94話 友達ができました
その夜。
リーナは、自分の部屋のベッドの上でごろごろ転がっていた。
枕を抱きしめるようにして。
笑顔でごろごろと。
時折、やりすぎてベッドから落ちてしまいそうになる。
急ブレーキ。
ヒヤッとする。
でも、すぐに笑顔があふれてきた。
「えへへ♪」
最近、友達ができた。
アリーという、同い年くらいの女の子だ。
すごく可愛い……
というか綺麗!
同い年とは思えないくらい。
まるで、物語に出てくるお姫様みたい。
でも……
アリーはお姫様じゃないかな?
だって、すごく優しい。
お貴族様は嫌な感じがするから……
だから、違うと思う。
「でも、ちょっとおかしい話し方をするけど」
それはそれで楽しい。
あと、可愛いかも。
「ただ……うーん?」
ちょっと不思議な子。
綺麗とか、可愛いとか。
喋り方とか。
そういうところが不思議じゃなくて……
なんていうか、こう。
神秘的な感じがする。
目の前にいるのに、でも、手が届かないような……
同い年の女の子なのに、でも、まるで違う生き物のような……
そんな感じ。
うまく言葉にできないけど、住んでいる舞台が違うような、不思議な感じがする女の子。
「でも……友達だし♪」
なにか秘密があるのかもしれない。
実は男の子、とか。
実はお姫様、とか。
もしかしたら、地上にこっそりと遊びに来た女神様なのかもしれない。
なにかあるような気がするけど……
でも、気にしない。
友達だから。
一緒にいると楽しい。
にっこり笑顔になる。
心がぽかぽかする。
だから……
「また遊びたいな」
またね、と約束をした。
明日かな?
明後日かな?
待ち遠しい。
こんなにもわくわくするのは、久しぶりかもしれない。
お父さんとお母さんのお手伝いで宿にいることが多いから、なかなか友達を作ることができなかったし……
その分、嬉しいのかもしれない。
でもでも、お手伝いが嫌なんてことはない。
むしろ嬉しい。
お父さんとお母さんはいつも忙しそうにしているから、私がお手伝いすることで、少しでも楽になればいいな、って思う。
うん。
明日は、お手伝いに専念しようかな?
もしもアリーが来たら……うーん。
半分遊んで、半分お手伝い!
これでよし。
完璧な計画!
「これなら、なにも問題ないよね」
なんて、明日の計画を立てて。
そろそろ眠くなってきたので、ぱたぱたと足を動かすのを止めて。
ベッドに横になって目を閉じて……
「……ん?」
なにか変な匂いがした。
それは、たぶん……
物が焦げる匂い。
料理でも失敗したのかな?
でも、こんな時間に料理なんてしないし……試作品とか?
ううん、これは……違う。
もっと嫌な感じがして……
すごくすごく嫌なもの。
「……っ!?」
部屋の扉を開けて廊下に出ると、赤が広がっていた。




