やる気に火がつくよな〜那由多(兄)
「兄貴!ミスリル剣スゴイぞ!」
帰宅したリッカの第一声がそれだった。
どうすごかったのか詳しく話せよ。
「どんな感じだった?」
「思った通り、スゴイよく斬れる」
だから詳しくって!
「刃こぼれとかはどうだ?」
「ない、まったくない」
俺はリッカに向かって手を出した。
リッカは、【無限収納】からミスリルの双剣を俺の手に乗せる。
剣を鞘から抜くと、作った時と変わらない刃がキラリと光った。
本当に戦ってきたのか?
そう思うくらいだった。
「何ゴーレムと何体くらい戦ってきたんだ?」
「ロックゴーレムを10体」
ロックゴーレム!?
10体も!?
それで傷ひとつないとか驚きだな。
そう思っていたら、リッカが続けて言った。
「それから、アイアンゴーレムを50体」
「はぁぁぁぁぁ!?アイアンゴーレムを50体だぁぁ!?」
ウソだろ!?
なんで刃こぼれしてないんだよ?
リッカは頷いて、
「あとはゴムゴーレムを30体だな」
「ゴムゴーレム?」
聞いたことないけどな?
「前に作ってもらった魔鉱石と黒鋼の剣だと弾かれて、傷ひとつつけられなかったよ、ゴムゴーレム。けど、ミスリル剣はスゴイよ。どのゴーレムもそうだったけど、バターを切ってるみたいに斬れたんだよ」
ロックゴーレムやアイアンゴーレムがバターの様に斬れた?
なんの冗談だ?
えっ?マジで言ってるのか?
ミスリル剣ヤバいな。
それだけの性能だと、リッカの剣みたいに刃部分を全ミスリルにしたら、億を軽く超える値がついちまうな。
まだミスリルの量もそんなにないから、そうそう使うのは難しい。
芯は魔鉱石とか黒鋼、玉鋼を使って表面だけミスリルを薄く纏わせてることが出来ればいいかもな?
あとは刃の部分だけ薄く纏わせるとかだな。
もしくは、ミスリルの合金とかか?
やってみないと出来るかどうかは、わからんけどな。
それだって、ミスリルと何を合金にするんだってところからになっちまうけどな。
その後もリッカが何かを話していたが、全然聞いていなかった。
すまん、リッカ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺はダンジョンに潜って、工房でミスリルと向き合っている。
少しだけ使用するにはどうしたらいいか。
薄く伸ばすにはどうしたらいいのか。
ミスリルと相性のいい素材は何か。
それからしばらくは、オーダーを取るのを制限してもらって、ミスリルのことばかり考えていた。
昴にはいい加減にしろと怒られ、親父からも苦言を呈され、お袋にはちゃんとご飯を食べなさいと怒られながら、今の段階での最適解を見つけた。
気づけば3ヶ月が過ぎていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「兄さんはいつ仙人になったの?」
環がそんなことを言う。
リッカが味噌汁を吹き出した。
大丈夫か?
豪快に咽せているが…。
「兄貴、鏡で自分の顔見てな?姉貴の言ったことわかると思うから。姉貴、味噌汁飲んでる時に笑わせんなよ」
リッカにそんなことを言われた。
鏡?
自分の顔?
「ごめんて、だって久しぶりに見た兄さんが…ぷくくくく」
と、環が笑っている。
なんなんだよ?
「とりあえず、那由多はさっさと顔洗いに行け」
昴にまで言われた。
いや、飯食ったら行くけど。
そもそも【クリーン】はしてるぞ?
親父もお袋も苦笑いしてるし、なんだよ?
「うわっ!」
思わず叫んだ。
誰だよ。
髪の毛もヒゲも伸び放題じゃねぇかよ。
これじゃあ、仙人っていうよりは不審者だろ。
俺、絶対親父似だよな。
一つのことにのめり込んで、他がどうでもよくなる感じは、違うとは否定しにくい。
お袋はよく親父と結婚したな?
放ったらかしにあうんだろ?
俺は結婚出来る気がしないな。
だって、それを許容してくれる人っていなくねぇか?
それに、こんな不審者みたいな恋人とかイヤだろう?
お読みいただきありがとうございます!
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トーヤのテンションがあがります(笑)
引き続き他の作品共々よろしくお願いします!
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