2日目〜同じ日々が続くと退屈するが、それが過ぎ去ると何処と無く寂しいもので。
珍しく晴れたので草の覆い茂るゲレンデを通って山に登っていた金管と打楽器メンバーは、昼食に合わせて戻ってきた。
今日の昼食の担当はサックスパート。
良くありがちだが、カレーである。
外で練習していた部員も、匂いに誘われたのかいつもよりも早く集まってきた。
クラリネットパートは全員まだ来ていない。屋根裏部屋で講師の先生と特訓でもしているのだろう。あの先生は厳しい。
夏見も適当な席に座ったが、なんだか料理が他と違った。
「なあ、僕のカレー、少し量が多くないか?」
「本っ当ーだ〜。良いなー」
彼の隣に座った春見が羨ましそうに眺める中、突然食堂に駆け足で入ってくる人がいた。
「お、御嬢様。弥羅和御嬢様はいらっしゃいますか」
東海林だった。
服装はいつも通りの黒いスーツだったが、少し着崩れていた。相当慌てていたようだ。
そこに丁度先生が現れる。
「あら、執事さん、どうかしましたか」
「ああ、これは各務先生、昨日はどうも。それよりも、弥羅和御嬢様はどこにいらっしゃいますか」
「弥羅和ちゃんなら、音楽ホールに」
「分かりました。では」
そう言って出て行こうとする東海林を、先生は止める。
「ちょっと待ってください。どうしたんですか」
振り返った東海林の顔は、いつもの彼からは考えられないほどの焦燥と悲哀を醸し出していた。
「赤沙御嬢様が……御亡くなりになられました」
小さな声だったはずなのに全員がその声を聞きとり、時が止まった。




