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大聖堂地下護衛任務 検証バトル

 何がアクションゲーム判定を受けるのか。

 色々、試しながら戦おう。


 その前に、注意喚起だ。


「奴らに触れると縮んでしまう。エルンスト殿は、最悪の事態も考えられる。絶対に触れるな」

「ヒィッ! 剣も全然効かないし、じゃ、じゃあ、どうすればいいんですか!」


 黒ヘルメットたちから距離を取りながら、二頭身のエルンストが叫ぶ。


「踏みつければ大丈夫だ。他には……」


 俺は黒ヘルメットを警戒しつつ、ヒゲのオッサンコンビのペット、スターヴドラゴンのところにきた。


「こういう手も、ある筈だ」


 おもむろに、スターヴドラゴンの後頭部を叩く。


「グエッ」


 大蛙のような声を出して、大口を開くスターヴドラゴン。

 開いた口から長い舌が飛び出し、黒ヘルメットに巻き付いていく。

 舌が巻き戻っていくとき、からまった黒ヘルメットもそのまま戻っていき、


「ングッ」


 飲み込まれた。



「す、すごい……」

「マンマミーヤ!」

「ゲコッ」


 囃し立てるオッサンブラザーズと、素早くスターヴドラゴンの傍に走り寄るエルンスト。


 うん、命を大事に、な。


「後は、そうだな。巡礼殿。そちらのペット、火の玉を出せたりはしないだろうか」

「まんまるビーストですね。確かに、出せます」

「よし。では頼む」

「承りました。やって下さい」

「ガウッ」


 ハンケツに促され、気合満点のまんまるビーストがノシノシと出てきて、火の玉をペッと吐き出した。

 黒ヘルメットに向けてひょろひょろと飛んでいく。


「僕が全力で斬ってもダメだったのに、そんな小さな火の玉が効くわけが……」



 ポコンッ



「ってええぇ!?」


 エルンストが何か言っていたが、黒ヘルメットにあたった火の玉は一瞬で燃え上がり、金貨が残された。


 俺たちの刀はダメだったが、まんまるビーストの火の玉はOK判定が出たようだ。


 あのフォルム、どこかで見覚えがあると思っていたんだが、賞金稼ぎで肉体派のエルフが出てくるアクションゲームに登場していたはずだ。

 確か、しっぽや火の玉を駆使した中距離戦を得意とした、素早いキャラだった。



 残るは後一匹。

 大した危険もないからやり過ごしてもいいところ。

 逆に言えば、検証にはもってこいだ。もうちょっと付き合ってもらおう。


 俺は、スターヴドラゴンの後頭部を叩こうとしているエルンストに声を掛ける。


「エルンスト殿。ワーガの技も、効くかも知れん」

「本当ですか!? でも、東方さんの予想、全部当たってましたもんね。よーし! やってみます。皆さん、耳を塞いでいてください!」

「かしこまりました」

「うむ」

「マンマミーヤ!」

「ゲコッ」


 おのおの、返事をしながら、耳を塞いでいる。


 ……ヒゲのオッサンズは、コスプレ衣装のタヌ耳とカエル耳を押さえてるけど、そこで本当にいいんだろうか。

 ってか一応言葉通じてたんだな。


 ツッコんだら負け、ツッコんだら負け。


「いいぞ、エルンスト殿」

「はいっ! 吠えろ、ワーガ!」


 眠そうな目をしたエルンストのペット、ラウドドラゴンのワーガは、テケテケと歩いて前に出ると、大きく息を吸い込んだ。そして……



「ワッ」


 と一言。



 え~と。

 活字の「ワッ」が出て、飛んでいくな。

 予想通り。


 活字の「ワッ」は、黒ヘルメットに当たると消滅した。


 そして黒ヘルメットはというと。

 痺れていた。


「効いたようだな」


 動きが止まっている間にジャンプして、踏みつける。


 ていっ。

 黒ヘルメットは暗闇の彼方へと消え去った。


「効きましたね」


 どこか遠い目をしながら、エルンストは答える。


「よく分かりませんけど、早く元に戻って帰りたいです」



 鳴き声で敵の動きを止める恐竜。

 そんなアクションゲームも、あったよね。


「このように戦えば、すぐに帰れるさ。行くぞ」

「ホッホ~~ゥ!」

「ゲコッ」

「だといいんですけど……。」


 そんなこんなで、その後も危なげなく、攻略を進めていった。


 黒ヘルメットは動きが単調なので、相手にならない。

 随所にポッカリと落とし穴が開いていたが、無難に跳び越えた。


 元の地下道の感覚だと、とっくに配管が壊れた場所に辿り着くほどの距離を進んだ筈。


「アマーリオ殿。ルイニ殿。目的地は、まだか」

「ホッホ~~ゥ」

「ゲコッ」


 いつもハイテンションだから違いがわからん。

 ため息をつき、さらに進む。



「少々よろしいでしょうか」


 些か飽きてきた頃、ハンケツから話し掛けられた。


「なんだろうか」

「先程から、何故それを叩いていらっしゃるのでしょうか」


 俺は、目についた宙に浮くブロックを、全て叩きながら進んでいた。

 ハンケツは言外に、「そんなもの叩いてないで、早く進んで下さい」と、伝えてきている。

 早く帰りたいのは彼女も同じようだ。


 俺だって早く帰りたい。

 しかし、エルンストがずっとこのままだったら寝覚めが悪からなあ。

 なんだかちょっとイジケキャラみたいになっちゃってるし。


「うむ。探し物だ」

「そうですか」


 ハンケツは不満ありありの声音ではあったが、それ以上は追及してこなかった。

 その後も、ブロックを叩きながら進む。

 と。



 おっ。出た出た。出た出た出た出たついに出た。

 アレが出た。


 ニョキっと。


 俺が叩いたブロックから、アレが生えてきた。


「出たか。エルンスト殿。これで元に戻れるぞ」


 俺はブロックに跳び乗ると、アレをもぎゅっともぎ取って、エルンストに振り返った。

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