中の人、すごくトイレに行きたくなる
メリークリスマス♪
クリスマス特別回として、お色気回ですよ!
本当は月曜定期更新なので、偶然ですが。
お色気回なのは本当です。
砂漠の大迷宮を攻略した。
ファラオを倒すと同時に現れたNPC(入口を守っていた番人)に話し掛けてピラミッドを脱出し、そのままPTは解散。
クエスト達成の報告と報酬の受け取りは各自で行えるので、即座に解散するのが通例なのだ。
そうして、今、俺は1人で砂漠に立っている。
より正確には、砂漠マップでたまに湧く希少鉱石を掘りながら、考えごとをしている。
採掘作業自体は、オートで身体が動くようだから、放心しているといってもいい。
そう。
俺は今、東方剣士なのだ。
対ファラオ戦で、東方剣士を操作したいと思ったら、本当に東方剣士に意識が移ってしまった。
戦闘中だったから、半ば夢中で戦って、この問題については棚上げしていたのだが……。
「寒……」
夜がくる。
FBWでは、時間の概念というのはあくまで各種イベントの開始・終了時間があっただけで、日が暮れたりといった、朝や夜の移り変わりはなかった。
だけどどうやらここにはあるようで、ごく短い夕暮れの刻が過ぎ、辺りは急速に暗くなってきていた。
着物のような東方さんの装備では、砂漠の夜の寒さには耐えられそうもない。
腰を落ち着けて色々と検証したり、考えたりしたいところだが、ここはいったんギルドに戻って完了報告をして、宿にでも引き籠ろうか。
採掘を切り上げて、街へ向かった。
ギルドに行って、手早く完了報告を済ませた。
今回の報酬は、高級素材2種と宝の地図。
宝の地図はまた後日にして、今は向かいの「冒険者の仮宿」へチェックインする。
「ん~~~っ」
部屋に入って荷物を下ろし、装備を外して大きく伸びをする。
そして、そのままボフッとベッドへ仰向けにダイブ。
「あ゛~~っ。なんか疲れちゃったな~~~」
俺しかいないから、キャラ崩壊だけど素に戻る。
マッハとしてこの宿で目覚めてから、ほぼ丸1日。
雑魚狩りに反乱軍大将戦、砂漠の探索と冒険を楽しんでしまった。
パソコン越しとは全く違った感覚で楽しかった。
楽しかった……か。
楽しかったんだけどな。でも。
これからどうしよ。
「そろそろ、目が覚めても、いいんだぜ?」
ポツリ。
誰にともなく、呟いてみる。
確かに楽しかった。
でもさあ。
別に現実生活にそこまで不満があったわけじゃないんだよなあ。
FBW終わっちゃって、寂しいと思ったのも確かだけどさ。おかげでロスタイムみたいに色々楽しめたし。
何となく頬を引っ張ってみる。
ふに~~~。
「痛てえ」
痛い。
マッハの時にもやってみたが、普通に痛い。
あ~あ。
覚めないな。痛覚のある夢なのかもな。
東方剣士にチェンジしたままになっちゃったし。
どないしょ。
……。
それにしても、ほっぺた柔らかいな。
なんかすべすべだし。
……。
髪、長くて鬱陶しいな。
何の気なしに髪をいじったり、ほっぺたをぺちぺちしたりしながら、改めて全身を眺めてみる。
やっぱ細いな。細いけど、どこか力強い。
鍛えられた身体、って感じだ。
……。
胸、膨らんでるな。
そりゃそうか。女だもんな。
……。
もにゅ。
むにむに。
……。
……ハッ!
何をやってるんだ俺は!
完全に変態じゃないか。
いや、しかしこれは……。
なるほど、柔らかい。
この感触、リアル極まりない。リアルのKIWAMIだ。
むむむむう……。これは、いいものだ。
そう、俺は今、検証中なのだ。
突然、自意識が別の人間に移るなんて、突拍子もない。であれば、この現象をより深く理解するためにも、これは、今、まさに、非常に、どうしても、必要な行為なのだ!
もにゅ。
もにゅもにゅもにゅ。
むにむにむにむにむにむにむにむにむにむにむにむにむにむに。
……。
「……何やってんだ俺は……」
やるんじゃなかった。
激しい自己嫌悪に襲われてしまった。
ホントに、何でやったんだか。
……。
ぶるり。
……。
まずい。
砂漠で冷えたからか、トイレに行きたくなってしまった。
胸をちょっと揉んでみるくらいは、まあ、許容範囲だと思う。ちょっと、というほどでもなかったような気もするが、俺がそう思うんだから、そうなのだ。俺の中ではな。
でも、トイレはダメだ。
ダメのダメダメだ。
アウトだ。
この一線は、越えてはいけない。
越えたくない。
新しい扉を開きたくない。
どうしよどうしよどうしよどうしよ。
まずいまずいまずいまずいまずいまずい。
意識すればするほど、ますます我慢できない気がしてきた。
「うわーどうしよどうしよ。くっそー切り替われマッハに戻れそれか目が覚めてええええええええええ!」
思わずそう叫んだ。
そして望み通り。
俺は宿でゴロゴロしているマッハに切り替わった。
たっぷり30分ほど経ってから。
もう1度東方剣士に戻るよう念じてみると、無事、スッキリした東方剣士に戻ることができた。




