日韓交渉の謎③
P26 第 5 次 韓日会談予備会談一般請求権小委員会 第 3 次会議 会議録
日時及び場所 1960 年 12 月 10 日午前 11 時-11 時 40 分 日本外務省会議室
出席者 韓国側
劉彰順首席委員、文哲淳代表、李相徳代表、金正濂専門委員、厳永達専門委員、崔侊洙補佐官、
オブザーバー・鄭一永専門委員、李秀佑補佐官
日本側
西原首席委員、吉田信邦副首席、卜部代表、補佐前田、兼松、井口、櫻井、玉置、柳谷、池部
(劉彰順首席委員は討議開始以前に今回新しく着任した李相徳代表と金正濂専門委員を日本側に紹介した。)
劉彰順代表-本人が約 4 週間帰国していて帰って来て、この場所でまた皆様にお会いできたことを、とても嬉しく思うものです。
特に本人の不在中に本委員会で議題の実質に関する有益な会議があったことはもっとめでたいことだ。
再論する必要もなく今日この場に集まった私たちは相互信頼と協助の精神を持って、本一般請求権問題が公正に解決するように最善の努力を尽くさなければならないだろう。
近頃になって国家間に相互接触と協助の機会が顕著に澎湃して行っているが、われわれは相互協力を通して両国間の究極的な利益を企てなければならないだろう。
本人が再三強調しようとするのは、将来の韓日間の経済協助の成敗の余否が、本会談に臨む日本側の代表の皆様の態度如何にかかっていると言っても過言ではないということだ。
今や韓国側からわれわれの対日請求権を提示した以上、日本側がこれに対する何らかの反応を表さなければならない時期だと思う。従って本人は西原代表からわが請求権の一部や、または全体に対する何らかの反応を聞こうと願う。
西原代表- 只今劉代表が話されたように本人も、本一般請求権小委員会の主要目的の一つが、韓日間の友好協力関係を促進させることにあると思う。
韓国側で提示された 8個項目は既に第一次会談当時に提示されたものなので、われわれもこれに対する研究をしてきた所であり、また貴側の説明を聞いたこともあるが、まだその内容を正確に知るには韓国側から説明をもっと聞かなければならない。
本小委員会の第一次会議の時にも本人の個人事情を述べたことがあるが、第二次会議の時には本人が出席できずとても申し訳なく思う。
皆様方もご承知のように今予算審議のための議会の特別会議が開催なかでとても忙しい。本人の考えでは本小委員会も他の委員会と歩調を合わせて進行されなければならないと思うが、どうしたら良いか劉代表の意見を聞きたいと思う。
劉彰順代表-本人もやむなくすぐに帰国しなければならない事情なのだが、わが側に関する限り本人の不在中には文哲淳代表か、または李相徳代表が本人に代わってくれるだろう。本人の不在が会議進行に何ら支障を与えないだろう。
西原代表-それならわが側は恐らく吉田信邦副主事か卜部代表が本人の代わりをするだろう。今劉代表が 8 個項目に対する日本側の反応を求めたが、今言ったように韓国側の説明をもう少し聞いてから言おうと思うので、説明を先にしてくれるのはどうか。
劉彰順代表-わが側が既に貴側に 8 個項目全体に対する全般的な説明をした以上、まず貴側でこの請求権に対する何か全体的な反応は言えるのではないかと思う。
西原代表-その意味はわかるが 8 個項目の内容を詳しく知らなくては、何の反応を言うことはできない。万一内容を明確に知らないで反応を表すなら、却って後に何か誤解をもたらすかも知れない。
劉彰順代表-それならどれか特定な項に対する具体的な質問を行うのか。
西原代表-まだそのように具体的な質問を提示するように準備ができていない。
わからない点をもう少し研究して質問しようと思う。
しかしひとつ例として質問をするならば、第一項に関する第一次韓日会談当時の韓国側請求権の内訳を見ると、韓国から持って来た金塊及び銀塊の返還を請求するとなっているのに、今回の請求書
には旧朝鮮銀行を通して搬出された金塊及び銀塊の返還を要求するとなっているのでどうなったのか。
劉彰順代表-本人が聞いているのはその前の 8 個項の第一項には金塊及び銀塊以外に文化財や船舶が含まれていたのが、これが船舶小委員会と文化財小委員会に分離したのでそうなったのだ。
西原代表-わかった。また旧朝鮮銀行を通して搬出したと言ったが、これは physically(現物を)持って来たことを意味するようだが、われわれはその代価を支払って持って来たのだ。
劉彰順代表-私としてはわが側が、日本側が支払ったという名目上の代価を日本円で払い戻す用意があると思う。これは旧朝鮮銀行を通して搬出された貨幣、金に関するもので、他の地金とは関連のない話だ。この地金は旧朝鮮銀行によって通貨発行準備金として買い入られたものだが、その後に跡を消してしまった。日本当局はこの地金を準備金として、朝鮮銀行の金庫に保管しなければならないのにそうしなかったのだ。
西原代表-今韓国の通貨発行制度及び通貨財はどういうものか。
劉彰順代表-それは必ずしも金の準備を必要とするものではない。しかしそれはここでは関係のない話だ。
西原代表-ただ参考に聞いてみただけだ。
劉彰順代表-本人は今日ここに出て来られた日本代表団の一人一人が特定な問題に対してそれぞれ責任を持っているとは思わない。それでも何か特定な項目に対する日本側の反応や、またはそうでなければ全般的な反応を表していただけないか。
(ここで日本側は劉彰順首席委員が通訳なく英語で会議を進行するので、日本代表
団の中にこれを解読できない人がいるとして通訳を立てることを望み、慣例に沿
って日本側池部補佐官が通訳をした。)
西原代表-反復するようだが例えば今言及のある地金、地銀問題のようなものも、もう少しこれに対する細かい質問があり、またそれを研究した後から反応を話せるのであって、その前には何とも言えない。
劉彰順代表-それなら 8 個項目全体に対する全般的な質問を行うのか。
西原代表-われわれとしてはまず各項に対する韓国側の細かい説明を聞くことを望む。
劉彰順代表-われわれの心配は他の委員会が相当な程度に進展を見ているということだ。
万一、本請求権委員会の進行が遅滞するなら究極的に批評を免れなくなるだろう。
したがって本人は本委員会の意思を促進させることを望む。
西原代表-本人も他の委員会の進行状況を聞いて知っているが、本委員会の進行だけがただ一つ遅延しているとは思わない。
また反応を表せと言うが、わが側がまだよくわからないので答えられないのであって、無理に反応を表すと言っても誤解を起こす恐れがあるだろう。
だから先に内容を良く研究するのがどうかと思う。
劉彰順代表-よくわかった。本委員会の進行をある特定項目に対する具体的質問を行うという方法で進行すれば非常に遅いものになるだろうから、万一日本側が包括的な質問を行うならこれに応じるから、このように全般的な検討をして日本側が論評してくれられるか。
西原代表-8 個項に対する全般的な質問をせよという話だが、実は私自身もその内容をよく知らないので、わが側内部で相談した後に回答するようにする。他に何か仰りたいことがあるか。
劉彰順代表-本人は来週の火曜日(12 月 13 日)には帰国するので、それ以前に本委員会をもう一度開催するのはどうか。
西原代表-いいと思うがその前までに包括的な研究をできるようではない。
劉彰順代表-それなら本人の不在中にも会議をしても構わない。
西原代表-技術的な討議には首席委員が、必ず参加しなければならない必要はないと思う。
劉彰順代表-それならわが側からは文哲淳代表が責任持って日本側と連絡取るようにする。
西原代表-それならわが側では前田北東ア課長が責任持って連絡するようにする。
今日はこれで散会したらどうか。
劉彰順代表-よい。




