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大聖堂地下護衛任務 僕剣士、ワンミス

 エルンストがヤバいきのこを食べて倒れてから、数秒。



 イヤ~~な沈黙が、あった。



 それからさらに数秒すると、視界が切り替わり。


 地下水道への階段を下りてきたところに戻っていた。



 とりあえず階段に向かってダッシュ!


 う。

 くっそぉ、やっぱり帰れないか。


「って何、全てを無視していきなり帰ろうとしてるんですかああああああああ!」


 大きな声で言いがかりをつけてきたのは、エルンスト。


「何を言う。こんな訳の分からないところ、脱出するべきだ。今すぐに」

「それについては、私も同感です」


 背後に吹雪を背負ったハンケツが、ボソッと呟く。


 うわ~、これは完全に好感度マイナス限界突破してますよ!

 攻略不可ですよ。


 しかし好きの対義語は嫌いではなく無関心。嫌いはベクトルを向け変えれば、ワンチャン好きへの展望が開けるのだ!


「しかも、結局縮んだままだし! 戻ったのは進んだ距離だけだったじゃないですか~~~~~! 何なんですもう! もう! も~~~~~~~~~~~~~~~~~!」


 いかん。

 エルンスト怒り過ぎて牛になってる。


 これ、ワンミスしたか。

 スタート地点に戻ったし。


 視界の端の東方剣士アイコン、残機数は変わっていない。

 とすると。


「エルンスト殿。視界の端に貴殿の似顔絵のようなものは、あるだろうか」

「今度は何です? というか、反省してますか? 僕、死にかけたんですけど」

「面目ない」


 キリッ



「も、もう! それで謝ったつもりですか? 今回だけですからね」


 赤くなって。チョロイ。


「忝い」

「もういいですよ。似顔絵みたいな……っと、ああ、ありますよ」

「その傍らにある数字は、幾つだ。2か」

「2ですね」


 やっぱりか。

 エルンストの残機、ひとつ減ってる。


「申し訳ない。毒きのこだったようだ」

「DAKARA最初っから毒きのこだって言ってるじゃないですかああああああああああざんすかああああああある!」


 おこだ。

 激おこだ。


 無理もないか。でもワンミス扱いだけで良かったわ~~~。

 ナチュラルに人殺しになってしまうところだった。

 ほんと、人生の落とし穴ってどこに開いてるか、分からないネ!


 進むしかない俺たちは、さっき攻略したばかりの道のりを、再び進んだ。

 文句を言い続けるエルンストと、吹雪を背負って一言も発しないハンケツと、いつだってハイテンションのヒゲのオッサン二人を引き連れて。


 いつだって陽気な人って、意外に魅力的かも知れない、と思えてきた。




「ようやく、ここまで戻ってこれましたね」


 小一時間程経過した頃、毒きのこを発見した場所まで戻ってきた。


「早く地上に戻りたいものですね」


 凍てついた声で、ハンケツが呟く。


「くるぞ」


 いいタイミングで敵がやってきてくれた。


 注意喚起して戦闘態勢に入る。

 つってもジャンプする心積もりをするくらいだけど。


 もう何匹倒したかも分からない、黒ヘルメットの群れだ。


「エルンスト殿、ラウドドラゴンを」

「任せてください! 吠えろ、ワーガ!」

「ワッ」


 先頭が痺れて止まる。

 後続は止まった黒ヘルメットにぶつかると、方向転換して歩み去っていった。


「今だな」


 ぴょいっとジャンプして、痺れた黒ヘルメットを踏んづけ、蹴りとばした。



 ポコッ


 ポコッ

 ポコッ


 ポコッ

 ポコッ



 蹴った黒ヘルメットは、だんだん衝突音が高音になっていきながら、次々と群れにぶち当たっていった。



 ティロリロリロ! ティロリロリロ!



 おっ。

 なんか軽快な効果音になった。


 ひょっとしてと思って確認したら、東方剣士アイコンの横の数字が5になっていた。


 おー。ツーアップ。残機増えたわ。


 そんな風に喜んでいた俺は、地下道なのに遥か遠い天井から飛来する敵に、気が付いていなかった。

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