春ダンジョン
「まいどー!なんでも屋です」
今日の依頼人は、横浜の人。
仕事出来ます!って感じのキリッとした女性でたぶん30代のミヤモトさん。
「お待ちしてました。どうぞ」
と、ドアを開けてくれる。
依頼してくれる人は様々なので、自宅に来て欲しいと言う人もいれば、どこかの会議室を借りてそこで待ち合わせ、というかダンジョンの扉を開いてくれる人がいる。
ミヤモトさんは、後者だ。
比較的高齢の人は、自宅に来てって人が多い。
若い人は、会議室とかが多いかな。
俺もその方がいい。
若い人、特に女性の家には行きたくないからな。
「お久しぶりです。アラートが出たと聞きましたが、どの階層ですか?」
「3階層なんですが、1階層と2階層も回ってもらえませんか?」
珍しいな。
いつもはアラートが出た階層だけって言われるんだけどな?
「いいですけど、少し見積の金額にプラスになっちゃいますけど、大丈夫ですか?」
「お願いします。メロンとマンゴーを出来れば10個ずつお願いしたいのです」
なるほど、果物が欲しいんですね。
ミヤモトさんのダンジョンは、春ダンジョンで、3階層までしかない。
ピクニックに行きたくなるような草原に優しい爽やかな風が吹いている、そんなダンジョン。
春に咲く花の魔物が出る。
桜の魔物やチューリップの魔物、ネモフィラの魔物、ラナンキュラスの魔物とかがいる。
その魔物を倒すと、魔石とたまに果物がドロップする。
今までドロップしたのは、イチゴ、メロン、マンゴー、ビワ、キウイ、ミカン、サクランボかな。
1階層でキウイとメロン。
2階層でマンゴーとビワ。
3階層でイチゴ、ミカン、サクランボ。
それで全部回って欲しいんだな。
「承知しました。果物は贈り物とかでしょうか?」
「あっ、いえ。実は今月から来月にかけて友人や同僚の結婚式が続くので、ちょっと心許ないので、なんでも屋さんに買取してもらえたらと思ってるんですが」
なるほど。
ダンジョン産の果物とかは、普通の果物よりも高値で買取されるからな。
うちに売ってくれるなら、依頼料と相殺になってプラスになるだろうしな。
「承知しました。他の果物がドロップした時も買取させてもらいたいですけど」
どうですかね?と、確認してみると、
「ぜひ!」
と、勢いよく肯定が返ってきた。
「では、行ってきますね」
タイマーが鳴ったらよろしく!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
このダンジョンは、春ダンジョンなだけあって、寒くもないし暑くもない。
過ごしやすい季節って感じのダンジョンだ。
草原だしな。
1階層には、イモムシの魔物と蝶の魔物がいる。
花は咲いているけれど、この階層で花の魔物には出会ったことはない。
イモムシはデカい。
1メートルくらいあるのが、うじゃうじゃいる。
めっちゃのんびり移動している。
こんなにデカいのに倒しても、ドロップは魔石のみのこともある。
果物がドロップしてもキウイ3個とかだったりする。
見える範囲に20体くらいいるので、剣で斬っていく。
魔石20個とキウイが12個か…。
少なくねぇ?
4体分しかキウイドロップしてないじゃん。
まっ、この階層で欲しいのはメロンのほうだからな。
メロンは蝶を倒すとドロップする。
蝶も80センチくらいある。
しかも振りまく鱗粉が、軽い眠り粉の役割をする。
んっ?俺は大丈夫だよ?
【結界】張ってるし、【状態異常無効】のスキルも持ってるからな。
蝶は鱗粉をかけるために、人の上を飛ぶ。
だから意外に攻撃を当てやすい。
【ウインドカッター】で、真っ二つにしていく。
おっと!
1体目からラッキーだな。
メロンもドロップしたぞ。
幸先がいいね。
2階層に向かいながら、蝶を倒していく。
10個集まらなかったら、帰りにも通ってみればいいな。
結局、8個しかドロップしなかったな。
帰りに期待だな。
2階層は、チューリップの魔物とラナンキュラスの魔物。
花の魔物ってなんだよって思わねぇ?
俺は思ったね。
花の部分が顔で、葉っぱが手足みたいな感じで、
高さ1メートル半くらいのなんとも言えない魔物だったんだよな。
なんかシュールだぞ。
別に可愛くもないから遠慮なく倒すけどな。
なんかこんなのあったよな?
音で踊るおもちゃ?
花じゃなかったっけ?
チューリップからはビワが、ラナンキュラスからはマンゴーがドロップするぞ。
この階層はビワ17個とマンゴー12個がドロップした。
で、アラートが出てると言う3階層なわけだが…。
うわー。
一面ネモフィラ畑が広がってるように見える。
これが本当にネモフィラ畑だったら、すげぇキレーだなーでいいんだけどな。
が、全部魔物だ。
ここも上と同じで、本来は草原だからだ。
これはアラートが鳴るだろうさ。
ネモフィラの魔物は、困ったことに踏んで圧力がかかったり、手で折ったりすると、爆発する。
自爆攻撃をしかけてくるんだよ。
やっかいな魔物ではあるんだけど、方法はある。
簡単だ。
燃やしてやればいいだけだ。
端を少し燃やしてやると、自爆攻撃のように爆発しながら燃え広がっていくぞ。
燃え終わったら、魔石とイチゴを回収すればいい。
しかも奥の方には、桜の木がたくさんある。
あれも魔物だ。
近づくと、落ちた花びらを剃刀の刃みたいにして、飛ばして攻撃してくるぞ。
何千何万って花びらが四方八方から飛んでくるのは、【結界】がなかったら、ちょっと想像したくないな。
魔物である木は【ウォーターカッター】とか【ウォータージェット】で倒せるぞ。
近づくのは得策じゃないからな。
魔石とサクランボがドロップするぞ。
少し大きめの粒のサクランボだ。
で、たまに現れるのがタンポポの魔物、頭の部分がタンポポのライオン。
だからダンデライオン…ってか?
乾いた笑いが漏れるっつうの。
この魔物は、1体でミカンを50個ほどドロップしてくれる。
今日は出てきたぞ。
もちろん倒したに決まってるだろ。
3階層の魔物はあらかた倒したから、1階層に戻って足りないメロンを手に入れないとな。
【転移】で、ひょいっと戻って、タイマーが鳴るまで蝶を倒していた。
ミヤモトさんには、魔石の個数と果物の個数を告げて、預かり証を渡して早めに振り込みすることを約束して帰宅した。
だって、間違いなく依頼料を上回るからなぁ。
その価値が果物にはあるんだよ。
本当に美味いんだよ!
食べ物がドロップするダンジョンは羨ましいよなぁ。
お読みいただきありがとうございます!
もしよければ評価もおねがいしますm(_ _)m
トーヤのテンションがあがります(笑)
感想、誤字脱字報告もありがとうございます。
引き続き他の作品共々よろしくお願いします!
生まれたその日にダンジョンに捨てられた俺はドラゴンに育てられる
https://ncode.syosetu.com/n4334li/
大賢者リオールは楽しみたい!
https://ncode.syosetu.com/n6058kb/
ようこそ!ダンジョンへ!
https://ncode.syosetu.com/n3468kt/




