魅成とちょっと休憩
「ヨシ兄が来るって聞いていたから、楽しみにしていたんだよ」
俺は魅成をC組のクラスから連れ出した。回りを見回すと、近くに落ち着けそうな場所があるのが目に入る。
弁明、釈明など、とにかく今回の件を魅成に謝らなくてはならない。
「隣に喫茶店があるから、とりあえず、そこに行こうか……」
そしたら、魅成は俺の脇腹を摘んでギロッと俺の事を睨み上げた。
「忘れたの? あそこには変態がいるかもしれないんだよ」
あ……そうだった……
入店した瞬間に、猛スピードでスクール水着をもった架名がやってきて、魅名を奥の部屋に引きずり込んでいく光景が、今から想像できる。
「外に行けば、何かの屋台があるはずだよな」
外に出て、魅名にタイ焼きでも買ってやろう。
そう思い、踵を返したところ、魅成が俺の服の袖を引っ張った。
「あれ……」
魅成が指さす先を見る。俺と魅成は偉い人達が、東屋に連れられてメイド喫茶に入っていくのを見た。
「ここは学生達の運営する、メイド喫茶です。真面目な場所ばかりの案内でもいけないのは分かっていますし、今度はこちらにどうぞ」
偉い人達に向けてそう言う東屋。
魅成は、うんざりした顔で、それを見た。
「この中にはスクール水着で接客をしている魅成ちゃんという可愛い子がいますよ」
東屋が言うのに、魅成はビクリと体を震わせた。
「それなんだけどね~。魅成ちゃんは、スクール水着を見せたら泣いて逃げちゃったんだよね~」
東屋のフォローに入っていた奏多先輩が言い出す。
「なんだって! 楽しみにしていたのに!」
東屋が大声で言うのを聞いて、魅成は俺の後ろに隠れた。
俺の背中に顔を押しつけ、こころなしか、体がフルフル震えている……
ここで、魅成を東屋達の前に出すのは危ないな……
「逃げるぞ……魅成」
俺が言うと、魅成が俺の背中に押し付けている顔を縦に降った。
コクリと頷いたという事だ。
魅成は俺の手を、思いっきり強く握りながら、この場から離れるために、俺の手を引っ張っていった。
「なら、美色でも呼ぶか……」
後ろからそういう東屋の声が聞こえてくる。魅成がいないから、美色ちゃんを呼ぶつもりらしい。
すまん……美色ちゃん。俺達にはなにもできない……
その姿を背中にしながら、俺はその場から去っていった。
そこから外に出て、適当にタイ焼きの屋台を見つけた俺は、魅成と一緒になってベンチに座った。
「お兄ちゃんは食べないの?」
「小遣いに、余裕がないんだ」
自分の分まで買う余裕などない俺は、魅成の隣に座って、空を見上げていた。
袖をクイクイと引っ張られる。
魅成が俺の服の袖を引っ張っているのだ。
俺が魅成の方を向いたとき、いきなり口にタイ焼きを突っ込まれた。
「少しくらい食べてもいいよ」
ニヤリと笑いながら言ってくる魅成。
少しと言うが、残っている分全部を、口に放り込んできやがった……
「それじゃあ、私はそろそろもどるね」
さすがに、そろそろ東屋達も別の場所に移動をしているだろう。
魅成は、ベンチから降りると自分の出し物にところに戻っていった。




