2日目〜奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき
一通りの調査が終わり、弥羅和と智恵子を除いた八人が戻ってきた。
時刻はもう五時を過ぎていた。
秋見が調べた事を言う。
防犯カメラの映像に、弥羅和らしき人物が写っていた事。他に赤沙の部屋に入った人はいない事。凶器のナイフは調理室から同一人物が昨日の八時四十五分頃に持ち出していた事。
夏見も見たことをありのままに語った。
「赤沙さんを殺す動機は、弥羅和さんにはある。彼女が階段から落ちる前に言っていた」
「それって、つまり弥羅和ちゃんが、犯人っていう事、なの」
冬見が震える声で秋見に聞く。
「それだと、変」
秋見に同調するように夏見が続けた。
「そうなんだよな。もしも、だ。弥羅和さんが犯人だったとする。でもそうした場合は、彼女の怪我は仮病、という事になり、それだと僕が嘘を付いたことになる」
全員の目が、その先を促す。
「うん。だけど客観的に考えてもそれは無いだろう。そもそも彼女が階段から落ちたのはアルコールを飲んでいたから」
「未成年は飲酒禁止よ〜」
春見の突込みは無視して、続ける。
「だから足を滑らせた。多分、そのアルコールを飲んだ事から先は偶然だと思う。だけど、僕たちが帰った後すぐに凶器を取りに行っていたのが、気にはなるな」
夏見は全員を見渡す。
加奈が口を開いた。
「それなら、アルコールを飲んでないのかも。もしかしたら、ここに来る為にわざとやったのかもしれない」
「危険、が高い」
秋見が小さくそう言った。
絵理が言う。
「そういえば、昨日の夕食の時にね、弥羅和ちゃん、水から変な感じがするって言っていたような」
その時、扉が開いて智恵子と弥羅和が入ってきた。
「あの、私、今日はここで休ませていただきます。皆さんは、私の事は気にしないで戻って良いですよ」
「弥羅和、髪、切った?」
秋見が唐突に言う。
その言葉に、弥羅和は目を軽く上げて答えた。
「うん。ちょっと、ね」
夕日に染まった部屋の中に立つ彼女は、驚いたような、それでいてどこかホッとした表情をしていた。




