第41話 「落とし物探し」
盗賊団との戦いを終えてから、一夜が明けて今俺は新しい依頼を受けていた。
依頼内容は落としたブローチを探して手に入れること。
一見簡単に聞こえるこの依頼だが、とにかく情報量が少ない。わかっているのはコラプトのどこかで落としたということと、綺麗にカットされた赤い宝石が付いているということだけだ。
落として何日たったか、どこで落としたか、誰かが持っている可能性はあるか。考え出すと情報の不足ばかりが目につく。
「探し物が特別得意ってわけでもないが、どうにかなるだろ......って思ってたんだけどなあ」
俺がこの依頼を受けた理由はコラプトという街を知るためだ。
コラプトは思っていたよりも広い街で、目的なく歩くだけでは全てを把握する前に飽きてしまう。そこでこの依頼を受けることで、効率的にコラプトを知ろうという気持ちで依頼を受けた。
ただ、かれこれ二時間ほど探し回ってはいるが現状何も成果を得られていない。
「強硬手段に出るしかないかな。――始めるか、チンピラ狩り」
今までは表通りを中心に歩き回っていたが、このままじゃ埒が明かない。これからは裏路地で絡んでくるチンピラどもから情報を貰おう。
ついでに俺の存在をもっと知って貰おうか。情報を取るだけに抑えて、殺すのは止めておこう。
恐怖を伝える生き証人になってもらおうか。
◇◆◇◆
まともな感性を持った人間であれば近づくことは絶対にない荒くれ者の溜まり場で、俺はかれこれ20人目となるチンピラ狩りをしていた。
だが、どいつもこいつも変な意地を張って口を閉ざすばかり。こんなに居るなら一人くらい知っていてもいいと思うのだが。
さっきまでは答えなかったら腹パンで気絶させていたが、もう喋れるやつがこいつしかいない。こいつが死んでもいいという、ギリギリまで尋問する必要がありそうだ。
「おーい、本当に知らないのか?このままだと死ぬかもしれないぞ」
「そんな脅し効くわけ......い、ぎゃあああ!!??」
本当にチンピラというのは強情なやつが多いらしい。優しさで加減していたが、それも終わりにしよう。とりあえず指を一本ずつ折っていくか。
俺はチンピラの小指を掴んで無理な方向へとへし折り、次に折る薬指を掴む。
「ほら、言わないとまだまだ折るぞ。二本目だ」
「ま、まってく......ぐえええ!!??」
「次、三本目」
「言う、言うから!お前が探してるものかは知らねえが良い拾い物をしたって自慢していた商人がいた!!」
俺は焦りながら必死に説明を始めるチンピラの声を聞いて力を入れるのを止める。
「詳細に言え」
「あ、ああ。確か、すげぇ価値のあるアクセサリーを拾ったって言ってたんだ。そいつはココナ商会ってところの会長でヌルギフってやつだ!場所はここから北に行った大通りにある!」
「ココナ商会ね......直接聞いてみるのが早そうだ。――貴重な情報ありがとう、仲間を連れて逃げていいぞ。これからはむやみやたらに絡まないようにな」
「最悪だ、悪魔に関わっちまった......」
最後のチンピラは折れた指を抑えながら、どうにか倒れている他のチンピラたちを叩いて目覚めさせようとしている。
死なないギリギリの範囲で痛めつけたからな、そんなすぐに起きることはないだろう。こいつらが起きるのを待つほど暇じゃないし、さっさとココナ商会とやらに向かうか。
「とはいえ、正面から理由もなく乗り込んだところで、門前払いをくらうだろうし。信頼を築いていくのもめんどくさいし、時間もない」
となると、取れる選択肢は忍び込んで聞いてみるのが丸いか?野蛮な行為ではあるが、効率だけで見るなら悪くない選択肢だと思う。
だが、それで素直に教えてくれるやつがコラプトで商売を続けられているとは思えない。どうせ、一癖も二癖もあるやつであろうことは予想がつく。
「んーそれなら大量に買い物するか、高い物を買って会長に挨拶がしたいって言ってみるか?相手にとって搾り取ることの出来る対象になれば、もしかしたらすんなり会えるかも」
こっちの方がまだ対話が出来る手段だろう。幸い、金には困っていないし多少割高でも買うことは出来るだろう。
このまま、探してみて見つからないようだったらその手段を取ってみようか。
「ココナ商会が必要な情報を持ってたらいいんだがな」
正直このまま闇雲に探し回っても、有益な情報は得られない。だが、今回の目的は街を知ること。
残りの時間はコラプトを巡り、ついでにココナ商会の場所を把握するくらいでいいだろう。
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