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2日目〜F.S.(四季、もとい、四つの話)

 1st.

 各務先生は△△荘へ戻っている。

 やっぱり、あの子達を連れてきたのは拙かったかしら。

 あの四人、六月の時もなんだかんだ言いながら推理合戦を始めていたし、新聞部のあれに投稿もしたらしい。その後どうなったかは聞いていないのだが。

 いくらコンクールに集中できないからって言ったって、警察に任せた方がいいのに。

 でも古木木木こききぎ先生が良いって言ってたし、特にコンクールに関しては問題は無いのだろう。

 それになんだろう。彼女達、やけに熱心だったな。


 2nd.

「大丈夫、弥羅和ちゃん」

 寄り添いながら冬見が聞く。

 昨日の夜に赤沙が出てきた部屋は食堂だったようで、彼女達は水埜と共にそこにやってきていた。

「うん」

 そう言ったきり、この部屋には人工的な物音しか聞こえなくなった。時々、鳥の鳴き声が聞こえる。

 智恵子は弥羅和の心境を考えると、すぐにでも抱きしめてあげたい衝動に駆られた。だが、結局の所自分は部外者だという気持ちがあり、その衝動を抑えていた。

 一体、誰がこんな事を。

 人を悲しませるなんて。

 杪も心配してるだろう。

 彼女だったならば、いや、心だったならば、すぐにでも抱きついて、慰めていたかもしれない。

 どうして。

 どうして私は、何もできないのだろうか。


 3rd.

 秋見と加奈と東海林は管理室にやってきた。

 この部屋の責任者である高町という警備部の人間は、始めは高校生にネットワークを触らせる事に難色を示していたが、東海林の説得により管理者権限の必要の無い部分に関しての調査を許可した。

 秋見は早速中央のキーボードで操作を始める。

 真っ黒なモニタに白い文字が次々と書き込まれていく。

 しばらくすると、左側のモニタに映像が映し出された。

「赤沙、の部屋、の前」

 だそうだ。

 時刻は今日の早朝一時十六分を指している。

 その間もキーボードを叩いている秋見は、右側のモニタにもう1つの映像を映し出した。

「調理場」

 こちらの時刻は昨日の深夜八時四十分を指している。

 まず左側のモニタに変化が現れる。

 髪の短い女子が扉の前に立ち、ノックもせずに中に入っていった。カメラの位置から、部屋の中は見ることが一切できなかった。そして扉は閉められる。

「弥羅和、ちゃん?」

 加奈が呟く。

 今度は右側のモニタ。

 さっきの女子と同一人物と見られる女子が、川の字ように並ぶ長い銀色のテーブルの間を歩いている。

 そのテーブルにはコンロや流しがあり、壁際の棚には銀食器から中華鍋、調味料類がぎっしり詰まっているのが見える。

 女子は反対側の方に歩いていった。カメラからはそっちは見えない。

 左側のモニターでは、少女が出てきていた。念入りにノブを拭いている。

「御嬢様」

 東海林のこの言葉は果たしてどっちのお嬢様に向けられたものなのか。

 その間も、秋見はキーボードを叩いていた。


 4th.

 赤沙の部屋にやってきた絵理、秋見、夏見、守村の四人は、ベッドに静かに寝かされている少女を見た。

 部屋は少し冷えている。腐敗を防ぐ為だろうか。

 最後に会ってから十六時間が経っていても、その容貌はほとんど変わっていなかった。

 出血などにより皮膚が青白く見えるほかは、いたって普通の女の子に見える。

 今は胸にナイフは刺さっていない。乱れていない服の一部が赤くなっているので、そこが刺されたのだと分かる。

 四人はそのままじっとしていた。

「そろそろ、戻りましょうか」

 高校生にとって、息をしていない人間を見たことは相当ショックだったようだ。

 守村に言われるまま部屋を後にした。

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