大聖堂地下護衛任務 漆黒の歩行者(ウォーカー)
《前回までのあらすじ》
彼の名前はエルンスト・パークス。
冒険者だ。
普段は街から街へと渡り歩く、商隊の護衛をしている。
そんな彼は、宗教都市シンバツの大聖堂で、美人の東方剣士を目撃し、こっそりと後をつけた。
怪しげなヒゲのオッサン達を護衛して、黒ずくめのナマモノに斬りかかった彼は、美人の東方剣士に叱責され、落ち込んでしまう。
その時、背後から迫りくる、黒ずくめのナマモノに気が付かなかった彼は、体当たりを受け、気が付いたら――――
身体が縮んでしまっていた!
っと。
思わず変なナレーションを入れてしまったが。
エルンスト、二頭身になってるな。
「な、な、な、なんですかこれはあああああああああああああ!」
顔はそのままで、身長だけ縮んでる。
「な、な、なんなんですかこれはああああああああ!」
接敵すると、『ああなる』のか。
なりたくないな。
ましてや、ヒゲのオッサンが縮む様は見たくない。
守り通そう。
「な、なにこれ!? なんなんですかこれはあああああああああああああああああああ!」
「エルンスト殿」
「ど、どうなっちゃってるんですかこれええええええええ!」
「エルンスト殿」
「なんなんです、なんなんですこれはあああああああ!」
ボグッ!
「峰打ちだ。安心しろ」
話が進まないから、とりあえず黙らせた。
聖職者もいるし、大丈夫だろ。
状況を整理しよう。
戻れない地下道。
緑色の土管。
宙に浮くブロック。
残機表示。
斬れない、接触するとこちらが縮む敵。
ヒゲの配管工ブラザーズ。
これらの状況から、導き出される真実は、たった一つ。
俺は、剣を鞘に納め、黒ヘルメットと向き合った。
「南無三」
剣の通用しない敵。
しかし俺は、確信を込めて――――跳んだ。
ピョ~~ン
ピョコッ
踏みつけた黒ヘルメットは、手足を甲羅の中に引っ込めた。
「やはり」
身動きしない黒ヘルメットを蹴り飛ばす。
ポコッ
黒ヘルメットは、暗闇の彼方へと、滑るように消えていった。
もう間違いない。
今、この空間は、アクションゲームになっている!
ヒゲのオッサンと一緒にいるからなのか、この護衛任務の間だけなのか、その辺は分からないが。
とにかく、東方剣士としての、FBWでのステータスは、意味を為さないと考えた方が良さそうだ。
あっ。
エルンスト君、ぶちのめしちゃった。
ちょっと慌てて振り返ると、ハンケツがエルンストを回復していた。
ふぅ。
ちょっと今、焦っちまったぜ。
ただ、やっぱり縮んだ身長は戻らないようだ。
戻すには――――アレしかないだろうな。
俺は、そこら辺に浮いているブロックに、下からパンチしていった。
何の抵抗もなく、ぶっ壊れていく。
「何をしていらっしゃるんですか」
ハンケツが、疑わしそうな目で、こちらを見てくる。
「何、探し物をな」
チャリーーン
おっ、金貨が出た。
ブロックは、壊れてない。
チャリーーン
チャリンチャリンチャリンチャリンチャリン
「探し物は、それですか?」
「む。いや、違うのだが」
つい、叩き続けてしまった。
条件反射コワイ。
ん~。
この辺に例のモノはないらしい。
まあいっか。進みながら探そう。
「うっ。ここは……僕は一体……」
おっ。
丁度、エルンストが気が付いたか。
自力で進んでもらう方がいいから、助かった。
「エルンスト殿。少々取り乱しているようだったので、勝手ながら黙ってもらった。
今回の件、どうやら特殊な依頼だったようだ。今から言う事を、落ち着いて聞いてほしい」
「えっ? あ、ハイ。分かりました……」
「私は、このような戦いにも経験がある。貴殿が元の姿に戻る方法にも、心当たりがある。安心して欲しい」
「元の、姿……? あっ……あああああああ!
なんだこれ~~~~~~~~~!」
あっ。
なんだ。
気が付いたばかりで、ボーっとしてたから、反応が鈍かっただけか。
ボグッ
「うぐぅ」
鞘に入ったままの剣で、腹を突いて黙らせる。
「エルンスト殿。落ち着け」
「ぐっふ。お、落ち着けったって。これが落ち着いていられますかっ!」
うん。
そりゃそうだよな。
「聞け。元に戻れる。そうだな、アマーリオ殿」
「マンマミーヤ!」
「ほら。アマーリオ殿も、こう仰っている」
「マンマミーヤって言ってるだけじゃないですかぁ!」
「大丈夫だ。なあ、ルイニ殿」
「ゲコッ」
「ほら、ルイニ殿もこう仰って――――」
「カエルの鳴き声出してるだけじゃないですかあああああああああああ!」
そうだよな。
なんかごめん。
でもなんかめんどくさくなってきたなあ。
「そうだな……。しかし、このまま、この場にいても致し方あるまい。先に進もう」
「それは……そうかも知れないですけど。なんでそんなに冷静にしていられるんですか!
やっぱり他人事だと思ってるからじゃないんですか!?」
「何。確かに驚いたが、見覚えのある現象だっただけだ。
……元に戻るには、専用のアイテムが必要だ。その為にも、今は進むぞ」
「本当ですか? 本当に元に戻れるんですよね? 信じていいんですよね? ねえ?」
「敵だ」
しつこいほど確認してくるエルンストに辟易していたら、前方から、再び黒ヘルメットがノコノコとやってきた。
今度は三体。
ちっ。まだPTメンバーに全然説明できてないのに。
こうなったら、試しながら戦っていくしかないな。




