ストレス発散
バン!ダン!ダダンっ!!
ドン!!バン!ダン!ダダンっ!!
朝の6時、みんな寝てると思ってたんだけどな。
「リッカ?何してるの?」
母さんが台所の入口から覗いている。
何ってみればわかるだろ?
「パン作ってるんだけど?なんで?」
「すごい音が聞こえてたから、何してるのかなって」
あー、こねて叩きつけてを繰り返してたからか。
「うるさかった?ごめん」
「大丈夫だけど、突然どうしたの?」
思い立っていきなり作り始めたからな。
でも作らずにはいられなかったんだよ。
「んー?なんとなく?」
いきなり作りたくなっただけなんだけど。
「…なんでも屋忙しいの?」
いや?全然忙しくないよな?
なんでその質問?
「別に?」
「リッカか?家の中で何と戦ってるんだ?」
兄貴まで起きて来ちゃったようだ。
かなりうるさかったのか?
兄貴が起きてくるって、よっぽどだったか?
「パン作ってただけなんだけど」
そう言うと、兄貴はなぜか苦い顔をして言った。
「あー、あの女のせいでストレス溜まってんのか?」
あれ?
なんで兄貴はわかんの?
「俺、ストレスとかって言ってないよな?」
「いや、言わなくてもリッカがパン作りする時って、ストレス発散のためが多いぞ?」
えっ?マジで?
母さんの方を見たら、母さんも頷いてた。
マジか!?
思いっきり無意識だったぞ。
「特にあん時はすごかったぞ?一時期毎日朝飯がパンだったからな?」
ウソだろ?
俺そんなにパン作ってたか?
「今回はあの女、社会的に抹殺してやったけど」
住むところは見つけられねぇだろうし、働くところも見つけられねぇんじゃねぇか?
ざまぁ!って言うか、自業自得だけどな。
物理的に抹殺してやりたいくらいだったけどな。
みんながダメだって言うし、つうか苦しんでもらうには物理で抹殺するのは得策じゃねぇだろう?
とは言え、
「ネットに晒された俺の悪評はなくならねぇからなぁ」
ひでぇ話だぜ。
俺の顧客で弁護士のイザワさんに、相談して慰謝料の請求をガッツリしてもらったけどな。
あの女、本当に不快だ。
2度と俺の視界に入るんじゃねぇぞ!
最後に、ダダンッて強めにパン生地を叩きつけといた。
とりあえず発酵させて、成形して、パンを焼こう。
俺は、どんだけストレス溜まってたんだろうな?
ものすごい数のパンが出来上がっちまったぜ。
いつのまにか姉貴達もやって来てたみたいだな。
食卓に山盛りのロールパンが乗っている。
焼きたてはいい匂いだな。
みんな美味しいって、食べてくれるからいいことにしておこう。
久しぶりにパンを作ったら楽しかったけどな。
今度はクロワッサンにしようか?
いや、パイもありかなぁ。
ストレスってさ、【状態異常無効】でスッキリしたりしないのかね?
状態異常じゃないのか?
精神異常?ってこれじゃヤバい人みたいだよな?
【気分爽快】スキルとかないのかね?
俺の平和?平穏?を返してくれないか?
誰か俺に癒しをーーーー。




