魅成に知られたら
「今はまだ見抜かれていないようですけど。いきなり後ろの方から、『みぃーちゃった……』とか言いながら魅成ちゃんが出てきそうで怖いですよね」
「俺は一回経験済みだしな……」
東屋から部費を受け取るとき、魅成は、まるで、悪霊のようにして俺達の後ろに現れた。
あの時は、今のように魅成に可愛げがあったりするような印象が、まるで無かったが、今となっては、彼女の事も、可愛い妹のような感覚で見ている。
「俺達がこんなにいい関係になれるなんて、思わなかった」
「あなたのおかげだと思いますよ」
マジマジと俺の事を見た見空は、恥ずかしくなるような事を言い出した。
「あなたがいなかったら、私たちは仲が悪いままで終わっていたかもしれません」
そして、見空は姿勢を正した。
「どうもありがとうございます」
ペコリと頭を下げ、その後で、俺に向けてニッ……と笑顔を向ける。
「あなたのおかげで、私も楽しませてもらってます」
見空の言うことを聞くと、よろず同好会のみんながつながっているのは、俺の力によるものであるというのだ。
自分には、そんな実感は全くない。
だが、見えないところでみんながつながり、その中心に俺がいるという事は、あることかもしれない。
そう考えているうちに、見空の顔がフルフルと震えだした。
「やっぱりダメです!」
『こんな顔を続けるのは五秒で限界!』というやつだ。
「もういいです! 伝えたいことは全部伝えましたから、もう帰ってください!」
「勝手だなぁ……」
そう言いつつも、俺は見空に言われたままに、屋上から降りていった。
学園祭が終わり、出し物の片付けは明日になる事になった。
家に帰るために、学校の校門をくぐると、そこに砂彩が立っていた。
「やっぱり忘れていると思ったわよ……」
「お前こそ忘れていたのか? 文化祭が終わったら、部室に集まる約束だったろう?」
文化祭が終わったら、よろず同好会のメンバーは、部室にあつまって成果の報告をし合う事になっていた。
だが、砂彩だけは部室に現れず、携帯に連絡をしても返答がない。
「ごめん、魅成と見空にはあとで謝っておく。だけど、こっちの話を先にして……」
鞄の中から、綺麗にたたまれたマフラーを出してきた砂彩。
「これはちょっと模様作りの練習もかねて作っていたら、調子に乗りすぎたっていうか……別にそんなつもりは全く無いっていうか……」
俺がマフラーを受け取ると、砂彩は何か言い訳じみた事を言い出した。
俺にはワケが分からない。
このマフラーに何かあるのか? 模様をしっかり作ってある、かなりデキのいいマフラーだ。
そのマフラーを広げてみた時、俺はたまらずに吹き出してしまった。
「クククッ……これは恥ずかしいだろう!」
「何よ! いらないなら返しなさいよ!」
マフラーの模様は、ハートマークがいっぱいあしらわれており、中心にはデカデカと、文字が書かれていた。
『I Love You』
などと入った。マフラーを見ると腹の底から笑いがこみ上げてきた。




