東方剣士、汚物を消毒する
水音に続いて、重そうな何かが落ちる音。
何が……何が起こってるんだ?
マジこわいんですけどぉ!
と、足元をねずみが横切っていく。
松明を灯しているのに、お構いなしだ。
ん?
なんかおかしいぞ?
物音がした方から逃げていくんじゃなくて、逆に向かって行ってるぞ。
俺は恐る恐る、物音がした方へと進んでいく。
すると……
脇道が見つかった。
ねずみたちは、そちらへ向かって入っていっている。
ゴクリ。
い、行ってみるか。
自動迎撃モードがONになっているのを確認して、再び剣を抜き放って進んでいく。
ピチョン、
ピチョン
また、水音だ。
大丈夫。
東方剣士は剣の達人だし、近づく奴は剣で斬るだけだ。
それに、FBWにはゴースト系の敵もいたけど、普通に斬れたじゃないか。
恐がることなんて何もない。
行くぞ。
自分を鼓舞して、じりじりと進んでいくと、下水道につながっていた。
なんだ。
そりゃ水音くらいはするか。
よく考えたら、全然おかしくなかったな。
拍子抜けした俺は、一気に全身から力が抜けた。
ふぅ~~~。
……ん?
でも待てよ。
ドサッていう物音が何だったのか、結局まだ分かってないぞ。
さらに先に進んでみると、ねずみたちの鳴き声が盛大に聞こえ始めた。
なんだっていうんだ。
松明で照らすと、何か大きな塊に、ねずみが群がっているのが見えた。
明かりに照らされた無数のねずみたちの動きがピタッと止まり、一斉にこちらを向いてくる。
こわっ。
逃げるか、それともかかってくるか。
息を凝らして待ち構える。
……。
え?
えぇ~~~~~~?
害はないと見たか、ねずみたちは塊に向き直り、貪り始めた。
うげっキモイ。
これか。
この塊が落ちてきたのか。
なんだろう?
よく見えないが、骨とかもチラホラ見えるような……。
でも死体っていうよりこれは……。
うん。
生ゴミだな。
なんか魚っぽいのやら、果物の皮らしいものとか、いろんな葉っぱの切れ端とかも見える。
こんなもんどっから落ちてきたんだろう。
ん~~。
あ、あったあった。あそこか。
ありゃ~。
天井をはしってる配管が割れてる。
察するに、大聖堂から出るゴミが、配管が割れてここで落っこちて、ねずみの大量発生につながってたんだな。
幽霊の正体見たり枯れ尾花、なんていうけど、
ねず公の原因見たりゴミ溢れ、ってか。
だめだこりゃ。ただ五・七・五になってるだけだ。
さあて、こんなもん見つけちゃったからには、大聖堂に報告だな。
さすがに東方剣士は配管工じゃないから、いったん撤収して配管工に任せないと。
赤や緑のツナギを着てなくてもいいから、配管工にな。
よし。
とりあえず100匹ねず公を狩る。
ついでに、今あるゴミは焼却してしまおう。
「アイシールド」
「ギョル」
呼び出しに応じ、闇の中から大きな一つ目の盾が浮かび上がる。
「焼却しろ」
「ギョイ」
アイシールドの目が見開かれ、赤く光った。
ってか今、何気に御意、って言った? 言ったよね?
アイシールドの目から熱線が迸り、生ゴミを焼いていく。
うげ、酷い臭いだ。
「ヒャッハー―――――! 汚物は消毒だ――――!」
思わず、お約束を叫んでしまった。
後悔はしていない。
生ゴミが燃え上がり、引火してねずみたちも燃えていく。
「ハハハハハッ、みんなもえてしまえ!」
サイコな巨大ロボに乗ったような気分になって、ついこんな言葉も出てくる。
「見ろ! ねずみがゴミのようだ」
泡を喰って逃げ散っていくねずみ。
だが甘い、甘いぞ!
「どこへ行こうというのかね?」
こちらに向かってくるねずみは、自動迎撃で次々に斬り捨てる。
討伐数は一気に80。
奥に向かって行ったのを狩れば、それで終わりだな。
「追え、アイシールド。ゴミを見つけたら燃やせ」
「ギョイ」
アイシールドは、スーッと宙をすべり、ねずみを追いかけていった。
時折、熱線が迸っている。
優秀なやつだな。
ってか今さらだが、最初からペット出しとけば楽勝だったな。
これにて一件落着、か。
帰ろ。




