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4話

 次の日、通常通り授業が行われた。いつものように朝の授業、昼の授業が終わり、たまにユアが教室に来ては騒がしくなる。ある意味これが日常になっていた。

 しかし、その日常とは少し異なることが起きてしまった。

 いつも通り、図書館に放課後に来て本を読んでいたのだが目の前に第三王子殿下がやってきたのだ。手にしている本は昨日と同じ本。私が進めた本だ。2周目を読み始めるらしい。2週目を読むという考えになってること自体、とても理解出来ている。本音を言うと私と同じ価値観の人がいて嬉しい。だが読むのは私の前でだ。

 本を読むことは否定しないのだが私の前で読むのはやめてほしい。しかも彼には後ろに護衛二人が立っている。

 図書館に来ている他の学生達が、「え、あれ第三王子?」とこそこそ話し始めた。そうもなる。私が来た時も少しだけなっていたが、流石殿下。私の時とは比にはならないぐらいざわついている。

 司書が「私語禁止よ」と注意して回るぐらいにはザワついていた。

 こんなことは予想はしていたが、司書が注意して回ったことによりかなり静かになった。新しく入ってくる人達が、反応するせいで静寂とは言い難いが。


 読み始めて少し経った頃には学院中に噂が広まってしまったのだろう。もっと騒がしくなる人物が図書館に来てしまった。


「殿下♡ゆあも来ちゃいました!ゆあも本読みたいですう」


 ユアが来てしまった。図書館なのも彼女が知ってか、教室ほどの声量は出さないが静かな図書館では響き渡る声量ではある。

 しかし、殿下はユアが来たにも関わらず、無関心で、関心があるのは本のみと言わんばかりにページを捲っていったのだ。


「殿下、殿下。ゆあですよ!」


 殿下の肩を不敬にも揺らし、自分がいると言わんばかりに主張をしていた。

 これには護衛も怒ったのかユアの腕を掴み引き離そうとしていた。


「イアン、そんなに怒んないでよお」


 イアンと呼ばれる男はユアをギラッと睨んで腕を掴むだけでそれ以上の事はしなかった。きっとここが図書館だから声をあげることはしなかったのだろう。そこは褒めようと思う。


「ユア様、来ていたのですね。本に夢中で気付くのが遅くなり、申し訳ございません」

「殿下ったらぁ、本に夢中になるのかわいい♡」

「しかし、ユア様。こちらは図書館。私語は禁止になっています。話があれば図書館を出てからお伺いしますのでどうか暫くはお静かにお願いします」

「はぁい♡」


 怒っちゃって可愛い♡と言いたげな顔をしながら彼女は黙った。

 この一連の流れ、私の目の前で行われていたのだ。そう、目の前で。地獄だ、そう思った。今度からはここを使うのはよそうと私は決心する。3階の見つかりずらい場所がきっとあった気がすると。


 その後、ユアは本も読まずに殿下を見つめる、という行動をし始め、はや30分が経過した頃、今度は別の訪問者が現れた。


 メルヴィ・アルトニア。殿下の婚約者が私達の目の前に現れたのだ。彼女はユアとは違い、図書館のルールを知ってか、何も言わず無言で席に座り、ユアと同じく視線をこちらに向けていた。途中私がいたのに気付き少々驚いてはいたが、ただ読書をしているだけに気付き、興味をなくしたのか今度はユアを凝視していた。メルヴィはユアを、ユアは殿下を、殿下は本を見つめるという謎現象が起きていたが、特に問題が起きそうでもないため、私は本を読み進めていった。


 そしていつも通り、5時に鐘の音が鳴り響く。図書館は閉まるので私はいつも通り、途中の本を借りることにした。


「ルティアナ嬢すまない、僕も本を借りたいのだがどうすればいいのだろうか」

「私も今から借りるので見ていてください」


 正直、婚約者とユアがいる目の前で話しかけて欲しくはないのだが、そういう話なら致し方あるまい。本好きに誘ったのは元は私なのだし。

 私はいつも通り学生証を司書に渡し、司書は機械に学生証と本を置き、貸出手続きが終わると学生証と本は返された。それを見ていた殿下も学生証を取り、司書に学生証と本を渡していた。手続きが先に終わった私は先に図書館を出ていたのだが、殿下に呼び止められてしまった。


「ルティアナ嬢、今日もありがとう。またオススメがあればお願いする」


 ……まずい。今日もって言った、この人。今日もって。

 その言葉を聞いてかユアとメルヴィは私の方を凝視していた。

 これは早くこの場を去らなければまずい気がする。早く帰ろう。そう決意し、すぐその場から離れた。


 しかし、翌日の朝礼前。当たり前に呼び止められたのだ。メルヴィに。


「今、お時間よろしくて?」


 殿下よりかは立場上、拒否権はあるとは思うが教室の中で公言されれば、正直断るだけで変な噂が立ちかねない。


「ええ」


 私は二つ返事するしか選択肢はなかった。




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