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東方剣士、僕剣士の同行を認める

 俺は、寸止めしていた剣を収め、回復薬を飲んだ。

 みるみる、エルンストから受けた傷が回復していく。


 一方、エルンストは、へたり込んでいた。


「エルンスト殿」


 呆けているエルンストに、声を掛ける。


「ハッ! あ、ご……ごめんなさい! 僕、僕、東方さんのこと、斬っちゃって! ごめんなさいごめんなさい!」


 我に返ったと思ったら、謝り倒してきた。


「良いのだ。私から仕掛けた訳だからな。

 それにしても、やるではないか。私を斬るとは。

 範囲攻撃も、できるとはな」


「あ、はい! 一応、奥の手なので、黙ってたんですけど……ごめんなさい!」


「良いと言っている。やや剣は軽いが、充分だ。

 同行を認めよう。今回の働き如何では、その後も期待していい」

「え……? それって……」

「互いを知る機会も、増えるかも知れないな」

「や……やった! やったああああああああああああ!」


 エルンストは、ガッツポーズを取り、小躍りしている。

 浮かれすぎてもいけない。

 俺は釘をさしておくことにした。


「エルンスト殿。影光は最大の威力を発揮するためには、影心を使わなければならない」

「あっはい。そうですね!」


 小躍りしつつ、答えるエルンスト。


 そうなのだ。

 影心は、物理攻撃力を減少させる代わりに、魔攻を大幅に増やすスキルだ。

 初期レベルでも、物攻は半減、魔攻は3倍。

 それだけ聞くと、凄まじい効果のように思えるが、元々剣士は知力の素養が低く、魔攻は上がりにくい。

 いくら魔攻を上げても、影光には遠距離から範囲攻撃できるというだけで、その他の剣士スキルのような追加効果は存在しない。


 黒い刃を飛ばす、魔剣士。

 厨二心の化身、魔剣士。

 負けるな、魔剣士。


 それは決定力に欠ける、茨の道である。



 ……といったことを、エルンストに伝えたが、こいつ小躍りしながら生返事してるだけでさっぱり内容が入ってないな。


「おわっ! な、なにをするんですかっ!

 危ないですよ、東方さん」


 ちっ。

 避けたか。


 回避だけはそこそこやるなこいつ。


「貴殿が上の空だったからだ。

 良いか。影心は隙が大きすぎる。

 どの道影光は牽制にしかならない。有事には、影心を使わず、すぐに影光を撃つように」

「一応、僕の主力スキルなのに……・でも、東方さんと戦ってみて、はっきり分かりました。

 影光と星光で凌ぎます。その間に、助けてくださいね!」

「善処しよう」


 翌日の確認をして、エルンストと別れた。

 何故かついて来ようとしたが、置き去りにした。

 準備まで一緒にするなんて言った覚えはない。



 そして翌日。


 約束通り、8時に大聖堂の北門で集合した。

 俺とハンケツはほぼ時間通りにきたが、エルンストはどう見ても一時間は前から来ている。

 しかもハイテンションだ。


「お二人とも、おっはようございます! 今日はよろしくおねがいしまっす!」

「宜しく頼む」

「おはようございます。では早速になりますが、行きませんか?」


 ハンケツ、事務的だな。

 まあ数ある日常の中の依頼ってことだ。

 俺もそうだ。


「うむ。では大聖堂に入ろう。護衛対象とは中で会うことになっている」

「どんな人なんでしょうね! 楽しみですね!」


 エルンスト、無駄に元気だな。


「守りやすい方であることを祈ります」


 我関せずのハンケツ。

 そうだな。

 俺もそう思うよ。


 挨拶もそこそこに。俺たちは大聖堂に入った。


「あっ。東方さん。こちらですよ~~~~!」


 担当のシスターが、手を振ってくる。


 朝から元気だな。

 ゆっさゆっさ元気だな。


「朝早くからありがとうございます。今日はよろしくお願い致します」

「宜しく頼む。この二人は護衛だ」

「よろしくどうぞ」

「あっ、よ、よろしくおねがいします!」

「うふふ。巡礼さんと、あら。あなたは確か――――」

「あっあっあっ、本日はお日柄も良く!」

「? 東方さんのPTに入れたんですね。おめでとうございます」

「あーーーー! あっ、えっとその、はい。……ありがとうございます」


 チラッとエルンストを見ると、真っ赤になっていた。

 察するに、東方剣士について、このシスターに色々聞いたり、相談に乗ってもらったり、していたのだろう。


 俺は特に悪いことをしているわけはないはずだが、どこか騙しているような、申し訳ない気分になる。


 すまんな少年。中身が俺で。


「――――仕事の話に入ろう」


 俺は提案する。

 このくだりは、さっさと切り上げよう。


 くすくすと笑っていた巨乳シスターは、表情を改めて、俺たちに告げた。


「はい。修理の方も、もういらしてます。

 こちらへお越しください」


 先日の面談室に案内された。

 シスターが軽くノックする。


 と、返事がした。


「「ホッホ~~ゥ」」


 ……梟の鳴き声みたいのが返ってきた。

 二人分。

 しかも妙に高い声で。


 だめだこれ。

 嫌な予感しかしない。

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