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光属性が多い世界で光属性になりました  作者: はじめ


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100/110

お腹の音は冬の妖精の雪を溶かす

100話目まで書くことができました。

 ドミノレイル王国の学園に到着すると、まずは寮へ荷物を運ぶ事になった。家具は備え付けになってるらしい。楽でいいね、と思っていたら。


「お嬢様のお部屋を飾れないなんてぇぇぇ!!とっても悔しいです。くそぉぉおー!平等を掲げてるからって家具持ち込みダメなんて辛すぎるぅぅーーお嬢様にこの部屋は地味すぎるよぉぉおーーつらいぃぃぃーー」


「サシャ、、ちょっと落ち着いて?うるさくて近所迷惑になるよ。他の子達とも仲良くなりたいから大人しくして、お願い」


 部屋を見るなり叫び始めたサシャを宥めるため、サシャの袖口を掴んで「お願い」と、うるうるしてみる。効果的面でサシャは鼻血を出して「おじょうざまぁぁぁあーーずびばぜんーーー」と土下座で叫ぶ。結局うるさくなったので、無視して一緒に来た騎士たちと荷物を運ぶのに徹することにしたのだった。


 荷物を運び終わり、サシャ達はまたテイラー家へ戻るのだが、サシャがアデレイドに泣いて抱きついたので、宥めるのに時間がかかり、寮に戻るのが遅くなってしまった。部屋に戻るとふらふらとベットに体を預けた。行儀が悪いのは分かっていたが、前世の様に1人っきりの少し狭い(前世からしたらだいぶ広い部屋だが侯爵家の広さに感覚がバグってしまった)部屋に親近感を覚え、そのままベッドにダイブしてしまったのだ。


(ヤバイ……眠気が…………荷解き……し、なきゃ……)


 長旅の疲れが出てしまって意識がプツリと途切れた。早めに寝過ぎた為、朝と言うには早すぎる時間に起きてしまった。しかし、昨日は何もせずに寝てしまったから寝坊せずに準備をする時間ができて良かったとプラスに考える事にした。

 まだ太陽が昇る前で薄暗かった為、部屋の明かりをつる。そして、新しい制服を眺めた。シンプルな白いシャツに紺色のリボン、そして紺色のワンピース、白いソックスにはこの学校のエンブレムがワンポイントで付いている。靴は指定ではないが、黒か茶色、または紺と色の指定があった。鏡の前で制服を上から当ててみる。


(うわぁ〜よくよく見るとやっぱりアデル(自分)って可愛いかも?黙ってたら天使!?どんな服着ても似合いそうだよねぇ〜、、いつか前世では着れなかった可愛い服を自分でデザインして着てみたいなぁ……)


 と、シンプルなものや、ふりふりゴテゴテの物まで考えながら湯船に浸かって旅の疲れを落としていく。すると、グーーーーッっと、お腹が激しくなった。


(そうだ、昨日の夜そのまま寝ちゃったから何も食べてないや…………この時間きっと食堂は何もやってないよね?……でも、お腹空きすぎて限界かも………ちょっとだけ街に出ても良いかな?誰かに聞いてみよう、街のパン屋さんとかなら朝早くやってそうじゃない!?)


 そう思ったら行動は早かった。家から持ってきていた着心地の良い水色のワンピースに髪は前世を思い出して1人で結い上げた編み込みのハーフアップ。これで髪の毛はよっぽどな限りはボサボサにはならないであろう。

 学校のパンフレットを開き、学校の門の場所を確認した。裏口の方が街に近そうだったので、裏口を目指す事にしたが、この学園は広い。寮からでて、迷路の様な庭園を通り、演習場を通り抜け馬小屋を抜けないと裏口が見えない。ゆっくりと寮の扉を開ける。まだ早朝すぎて多分他の人は寝てると思うから泥棒の様に抜き足差し足忍足で歩いて回る。道に迷いながらも何とか外に通じる玄関を見つけた。ゆっくりと扉を開けて、歩いていく。庭園を見つけこの道で合っていると思い歩き出すが、なかなか庭園を抜け出せない。そう、アデレイドは迷子になった。


「うわぁーー…………やってしまった、、なんでここで私の方向音痴が出てしまうんだろうか………戻るにも戻れないし、、今日入学の手続きもあるのに、、お腹も空いたし…………うぅぅ、、だれかぁ、おにぃさまぁ〜助けて〜……」


 半べそをかきながら独り言をいい、お腹も空きすぎて動けなくなったアデレイドはその場にしゃがみ込んでしまった。空腹なのは久しぶりで、人はこんなにも空腹になると思考が停止するんだなと、ぼんやりと思ってぼーっと遠くを見つめると何やら人影が見えた。


(人発見!!助かったぁ……裏門までの道を教えてもらおう)


 希望が見えて小走りで人影が見えたところまで向かう。辿り着いたその場所は薬草畑だった。真っ白な髪の毛に真っ黒のローブを羽織った男の子が薬草を摘んでいた。


「あのぉ……すみません、迷子になってしまって、道を教えてもらいたいのですが、裏門までの道を教えていただけませんか?」


 …………………………………………


(えっ?聞こえなかったのかな?まさか無視?どっちだ?)


「あのぉ!すいません!!すいませーーーん」


 今度はもっと声を出して話しかけてみる。


 ………………………………………………………………


 やはり返事がない。まるでアデレイドなんて居ないかの様に黙々と薬草を摘む男の子。まさか無視されるなんて、困っていたら助けるのが人情なんじゃないの?とお腹が空いていたのもありプチンッときてしまった。


「あの、無視は良くないと思います!!急に話しかけて申し訳ないとは思いますが、こちらも大ピンチで……………………



    グーーーーーーーーーーーッ



 けたたましい音がアデレイドのお腹から鳴り響いた。怒っていた事も忘れアデレイドは恥ずかしさの余り顔を真っ赤にし、その場でお腹を抑えしゃがみ込んだ。お腹も体も腹ペコで限界を迎えていたのだ。


「………………………お腹空いてるのか?…………」


 暫くの間の後、男の子から問いかけられる。恥ずかしくて答えないでいると、肯定してるかの様に


    グゥゥゥーーーーーグッグーー


 お腹が素直に返事をした。


「ふっ…………」


 余りのタイミングの良さに男の子は我慢できずに笑ってしまった。アデレイドはと言うと、さっきまで無視されていた男の子に笑われてしまった事で、恥ずかしさがMAXになってしまった。もうパンどころでは無くなってしまった。ペコペコのお腹を押さえながらこの場からとにかく離れたくなり男の子とは逆方向に歩き出そうとした。


 すると、急に体が宙に浮き、男の子の前に移動させられる事になった。恨みがましくなって男の子を涙目でキッと睨む。男の子は髪色と同じ真っ白なまつ毛に縁取られた奥に、灰色の瞳があった。どこか冷たそうな瞳と涼やかな薄い口元、スラリと通った鼻筋、無表情でどこか浮世絵離れした雰囲気を纏っていた。


(この人、髪色が真っ白で雪みたい……ミステリアスな雰囲気も相待って、冬の妖精って言われても信じちゃうかも……)


 アデレイドは睨んでいたが、そのミステリアスさに絆されていく。だが、アデレイドのお腹は待ってくれなかった。


    グググーーーーゥゥゥギュルーー


 3度目のお腹からの抗議であった。アデレイドは顔を真っ赤にしハッと男の子を見た。すると先程の無表情から、少し柔らかな顔で笑う男の子の顔が見えた。だが、すぐに先程の無表情に戻ってしまう。


(うわーーーうわうわーーー良いものみたぁぁぁーーー!!この人笑った方が絶対に良いのに勿体無いなぁ………もう一度笑わないかな?すごい可愛いいいぃーー)


 いつもの様に頭では騒がしくしているが、表情には出さない様にアデレイドは務めた。すると、男の子が急に懐から飲み物を取り出し、アデレイドの手に握らせた。


「…………空腹が治る飲み物…………飲んで早く戻りな…………」


 話した後、ぶっきらぼうにフイッとまた薬草摘みを始める男の子。アデレイドは取り敢えず飲み物を飲んでみた。味はすごく不味かったが背に腹は変えられず一気に飲み干した。すると、お腹は満腹になったのに加え、力が漲ってきた様な感じがした。


(きっと、エナドリの上位互換みたいなドリンクだよね?これで社畜を量産してしまうのではないか不安だね、、)


「あの、飲み物ありがとうございました。とても助かりました。…………それで、、実は、貴方にとって迷惑なのはわかってるんですが、私、本当はお腹が空いていたので、街のパン屋さんに行こうとしてたんです。でも、空腹は今解決したので寮に帰ろうと思ってるんですが…………寮まで帰れなくて…………その、、迷子なんです!!お願いです!道を教えてください!!」


…………………………………………


「…………はぁ〜………」


 気まずい空気の中、男の子はめんどくさそうに息を吐いた。


(そうですよねぇ〜、、最初無視したくらいだし、こんなめんどくさそうな事に関わるのはもっと嫌だよねぇ…………)


 男の子は怒ってるのかめんどくさいのかも分からない無機質な綺麗な顔でアデレイドの手を取った。そして、2人で空に飛んだ。急な出来事にアデレイドは驚いて聞いてみた。


「もしかして…………送ってくれて……いますか?」


「…………それ以外に何があるの…………」


(えぇぇぇーー!?まさかの、送ってくれているっていうぅぅ!??言い方も声も顔もツンツンして冷たいけど、本当の本当は優しいって……こんなの惚れてまうやろ〜〜キュンだよキュン!キュンキュンですよ!…………最高なんだが?最高なんだがあ?)


 つい顔がニヤけてしまい、締まりのない顔をするアデレイドだが、惜しくも隣の男の子はアデレイドに全く興味がなかった為、残念な顔を見なくて済んだのであった。見ていたらきっと手を離して落としていただろう…………それくらい危ない顔をしていたのであった。


 そして、空を飛んでいると、いつの間にかゆっくりと朝日が昇ってきていた。朝の光が少しずつ学園と庭園を照らしていく……その風景がとっても美しかった。思わず「綺麗…………」と呟いたが、相変わらず男の子は無反応で、終始無言の飛行となった。


 やっと寮まで辿り着いた時に、お礼を言うと、男の子は興味なさげにフイっと体の向きを変えてまたすぐに飛び去っていった。アデレイドはそんな姿も可愛いねと思い、密かに男の子の姿を心の写真に焼き付けたのであった。


 その後、玄関を静かに開け、ソロリソロリと部屋まで歩いて帰ったのだが、また散々迷った挙句、何とか部屋に辿り着き、ギリギリで学校の準備に取り掛かる事になった。結局早起きしてゆっくりと着替えようとしていたのに、そんな時間は無くなったのであった。


読んでくださりありがとうございます。

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