魅成の様子
次は、魅成の様子を見に行こう。
「うわぁ……本格的……」
ネットか何かで拾ったのであろうが、昔の怪物絵巻に書かれているような幽霊妖怪の絵が思いっきり貼ってある壁であった。
その幽霊の絵の中にも、一つ一つ解説が書かれている。
おいわさん
四谷怪談物語に登場する女性の妖怪。
家を追い出されたことを怨み、数々のたたりを引き起こし、追い出した家を断絶させた。
百鬼夜行絵巻
餓鬼、猫又、河童、など、よく知られる妖怪の姿も見られる妖怪の大行進。
この行進を見ると死ぬと言われ、正月、2月子日、などの百鬼夜行の出現する日には、人々は外出を控えたのだという。
昔の怪物絵には、腹の底をかき回されるような不気味さがある。
これが、心霊に詳しい魅成の本領なのだろう。
これを見るだけでも、中に入るのはためらわれる……
だが、入ってみようか……同じ同好会のよしみだ。
入ってみると、入門管理をしているC組生徒がすぐに俺の後ろのカーテンを閉める。
真っ暗になり、音楽らしい音楽をまったくかけていない。外を歩く生徒たちの足音や声が聞こえてくるが、前は、道の形を把握するのやっとの暗さに調節されており、手探りでどこを歩けばいいか? を探らなければならない。
バンッ!
そこに、大きな破裂音が聞こえた。
俺は驚いて辺を見回す。
そうすると、クスクスとわらう声が聞こえてくる。足元にゴムの布切れみたいなものが落ちているのが見えた。
ゴム風船だ……
あの音の正体はゴム風船を、破裂させた音だったのだろう。
初っ端から、魅成はやってくれるな……
さらに進む……落ち武者がこちらを睨んでいた。
そのまま、ガァッ! といった感じで襲いかかってくるのかと思えば、俺の眼前が真っ赤に染まっていく。
いきなり視界が赤くなってしまったのに驚いた俺。
血のような赤い液体がドロドロと流れていくのを見て、呆然としている俺を見て、落ち武者は口元をニヤリとさせたのだ。
あれはガラスに赤い絵の具を流したのか……
次の部屋に向かう最中の俺は、さっきの部屋のしかけを考える。
視界が真っ赤に染まって、血の海に沈んでいくような気分になっていくのを感じ、おどろおどろしい気分になっていった。
完全に魅成に負けた。
これは、魅成に会ったら『お前の演出は最高だった』とガチ褒めするべきであろう。
前を見ると、出口が見えてくる。
これで終わりか……
そう思い、気が緩んだ俺は、一回り細く作られた道を通るために、体を横向きにして通る。
ガシッ!
そこに足をつかまれた。
冷たく、鉄のような感触の手なのでなんとも気味が悪い。
「うわぁぁあぁああ!」
俺はたまらず、自分の足を掴んでいる手を踏みつけた。
「痛いって! お兄ちゃん! 落ち着いて!」
聞き覚えのある声を聞き、俺は我にかえった。
「魅成……?」
裏側から、仕切りになっていたボードがはずされる。
まるで、鉄で出来た扉のように重い動きをして開いた扉の向こう側から、魅成が姿を現した。その魅成は涙目になり、俺のことを恨めしそうにして睨んでいた。




