砂彩の活動
砂彩は、外で活動しているらしい。
昨日に作った編みぐるみを、配っているのだという。
目がひとつで、下顎の異常に長い草食獣のような見た目の着ぐるみを着ている人を見つけた。
その着ぐるみは、小学生くらいの子供を見つけると『ガオー』といった感じに襲いかかるようにしながら近づいていく。
呆然とした顔をして、それを見つめる子供の手に、編みぐるみをチョコンと置き、手を振りながら去っていく。
その着ぐるみは、俺の事見つけると思いっきり大きく腕を降った。
何あれ……ヤバくない?
俺はその着ぐるみに背中を向けてその場から逃げ出した。
「ちょっと待ちなさい!」
着ぐるみ着ているくせに速い……
俺はその着ぐるみに、すぐに追いつかれ、首根っこを掴まれた。
「私よ私!」
着ぐるみの頭を外し、中に入っていた砂彩は顔を見せる。
「これは『バンニップ』って言ってね。オーストラリアで発見された謎の頭蓋骨が元になっているUMAよ」
そのバンニップの着ぐるみの頭を脇に置いた砂彩。
俺は学校のベンチに座りながら、砂彩と一緒に座っていた。
「ねえ、あの話を覚えている?」
あの話? 何の事なのか、よく思い出せないが、砂彩はじっ……と俺の事を見つめており、真剣な顔をしている。
ここで答えを間違えちゃいけない気がする。
砂彩が気にするような重要な事……
「マフラーの話か?」
それで、砂彩の顔が一気に明るくなった。
そうか……そういえば、楽しみにしていた感じだったしな。
顔が緩んでいるのに、気づいたのか、砂彩が顔を引き締めたあと、顔を少しそらしながら聞いた。
「それで、色は赤と白のどっちがいい?」
「赤だな」
俺は即答する。俺は赤の色が好きだ。理由は自分でも分かっている。子供の頃からの刷り込みである。
赤は、某戦隊物ではリーダーの色だし、けんだまの玉の色も赤である。
とにかく、俺は赤と白なら断然赤が好きなのだ。
だが、バンニップの着ぐるみを着たままの砂彩は、手を俺の肩に乗せ、
「白にしなさい! 白以外だめ!」
ならば、なぜ白か? 赤か? を、選ばせた……?
「うるさい! 赤は、すこしでき上がりがアレっていうか……渡すのが恥ずかしいっていうか……」
「赤か白なら、赤がいいな」
赤色のマフラーは、少しほつれているとか、そんな理由だろう。そんなぐらいだったら、俺は気にしない。
「絶対に赤だ。白は受け取らないからな」
砂彩は、俺から目をそらした。なぜか、ほんのりと、顔を赤らめている。
何? その反応?
「後悔しても知らないわよ……」
意味ありげな事を言う砂彩。
俺は、疑問に思って砂彩の事を見た。
「あの……突然すいません……」
ベンチの後ろから声が聞こえてきた。俺がそちらの方に顔を向けようとすると、それを止める声が聞こえる。
「こっちを向かないでください!」
この声は美色ちゃんか……相手が誰なのか分かったため、俺は首を回すのをやめる。ベンチに座り、まっすぐに前を向き直した。




