固まっているようだった。
「弥羅和ちゃーん、リラックスよ〜」
春見がそう言い、弥羅和からは力が抜ける。
「始めます」
ぼそりと呟かれた言葉に、全員が姿勢を正す。
「まず犯人は、そこの、赤沙」
びしりと指を指す。
「でも、彼女は赤沙ちゃんじゃあなくて、弥羅和ちゃん」
「違う」
智恵子の反論に対して直ぐに否定的意見を出す秋見。
「彼女は赤沙。髪を切れば、見える」
秋見は立ち上がり、テーブルの短い側で振幅運動を始める。
「赤沙が弥羅和に入れ替わったのは、二回。一回目、一日目の夕食前。彼女は一度お手洗いに立った。それで元に戻った。二回目は一昨日の深夜。彼女が殺される前から、今迄」
どこからかホワイトボードが出てきた。
ペンを取り、そこに書き始める。
「上、弥羅和。下、が赤沙。横が、時間軸。今そこにいる彼女の動径は、こう」
下から書き始められた線は、途中で上に移動し、そしてまたすぐ下に移動し、もう一度上に移動したところで上下運動は無くなった。
秋見はペンを置く。
「動機は、不明。だが合理的。アルコールを飲ませ、何処迄の効果が得られるかは賭けだった?」
首を傾け聞く。
「いいえ」
弥羅和はいつもより低い声でそう即答した。
「そう。それならこう。合宿二日目の午後は赤沙が弥羅和を演じる筈だった。少なくとも、弥羅和はそう思った。だからアルコールを飲んだ振りをした。赤沙に協力した。勿論、この屋敷の人も」
秋見は座った。
「此処からは、簡単。赤沙が裏切り、弥羅和を殺す。これが合理的解」
そこで止まると思ったが、秋見は、だけどと続ける。
「私には理解不能。何故防犯カメラに態と写った?」
さっきとは反対側に首を傾け聞く。
「さあ」
同じく即答。少しぶっきらぼうな返事だった。
「そう。私に現在解るのは此処迄。此処から先は、理論的に解釈するのは無意味」
そう言ったきり、ここには人工的な物音しか聞こえなくなる。時々、鳥の鳴き声が聞こえた。
「でもさ、赤沙ちゃんと僕たちって、一日目の夜に一度会ってるよね。どうやって髪を伸ばしたんだ。それに、あの死体が弥羅和だとしたら、そっちの方もだけど」
夏見の質問に、秋見はすぐに答える。
「髪の解釈方法は幾つか有る。鬘で充分」
「そうか」
夏見はこの時、何か納得しないものを抱えていた。
それが何なのかは分からなかったが。




