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黒幕と歩むデスゲーム  作者: 覇気草
一章 デスゲーム初日

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第12話 「そろそろ第一階層のボスは攻略されているだろうし、次の階層へ向かいますわ」


 目の痛みで悶絶していたフィーアが落ち着いたので、言ってやる。


「とにかく、このイベントは中止、廃止、削除! 開発者で管理者なんだから、出来ませんとは言わせない」

「……本当はプレイヤーの皆様が恐怖のどん底に落ちる様を見たかったのですが、仕方ありませんわね」

「いや流石に月一でホラー演出が起こるのはハッキリ言ってクソゲーでしょ」

「ぐっ……でもほら、レイドボスと考えれば中々いいと思いません?」

「デスゲームの最中なのに定期的に死人が出かねないイベント挟んでどうすんの。しかも魔物を多く倒したプレイヤーってことは、高レベルの人を狙い撃ちにしてる。ゲーム攻略のモチベーションがダダ下がりして、成り立たなくなるよ」

「仰る通りですわね。勿体ないですが、このイベントは無かったことにしますわ」


 フィーアは一度周囲を見渡した後、管理者用のモザイクが掛かったメニューを出して操作し、すぐに閉じた。


「これでこのイベントは起こらなくなりましたわ」

「そう。他にこういったクソイベントがあったりは?」

「……起こってからのお楽しみですわ」


 あっ、こいつ反省してねーな。

 ……まぁいいか。

 素が出てしまったし、演技演技……。


「……コホン。それで~、これからどうする~?」

「そろそろ第一階層のボスは攻略されているでしょうし、次の階層へ向かいますわ」

「レベル上げは~?」

「第二階層の方が効率がいいですわ」

「そうなんだ~」


 というわけで移動開始。他のプレイヤーに混じって土の道をのんびり歩き、転移門に到着。転移門は起動しているっぽく、門自体が淡く光っていて内側が光の膜に覆われていた。

 プレイヤーたちが続々と門をくぐっていくので、私たちも利用しようと近づく。すると私とフィーアの目の前に小さなウィンドウが現れた。

 どうやら転移の為の階層選択らしい。まだ第二階層までしかないので、表示されているのもそれだけ。

 とりあえず第二階層を押せば、転移準備に入った。


「アハト、準備はよろしくて?」

「いいよ~」

「では」


 フィーアが光の膜に向かって歩き出し、通り抜ける。それだけで階層が変わったらしく、視界の隅に『第二階層:マシナ湿地』と表示された。

 今いる場所は丘の上、目の前に広がるのはちょっとジメッとした雰囲気の草原だ。ところどころに大きめの池があって、人並みにでかいカエルのような魔物や、人並みにでかいイモリみたいな魔物、ドローン並みに大きなトンボっぽい魔物がうろついている。ただ、ここから見える街までの曲がりくねった広い道はしっかりと整備されているようで、プレイヤーたちの多くはそこを通って襲い来る魔物と戦いながら進んでいるのが見えた。


「おぉ~」


 本格的な戦い……観ているだけで楽しい気分になってくる。

 おっ、プレイヤーの一人が短い槍でトカゲを頭から串刺しにした。

 こっちはパーティーででかいカエルを倒してる!

 あっ、高度を上げた妖精の一人がトンボに拉致されて……光の粒子になって消えた。死んだか。


「見て分かっているでしょうけど、あのトンボには注意してくださいまし」

「ならフードの中に入れてほしいな~」


 対策として言ってみれば、フィーアはマントのフードを被って中に入れてくれた。これで安心。

 他のプレイヤーたちの流れに沿って移動を始め、池を避けるように作られた曲がりくねった道を進む。

 左右からはでかいカエルの『デッカエル』と、でかいトカゲの『オーイモリ』が、空中トンボ『ドヤンマ』はただ飛んでるだけ。

 だが、流石は日本人というべきか……自己中心的に我先に逃げたり誰かを突き飛ばして囮にするんじゃなくて、その場の雰囲気でなんとなーく協力して戦った。

 結果、あの妖精みたいに不注意で死んだ以外、犠牲者は出ていない。


「つまらないですわね」


 フィーアが不満げに、念の為に出していたショートソードを鞘に仕舞った。


 こいつは何を言ってるんだ? まだ第二階層だぞ。再序盤で面白い展開なんて早々起こらないだろ。

 それとも、パニックが起こって沢山の死人が出て欲しかったのか? だったらもっと道を狭くするべきだったな!


 言いたいことはあるが、周りに多くの目と耳があるので黙っておく。

 私たちは特に戦うこともなく、プレイヤーたちと一緒に無事に街に到着した。

 街の名は『バーカスタウン』。石壁に囲まれていて、分厚い鉄の門をくぐれば……下町みたいな細くて入り組んだ道に、みっちりと三階建ての建物が並んでいる。あと、景色に合わせた外見の公衆トイレや標識があった。

 NPCのホムンクルスたちはドイツの民族衣装ディアンドル風の衣装を着て、宿屋を中心に様々なお店を経営している。無表情なのに呼び込みの声だけ溌溂はつらつとしていて面白い。


「ねぇフィーア、街に着いたけどこれからどうするの~?」

「無一文ですし、まずは小銭稼ぎですわ」

「魔物でも倒すの~?」

「えぇ、でもそれだけでは効率が悪いですから、戦いながらもう一つのことをやろうと思いますわ」


 戦いながら……何をするんだろう?


 黙ってフィーアの行動を見守れば、プレイヤーたちから離れるように進み、石壁が続く街の隅に来た。流石にプレイヤーが殆どいない。

 そして、角地に立つ武器屋に躊躇なく入った。

 中は至って普通の武器屋で、様々な武器が綺麗に並んでいる。プレイヤーは誰もおらず、カウンターではホムンクルスが一人座ったままの状態で目を閉じていた。というより、明らかに居眠りしていた。

 そんな彼女の前にフィーアは移動し、咳払い一つして言った。


「ごきげんよう、店主さん」

「……ん、あっ、いらっしゃいませ。何をお求めですか?」

「採掘用のピッケルを一本、採掘用魔法袋を一つ、お貸しいただけませんか? 取れた鉱石類は全てここにお売りしますので」


 なるほどそう来たかっ! それなら――


「……いいでしょう。ピッケルと採掘用魔法袋をお貸しします。ただ担保として、その盾をこの店に置いてください」

「交渉成立ですわね」


 フィーアが盾を外してカウンターに置くと、店主はそれを持って店の奥へ消えた。


「ねぇ、採掘用魔法袋って何~?」

「読んで字の如くですわ。採掘した鉱石を自動で袋に入れてくれるもので、無限に入って重量制限を無視できますわ」

「あぁ~確かにそれがないと、採掘なんてしてられないもんね~」

「お待たせしました。約束の品です」


 話していると店主がピッケル一本と大きな革袋を持ってきて渡した。


「それでは、行って来ますわ」

「行ってらっしゃいませ」



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