第13話 「狩りの本質」
昨日は鉱魔獣の死体を持ち帰った後、解体だけしてそのまま寝た。光魔法を使って肉を切ったのだが、普通に肉は切れたし抵抗される感覚も無かったことから、鉱石の部分だけ刃が通らないのか、それとも死んだら神の力以外に反発する力を失うのか。
鉱石部分の角の解体はしていないから後で試してみよう。
外から聞こえる鳥の鳴き声で目覚めた俺はいつも通り、ライトヒーリングとリフレッシュをかけてから身体を起こす。
「本当に光魔法は万能だな。これが無かったら俺は三日目くらいで死んでいただろう」
この種族に生んでくれた両親に感謝しながら視界の隅に映る、鉱魔獣の肉に視線を向けた。
「こう見たらただの肉だよな......でも、触るとなんか砂みたいな感触がするのがちょっと不安だけど」
肉を持ち上げてみるが、指で少し押したり匂いを嗅いだりしてみても感触以外は普通に村で食べていた肉と変わらない。
命を奪った以上、食えるなら糧にするべきだとは思うがどうなるだろうか。
「火も無いし、生でいくしかないよな。シャーマ様へ命をいただく感謝を」
目の前で手のひらを合わせて『光線解体』を使用して塊肉から食べる量を切り取る。今まで通り、回復させる準備だけはしてから口に入れる。
ゆっくりと咀嚼していると、口の中に砂を入れたようなじゃりじゃりとしたものが口に広がる。味もこんな場所で生きていなければ確実に吐き出すであろう獣臭さと血の味しか感じない。
「くっそ不味いな......まぁ、動物の肉だけ食べていくのは現実的ではないし、しょうがないんだけど」
最近はイノシシやリスのような動物を見かけない日も増えてきたからな。好き嫌いをしている場合じゃない。
眉をひそめながら、どうにか喉の奥へ押し込んだ。その瞬間、体温が急速に下がったあと、血が沸騰するかのような熱さに上がりまた下がるを繰り返す。
「がっ!?な、なんだ......これ!」
毒耐性も無知の血も発動しているのかわからないほど、急激に変化を繰り返す体温におかしくなりそうになりながらどうにか即時回復とライトヒーリングを発動させて治せないかを試みる。
だが、体温の変化は止まる気配が無く、内側から俺の身体を壊していく。
その場でうずくまり、この異常が収まってくれと願いながら誰もいない洞窟でうめき声を上げながら耐え続ける。
(変なものを食べておかしくなるのはいつものこと!耐え続けるんだ......!!)
汗が滲み出て、視界も明滅し始める。何故か額に鋭い痛みを感じるが、そんなことも気にならないほどの不快感が俺のことを襲う。
どれくらいそうやってうずくまっていたかもわからなくなるほど時間を経て、やっと立つことが出来るくらいまで回復した。
「死ぬかと思った......ただ鉱魔獣を食っただけだぞ。こういうものに耐性が出来たはずの俺でこれなら、普通は死んでるな」
でも、今までの経験上あれだけ苦しい思いをしたなら何かしらの変化が起こっていて欲しいところ。
とりあえずもう少し落ち着いたら確認しよう。
「頭が痛い......なんか熱も感じるし......」
俺は額に手を伸ばしたが、何か変な突起のようなものに触れる。なんだこれ、鉄みたいに冷たいけどなんかどくどくと脈動している。これ、もしかしなくても俺から生えているような......
突起から下に手を移動させていくと、俺の額に当たった。接合部が完璧に俺の皮膚から出ている。
ただ肉を食っただけで角が生えるなんてありえるのか?スキルを手に入れたり、魔力が増えることはあるが、角が生えるなど、聞いたことが無い。
まだ気持ち悪いが、混乱している頭を整理するためにもステータスを確認しよう。
「す、ステータス」
名前:ゼノヴェル
年齢:11歳
種族:夢月族 鉱■獣
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【神導武器】
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【特殊】試練の大鎌
└ 試練を乗り越えるまで成長しない
└ 壊れてもすぐに再生する
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【スキル】
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【通常】農作業Ⅰ
【得意】大鎌術Ⅲ
アーツ〈袈裟刈り・首刈り・地滑り・刃穿ち〉
【種族】魔力操作Ⅴ
アーツ〈肉体強化・外部放出・魔力形成・属性エンチャント・魔力粒子化・属性混合〉
【通常】毒耐性Ⅱ
【特殊】マジックタンク
└ 許容量以上の魔力を溜めることができる
└ 魔力暴走を抑制する
【特殊】無知の血
└ 知識外のものを身体に取り込んだとき、血が抗体を即座に作り出す
【特殊】魔力の解放
└ 体内の魔力を全て解放することで限界を超えた力を発揮する
└ 魔力が無くなっても動けるようになる
【特殊】即時回復
└ 魔力がある限り即時に外傷を回復する
└ 光魔法の回復と併用すれば致命的な傷も回復できる
【固有】殺した貴方は夢を魅る《メメント・ソムニス》
└ 殺した対象に夢を見せ、夢のなかに入ることができる
└ 夢のなかで自由になる
└ 〈未解除〉
【■■】ロー■ホーンウ■フの角
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【魔法】
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【得意】光魔法Ⅳ
魔法〈微かな光球・ライトヒーリング・リフレッシュ・光線解体・フラッシュ〉
【種族】夢魔法Ⅱ
魔法〈仮初の夜空・夢は幻想〉
【特殊】限界魔法
└ 生命力を代償に実力以上の魔法を放つことができる
【種族・特殊】月光魔法Ⅰ
└ 月が見えている夜に発動することができる
魔法〈月からの夜明け〉
アーツ〈満月の首落とし〉
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【称号】
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【初期】試練を受ける者
└ 暗影の神シャーマから試練を受けた者に与えられる称号
試練終了時まで神導武器成長不可
【通常】悪食の気狂い
└ 本来、身体では吸収できないものを過剰摂取することで無理矢理抗体を作った
者に送られる証
どんなものでも消化・吸収できるようになる
【特殊】心からの慈悲を与える者
└ 慈悲を与えたいと心の底から願った者に与えられる証
精神力上昇
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な、なんか見れない場所あるし種族が鉱魔獣?になってるし......これはあれか、今まで鉱魔獣を食った人はあの異常で死んでたけど俺はこれまでの経験から生き残れた。
そのせいでこんな変な状態になってるのかも?
「あの狼も角が生えてたからそれが俺にも生えた......と。これ、もしかして鉱魔獣を食い続ければその力を得られる?」
無知の血が鉱魔獣の毒性を持つ血への抗体を作り、悪食の気狂いが吸収した。これなら理屈としては筋が通っている。
「見た目はどんどん人外のものになっていくかもしれないけど、それでも生き残る方が大切だろ。死んだらシャーマ様から頂いた救いが意味なくなるじゃないか」
どんな手を使ってでも生き残るんだ。森を出たあとにどう思われるかなんて後から考えればいい。
「これから鉱魔獣を食いまくろう。鉱魔獣の強さを合わせたキメラになれば俺がこの森の主にもなれる」
相手を糧にして己の力とする、それこそが狩りの本質だ。
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