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砂漠の大迷宮探索 チェンジ、東方剣士

「何?」


 後方で東方さんを睨みながら、操作できれば……と思っていたら、急に視界が切り換わって目の前には甲虫の群れ。


「うわぁっ!」


 身体のバランスを崩し、転んでしまう。

 同時に、目の前に剣が投げ出される。


 先ほどまで東方さんが持っていた剣だ。


 なんだ?


「どういうことだ?」


 何だかよく分からないが、とにかく目の前には甲虫の群れ。左右にも骨の兵士がたくさんいるこの状況。

 ひとまず剣を拾い、あわてて立ち上がる。

 そこに、後ろから声が聞こえる。


「うす。東方さん。いったん戻るっす。そこは危ないっす」


 プリウスの声。

 俺に向かって言ってる……のか?


 慌ててプリウスたちのもとに戻りながら、状況を確認する。

 復活して骨を倒しているアン。

 ポーションを投げているおっパイン。

 甲虫を1匹ずつ仕留めているスコーピオンキング。


 そして、シュートを放ち続けているマッハに、

 自分の周りを飛びまわるアイシールド。


(もしかして、俺、東方さんになってる?)


 FBWの中でキャラチェンジをしたみたいに、東方さんになっている。


 さっき転んでしまったのは、走っている途中で急に切り換わったせいか。


 確かに東方さんを操作できればと思ったが。

 いや、今は戦闘中だ。

 考え込んでいる場合じゃない。


「プリウス殿、キノコを復活か別のペットを。

 アン殿、防御主体で。

 マッハ殿、天翔竜でファラオを挑発。時間を稼いでくれ。

 私は骨を削りつつ護衛する。立て直すぞ」


 矢継ぎ早に指示を出していく俺こと東方剣士。


「お……おう! 任せろ!」

「うっす」

「おっけ~♪ どしたの、東方さん。急に別人みたい♪」

「済まない。頭に血が上っていた。呼び戻してくれて助かった。かたじけない」


 近づいてくる骨を斬り捨てながら、返事をする。

 咄嗟のことで、東方さんのキャラにしては喋りすぎてしまった。

 マッハから急に切り換わったからな。


 しかし……マッハもそれなりにキャラ通りに行動しているように見える。どうなってるんだこれは。

 本当にただキャラチェンジして主観が、いや、操作キャラが東方さんへと切り替わっただけかのような……マッハはキャラ設定に準じたオートモードのような……ちょうどさっきまでの東方剣士みたいに……。


 やめだやめだ。

 今はファラオだ。


 少しずつ態勢を立て直しながらの戦闘は、危なげなく進行していく。


「取り巻きが減ってきた。ここから一気に行く。

 プリウス殿。攻撃にまわって頂きたい。私が自己回復しながら斬り込む。

 アン殿。騎行曲だ。宜しく頼む」

「うっす」

「まっかせて~♪」

「派手に行くぜ!」


 俺はスキル陽光を使う。自動モード東方さんは1度も使っていなかったが、斬りつけた相手から生命力を吸い取るスキルだ。

 剣から橙色の輝きが溢れ始める。

 これで多少被弾しても、戦闘を継続できる。


「これより死地に入る。いざ!」


 骨のようなアンデッドからでも、問題なくHP吸収できる便利スキル、陽光。

 これがあれば鬼に金棒、ガムはカネボウ、東方さんに陽光だ。


 群がる雑魚を無視してファラオに斬りつけながら、回復も行う。


「アン殿。諸共に」

「えっ? いいの~?」

「構わない。やってしまえ。

 もしもの時は頼むぞ。プリウス殿」

「おっパインちゃん♪ ダイナマイトボディ♪ そぉいっ♪」

「んーーー、ダイナマイッ!」


 グラサンをかけたおっパインちゃん。いい歯並びをしっかりと見せて笑いながら、俺の方へと飛んでくる。


 そう、東方剣士へと群がる無数の取り巻きたちへと。



 ズゴオオオオオン!



「やったね♪」

「お~~い東方さん! 大丈夫かー?」


 爆風と煙に包まれた中から、俺は応える。


「問題ない。止めだ」


 月光を使う。

 青い残光を曳きながら、俺はファラオを横一文字に払い抜けた。


『うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ』


 野太い悲鳴を残して、ファラオは真っ二つになり、徐々に半身がずれていきながらドサリと地に落ちる。

 そして、まるでミイラとなってからの何千年もの時が一斉に降りかかったかのように、塵と化して消えていった。

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