第30話 「無知な子供に寄せられた馬鹿」
「ありがとうございます、道に迷っていたので助かりました」
「いいんだよ、お前みたいなガキがここら辺をうろついてるなんて危ねぇからな~親切心を働かせたくなっちまったのさ!なぁ、兄弟」
「ああ、全くだ!しっかりと送り届けてやるから待ってろよ~......へへへ」
俺は今、村では見たことないよくわからない乗り物に乗せられながら、柄の悪い大男に連れられて何処かへ運ばれていた。
男たちが言うには魔蒸甲車という乗り物らしいが、ガタガタ揺れるし窓も無いしで乗り心地としては最低なものだ。
「それで......俺は何処に連れて行ってもらえるのでしょうか?何分土地勘も無くて聞いたとしてもわからないかもしれないんですが」
「安心しな~ちゃんと教えてやるよ。今から向かう場所はコラプトってとこだぜ~なあ、兄弟」
「ああ、ここら辺で一番大きい街だからな~そこが一番安全だろうぜ~......へへへ」
「そうなんですね、そこまで気にかけてくださるなんて......」
コラプト、ね。
まあ、普通に考えてこんな場所をほっつき歩いている子供を乗せるのは、余程のお人よしか悪意を持った下衆だけだろう。
今回は下衆を引いたようだが、俺としてはそっちの方が助かるな。何も憂い無く慈悲を与えられそうだ。
ただ送られていくのを待っていても暇だな。ステータスでも確認するか。
名前:ゼノヴェル
年齢:13歳
種族:夢月の鉱魔人
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【神導武器】
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【特殊】救生と断罪の大鎌
└ 二対の大鎌であり、心と身体に作用する効果を持つ〈救生は心・断罪は身体〉
└ 月の下で姿を変える
【外器】外法の大鎌
└ 闘争本能を引き出し全てのものを刈り取る
└ 魔鉱鎧を装備し、力を引き出す
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【スキル】
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【通常】農作業Ⅰ【通常】毒耐性Ⅹ【通常】痛覚耐性Ⅹ【通常】気絶耐性Ⅹ
【種族・特殊】混沌魔力操作
【得意・特殊】外法の大鎌術Ⅸ
アーツ〈総合大鎌術・魔光斬・メメントモリ・トラディメントサイス・ソウルブレイク・マルスピリオド・デスサイス・ハーベストワルツ・血纏い〉
【特殊】マジックタンク【特殊】無知の血【特殊】魔力の解放【特殊】即時回復
【特殊】アトラクトドレイン
【特殊】龍の瞳
【特殊】魔力創造〈鉱魔力・死魔力・混血魔力〉
【固有】暗影の力
└ 暗影の信徒として神の力をその身に落とし使用する
【固有】殺した貴方は夢を魅る
【外器】狂魂の魔鉱鎧++
〈進化可能〉
【不明】鉱魔獣発熱器官操作 鉱魔獣吸魂
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【魔法】
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【特殊】聖樹魔法
魔法〈聖樹植生〉
【特殊】重力魔法Ⅲ
魔法〈総合土魔法・総合水魔法・グラティック・地張り・不可視の歪曲〉
【得意・特殊】聖光魔法Ⅴ
魔法〈総合光魔法・神の裁き・ホーリーサイス・断罪の光・ホーリーヒール〉
【種族】夢魔法Ⅷ
魔法〈仮初の夜空・夢は幻想・幻惑夢・白昼夢・ヘルドリーム・夢の保管庫〉
【特殊】限界魔法
【種族・特殊】月光魔法Ⅶ
魔法〈月からの夜明け・ハーベストルナ・満月堕落・月の下には影がある〉
アーツ〈満月の首落とし・月下影舞・ムーンサイスサルト〉
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【称号】
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【初期】試練を終えた者
└ 神からの試練を終えた者に与えられる
スキル・魔法の習熟度上昇
【通常】悪食の気狂い
【特殊】心からの慈悲を与える者
【固有】暗影の信徒
└ 暗影の神シャーマに信仰を捧げた者に与えられる
何者にも惑わされない
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しっかりとステータスにも暗影の信徒と書かれているな。あと大きく変わったのは神導武器か。
人の前で使うなら救生と断罪の大鎌をメインにして使っていくべきだろうな。それに、心に作用する救生と身体に作用する断罪、か。
「おい、おーい!聞こえてんのかガキ!」
「ああ、ごめんなさい。安心感からすこし呆けてました。どうしたんですか?」
何かしゃべっていたのか、興味が無さ過ぎて聞き流していたな。
「そろそろ目的地に着くからな。ほれ、手を出せ」
「はあ......」
俺が馬鹿正直に男の前に手を差し出すと、拘束具のようなものを付けられた。
軽く力を入れて何度か動かしてみるけど、普通の子供であれば簡単には壊れそうにない。
「へっへっへっ馬鹿なガキだぜ。これでお前はもう動けないだろうよ。なあ、兄弟」
「そうだな、何も警戒心の無いガキには現実を見てもらわないとな~」
ニヤニヤと気色の悪い笑みを浮かべた男どもを見ていると気が滅入る。こんな拘束具を使ったところで意味など何も無いのに。
「こんなものを付けて俺をどうするつもりですか?」
「お前はこのまま奴隷市場に売られるんだよ~!なあ、兄弟!」
「おうよ!あそこに見えるのが犯罪都市コラプトだぜ~!!」
俺が外に視線を向けると、そこには街の全貌が見えない程の壁が建った要塞都市とも呼べるものが見えて来た。
「なるほど......あれがコラプトか。クソみたいな魂を持ってるやつが溢れてるな」
龍の瞳が魂を見通す。淀んだ赤の色を持つ魂がうごめいているな、人を殺した経験があるものが住人の過半数は居そうだ。
「お?お前、土地勘が無いとかいってたのに何か知ってる口ぶりだなぁ?なあ、兄弟」
「そうだな、拘束されてるのに余裕そうだが神導武器も授かったばかりにしか見えないガキに何か出来るのか?」
当然、こいつらの魂も同じ色だ。ここでしっかりと刈り取ってやることで不幸を生む数を減らせるだろう。
俺は紙切れくらいの硬さしか持たない拘束具を魔力で強化した力で無理矢理引きちぎり破壊する。
「案内ご苦労様、お駄賃に死をくれてやる。救生と断罪の大鎌『機動』」
俺の手に二対の大鎌が出現する。
右手にはギロチンのように直角に切り取られた三角の刃を持つ肉厚な大鎌、左手には刃がボロボロでありながら少し小ぶりな大鎌。
どちらの大鎌にも天使の彫刻が掘られており歪でありながら、どこか調和を感じる二本の柄を握りしめた。
「さあ、誇っていいぞ。こいつらの初めての獲物だ」
「おいおいおい!!なんだよそれは、お前ただのガキじゃねーのかよ!なあ、兄弟!」
「落ち着けよ、兄弟。どうせ最初に与えられた気が大きいだけのガキだぜ」
拘束を解いた俺を見て、驚きながらこいつらも鉈のような神導武器を手に取った。
「虚勢かどうかはその身で確かめてみろ」
俺は右手の大鎌で二人の足を目掛けて横なぎする。
魔光斬を発動させた一撃は魔蒸甲車を横に真っ二つにした。身体能力はあるのかギリギリで跳躍した男たちは空中に放り出された。
「間抜けどもが、空でどうやって避けるんだ?――聖樹植生発動」
俺は浮いている二人に向かって魔法を発動させる。
地面から凄まじい勢いで伸びた木が空中で二人を絡めとり固定させた。
「おい、魔法も使えるなんて聞いてねえぞ!なあ、兄弟!」
「これは俺も予想外だぜ、それにどれだけ力を入れても抜け出せねえ......これは終いか」
磔にされている罪人どもに裁きを与えよう。
「人攫いどもに悪夢を魅せてやる。せいぜい苦しむんだな」
空中へ跳躍した俺は二人の無防備な首に向かい、断罪の刃を刻み込んだ。
『殺した貴方は夢を魅る発動』
頭と胴が離れた死体から血が噴き出し、聖樹を汚らしい赤で染めていく。
今頃あいつらはこれまで自分たちが不幸にしてきた死人たちの怨嗟の声を聞き続ける夢を見ているだろう。
そのまま、俺が死を迎えるその時まで自分たちが犯した罪の重さを噛み締めておけ。
「目障りだ、ブレイク」
俺の手から大量の六角形の光が放たれ、聖樹へ向かっていく。光に触れた箇所からボロボロと崩れ、聖樹ごと男たちの死体と枝に引っかかっていた生首も塵に変えていった。
ちゃんと、光魔法のブレイクで跡形も無く分解しておけば問題無いだろ。
「まあ、でもあいつらのおかげで目的地まで着くことが出来たな。行くか、コラプトに」
遠くに見える要塞にはどんな出会いがあるのだろうか。
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