ドキッ! 不安だらけの大聖堂地下護衛任務
地下への階段を抜けると、そこは――――
以前来た筈の地下道とは、全く違った。
まず、やけに天井が高い。
そして、壁と同じ材質のブロックが、ブロックが。
宙に浮いている。
支えも何もないのに、宙に浮いている。
どうなってんのこれ?
おまけに、とても聞き覚えのある、おどろおどろしいBGMがかかっている。
極めつけは、遥か先にある暗がりに、チラッと見える、土管。
緑色の土管。
ぅわあ、これ、これあれだよな~~。
インターフェースも変わってる。
視界の左上に、東方剣士の顔アイコンがあって、×3とか書いてある。
これどう考えても残機だよな。
なんてこった。
いつの間に、アクションゲームの世界に迷い込んでしまったんや!
ってかこれ、明らかに今回の護衛対象のせいだよな……。
俺は振り返って、原因と思われる兄弟の方を見た。
……ハイテンションで、マンマミーヤとか何とか言っている。
いやこれ無理だろ。
不測の事態過ぎる。
出直そう。
ん?
あれ?
も……戻れない!!
くっ! スクロールしたら戻れないタイプだっていうのか!
おい~~~! ちょっとどうにかしてくれよこれ!
「……アマーリオ殿、ルイニ殿」
「「ホッホ~~ゥ?」」
「私の知っている道とは、少々、いやかなり違うようなのだが。この先に、例の配管はあるのだろうか」
タヌキとカエルのコスプレをしたヒゲのオッサンは、同じ顔を見合わせて、それからこっちに向き直り、サムズアップしてきた。
「ホッホ~~ゥ!」
「イッテミーヤ!」
うわ頼りになんね~~!
しかし、よく考えなくても進むしかなさそうだ……。
残機とかあるし、慎重にいこう……。
「あっ! 何かやってきましたよ!」
エルンストが、前を指さして叫ぶ。
確かにいる。
亀のようなやつだ。黒くて、つるつるの丸っこい甲羅を背負っている。
歩くヘルメットみたいだ。
「敵だ。距離をとれ」
皆にそう言い置いてから、俺は待ち受けた。
俺の考えが正しければ、こいつとまともに斬り結ぶわけにはいかない。
物は試し。いってみるか。
月光を発動。刀身が青く輝き出す。
防御無視だ。いけるか?
カィンッ!
いい軌道で向かった筈の斬撃だったが、弾かれた。
甲羅部分じゃない。その手前、何もないところだ。
くっ。
やっぱりか。
こいつ、斬ることはできない!
バランスを崩し、後退った俺に向けて、黒ヘルメットがノコノコと歩いてくる。
全くの無防備。
しかし、剣は届かない。
「危ない、東方さん!」
エルンストだ。
隊列を無視して、飛び出してきやがった。
「うおおおおおおおっ!」
雄叫びをあげ、黒ヘルメットに斬りかかっている。
しかし、案の定。
カィンッ
カィンッ
その剣は届かない。
「くっ! 何故だ! かったぃ!」
エルンストはがむしゃらに斬りつけるが、その全てが甲羅に届く前に見えない壁のようなものに弾き返されている。
「エルンスト殿。ここは一旦退け」
「くっ。しかし……」
「下がれ。護衛はどうした」
「僕は……そうでした。すみません」
落ち込んでしまった。
おいエルンスト! 敵前だぞ!
「エルンスト殿! 回避だ!」
「えっ? うわあ!」
いくら斬ってもお構いなしで進んできていた黒ヘルメットが、そのままノコノコと歩いてきて、エルンストに接触してしまった。
テュンテュンテュン
そして。
妙な効果音とともに、エルンストは。
縮んだ……。




