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元徴用工の謎  作者: やまのしか
14/16

日韓交渉の謎④

第3次会議の続き


P48 韓日会談韓国請求権委員会一般請求権小委員会関係者会談要録

1961.1.13 午後 3 時 30 分~5 時 20 分の間 場所 韓国銀行会議室

出席者(会議一般請求権小委員会関係者) 兪鎮午会談首席代表、劉彰順委員会首席代表、李

相徳委員会代表、金正濂委員会専門委員、(外務部関係者)禹照昌政務次官、尹錫憲政務局長、


厳永達亜州課長、金太智亜州課事務官 (前略) P51

(劉代表)日本側は例えば徴用者未収金問題に関しては弁済意思を表明しているが、これと関

連して徴用者の身柄が以北のような所にある者のことはどうするのかと聞いている。

しかしこれに対しては徴用者の未収金の弁済を貰った後に、それを適宜処理すること

はわが政府の責任なので、日本政府で関知するところではないと説明した。

(兪代表)それは勿論わが政府で知ってすることだとしなければならないだろう。

(李代表)私が会談を通して受けた印象は、日本側でわが側の請求権の内明白なものに対する

弁済意思は見えており、その理由として日本人の説明は、そのような弁済は日本国内

の各政党も納得させられるというものであり、それ以外のものに対しては困難だとい

う説明だ。

(劉代表)徴用者未収金問題をしょっちゅう引っ張り出すのは、それが当然な請求だからある

程度支払うとして、個々関係人に直接支払うことでわが国民に、日本の『面目』を大

きく出そうというものに見える。

(李代表)わが側はわれわれの請求を「当然な請求権としていて、日本側これまた「法律的」

請求権だけ弁済するという態度に見えるが、われわれの請求の中には賠償的なものが

あって、検討を要すると思う。

(兪代表)各請求項目ごとに請求の法的根拠を、ひとつひとつ検討してみなければならないだ

ろう。

(劉代表)請求の主張も、根拠が明確なものからしなければならないと思う。

(李代表)これからの会議進行に関して困難な点があるので、もう少し研究してみなければな

らないだろう。

(禹次官)平和ライン問題と関連してか?

(李代表)必ずしもそれとの関連だけを言うのではなく請求権自体の論議において、前回の会

議の時のように法理論展開だけすると結末が出るのが難しそうだ。

(劉代表)これからはまず「説明はしてくれと言えばしてあげる。しかし金額は教えられない」

という風に推進するのがよいと思う。

(金委員)私の考えでは八個の項目をひとつひとつ順序通りに、理論的に練っていけば日本側

の本音を知ることもできるようだ。

(厳課長)今後の会議進行方法に関して、理論的な闘争を展開するのは会議進行の迅速さを阻

害する憂慮が多いので、法理論の展開はまず差し置いて船舶小委員会の例のように、

請求権内容の確認調べに入るのがよいようだ。

(李代表)しかしひとつひとつに対して上げるのか、上げないのか明らかにするのは進展が少

ないようだ。

(尹局長入室)

(兪代表)各項目ごとにまず日本側がくれるものを認めるか、順序から問いただして行くのが

よいだろう。認めるということは弁済が確認されるもので、認めないのは後回しにし


て再び討議するようにするのはどうか?

(李代表)そうすると請求金額を教えることになる。

(兪代表)日本側がくれるという請求の金額は教えてあげ、くれないものに対しては教えない

ようにする。

(金委員)請求権討議において注意しなくてはならないのは、日本側がくれようとする少ない

金額の請求問題だけ取扱うのに熱中すると、日本側の意図にリズムを合わせることに

なる怖れが多いということだ。大変でもひとつひとつ皆明らかにして行かなければな

らないと思う。

(兪代表)ひとつひとつ明らかにした後、請求は結局 package deal(一括取引き)で解決するし

かないと思う。

(李代表)請求権をひとつひとつ明らかにする問題と関連して、ひとつひとつの討議対象を委

員会会議で進行させると日時を多くかけさせるので、委員会で原則的な合意を見た問

題で証拠対象等が複雑なものは、実務者会議に回して調査させた方がよいだろう。

(金委員)証拠対象問題と関連して国債等に関して日本側は国債ひとつひとつの取得原因を

探そうという考えを持っているようだが、これは日本人が置いて行った国債等は辨消

(弁償)しないというように見える。しかし国債の償還要求はわが側の保有現物及び登

録台帳、日本側の発行台帳等によって調査するのは当然なことだ。

(李代表)さっき言った実務者会議に関して(1)逓信部債権(券)関係(2)有価証券関係(3)徴用者

未収金関係等の実務者会議(working group)を持つのがよいだろう。しかし徴用者未収

金関係はわが側の保有証拠が微弱なのに、これは結局政治的な解決に依存するのか?

(兪代表)ただそれだけではなく全般的に相互請求権の存在及び請求金額を確認したものは

そのまま貰って、原韓国請求総金額と前記確認金額の差額は政治的な駆け引きに任せ

るということだ。

(李代表、金委員) 被徴用者の数に関して日本厚生省で発行した資料によると、韓国人被徴

用者数は 1944 年末現在 66 万 7 千名となっているが、これはよい資料になるだろう。

(尹局長)会談一般請求権小委員会の会議進行方針に関して私の考えでは、わが側の弱い点は

日本で関心を持つだろうが、わが側が先んじて心配する必要はないのであり、わが側

はわれわれの強い点を強力に主張して進めるのが正しいだろうと思う。したがってわ

が側の請求根拠が確実で該当証拠資料まで備えた請求権は、利子まで計算してでもま

ず大きく要求し後は場合によって譲歩するようになれば、われわれが考え出して譲歩

することでしなくてはならないだろう。

また平和条約第四条(a)に規定した韓日両国間の韓国請求権の協議問題において、韓

国は同条約同条(b)の米国解釈によって日本の対韓請求権が消滅したことを、韓国の対

日請求に考慮しなければならないという米国の立場も、反対に考えれば米国が韓国の

対日請求権の存在を認めている証拠になり、同立場に依って対日請求の削減を考慮す

ることになれば、考慮する主体はわが側であるだろう。


(兪代表)米国覚書の立場を見ると、本社を韓国に置く法人の在日財産請求問題に関しては、

わが側が立場を弱化させる点があると思われる。

(李代表)その問題は財産の所在地余否に沿って帰属が決定するということだが、米国の解釈

通りに日本内に存在する財産まで追及できなければ、国債等有価証券のほとんどが現

物は日本にあることに照らして、そのような証券は請求できなくなるので困難だ。

(劉代表)在韓本社法人の在日財産請求問題に関する米国側の解釈を必ず承服しなくてはな

らない必要はないし、わが側はその問題に関してわが側自体の理論を備えなければな

らない。即ちサンフランシスコ平和条約規定の精神によれば、日本が占領した地域で

日本が円以外の貨幣単位で表示した外貨に対しては日本が弁済する義務を持つが、円

で表示した債務に対しては辨消(弁償)する義務を持たないと規定している。しかし韓

国はその他の占領地域と違い、円が韓国(朝鮮)財政の基礎になったので、その他の地

域とは事情が異なる。したがって韓国と日本の間は同じ地域間の貸借決済という形式

で解決されなければならないという風に、理論展開することを考慮できると思う。

(兪代表)元来法人は一般商法等の理論上属人主義が原則なので、本店、支店の地域的差異の

せいで分離はできないものだ。したがってこの問題に関しても、一般商法理論を主張

できる。

(尹局長)まず商法理論に沿ってわれわれの在日財産を主張し、日本の対韓請求権問題が出た

ら軍政法令第三十三号を利用すればよいだろう。

(劉代表)朝鮮銀行の在ニューヨーク支店財産を米国政府に対して返還してくれるように要

請したことがあるが、前記の理由で拒否されたことがある。

(李代表)その財産を米国から日本に渡したという話があった。

(兪代表)それは交渉の余地があると思う。

(金委員) 在韓本社法人の在日財産を要求するのは負債まで一緒に要求することになるが、

このような理論の推進がわれわれに実利をもたらすものなのか余否は考慮の余地があ

ると思う。

(劉代表)会議進行方法に戻って会議進行の途中、数字の提示がある時には相互極秘にして置

くことを合意し、請求内容の調査等をしなければならないだろう。

(厳課長)数字の外部漏洩は日本側がもっと怯える傾向もある。

(兪代表)請求権問題に関連して日本側は経済援助を提議しているが、結局問題はどれだけ日

本側から貰い出すか、即ち実際の弁済金額が重要だろう。

(劉代表)とにかく請求権委員会討議進行においては請求権弁償問題と経済協助問題を別途

に取扱うようにしなければならないだろう。

日本は経済協調と関連して対米債務である GARIOA 及び EROA 債務で弁済する資

金の内一部を対韓援助に回そうという傾向も見えるが、これは二重の効果を狙うもの

だ。

(李代表)平和ライン問題と請求権問題の連関的解決に関して、平和ライン問題において何か



譲歩がないと、請求権問題も解決できないと思う。また請求権問題を先決し平和ライ

ン問題を後回しにするのは、難しいように見える。

(尹局長)この問題に関して少し違うのは米国だろう。わが側で国民輿論のために平和ライン

問題を解決するのが難しく政府の立場が困難になるなら、米国では韓国国民の感情緩

和のために日本側に請求権である程度譲歩をせよという勧告をするかも知れないと思

われる。要は日本が請求権問題で譲歩を多くすることで、韓国民の感情が緩和すれば

平和ラインの解決もし易いだろうという点を、日本側に納得させることが重要なこと

だと思う。


(李代表) 日本側としては日本国民の感情問題、野党の攻撃を口実にすると思う。

(尹局長)それに関しては日本側に対して、韓国と日本の国内情勢の差異を納得させなければ

ならないだろう。

(兪代表)日本でマッカーサー駐日米国大使との会談時に、韓国民の対日不信感情が緩和すれ

ば平和ラインの解決もし易くなるという点を強調したことがある。この点を説明すると、最初平和ライン先決の主張を持っていた同大使も、後には態度が相当よくなるのを見た。


(禹次官)この問題は重要だ。平和ライン問題は下手をすると韓国全体の運命を賭ける可能性

もあるので、われわれができるだけ固守して国民が納得できる方向で解決するようにしなければならない。また日本の対韓経済協調問題においても、日本の民間資本主たちの中で生産費が安い韓国で物品を生産して、東南アジア地域等に販売することで色々な方面に利得を得るために、これを積極推進させようという動きがあるという情報も聞いたことがある。


(尹局長)海外公館からの報告によると、日本側澤田首席代表が外務省では影響力が少ないという情報があるというがどうなのか?


(兪代表) 澤田首席代表が「力がない」という消息はある。だから更迭されるかも知れないという言葉もあるようだ。後任としては岸前首相になるだろうという風聞がある。








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