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何者かになりたかった高校生  作者: モノクダ


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9/10

第8話 到着

あの襲撃の後、僕たちは何事もなく進んでいた。「あ、ヨウ様。ようやく見えてきましたよ」僕は馬車から身を乗り出して外を見た。

(おぉ、高い防壁。中にあるでかい城。いいねぇ、中世って感じ)大きなもんをくぐると、

まさに異世界という街が広がつていた。その感動に、僕はつい子供ぽっく「おぉ~、すごい」と無邪気に喜んでしまった。すると、父が僕の方を見て「いいか、賢いお前のことだから大丈夫だとは思うが。もめ事を起こすなよ」父がかなり真剣な顔でそういった。「うん、分かってるよ。こんな大きな街に来たの初めてだたったからちょっと舞い上がっちゃって」(そうか、ヨウロウは生まれてからアノンら以外に行ったことがない。行事や学校で忙しくなる前にどこか旅行にでも行っておけば、ヨウロウが何も言わないのをいいことに職務ばかり優先していた。これでは父親失格だ)「すまん、ヨウロウ」何故か父は涙ながらにそういった。そのまま僕たちは街を進んでいった。すると馬車を運転していた人がドアを空け、「ヒルデガルド様、到着いたしました」「あぁ、分かった」(いくら貴族とはいえ所詮は男爵だ。それにこの時期は貴族がたくさん集まる、まぁ小さい別荘みたいなもんだろう)と思っていた時期が僕にもありました。

ドアを出た僕が見たのは、綺麗な庭園や馬車が何十台も入りそうな広い広場、そして「で、でかぁ〜」家の10倍以上はあるバカでかい屋敷だ。皆と一緒に屋敷のなかにはいると大きな広間の真ん中にドラゴンの頭の剥製が置いてあった。どうやら昔父が倒したものらしい、いつもバカみたいにはしゃいでるくせにいざという時はカッコいいんだよなぁ。

父から聞いた話によると、ここは母の実家であるトラスタマル家の持つ屋敷らしい、(こんな馬鹿でかい屋敷がたくさんあるだなんてどうなってんだ。さすが連邦を支える公爵家の一家か)馬車に乗っている時に父から教えられた、このヴェール連邦はトップである連邦総裁、シャグリオル殿下が治めているがその下に、3つしかない公爵家が地方や各分野を司っている感じだ。トラスタマル家は軍事を、ミカルリア家は外交を、モルレアス家は経済を、かといって全てをその公爵家、いわゆる御三家が決めているというわけではなくそれらの家が出した案を採用するか否かを決めるのが総裁の役目であり、総裁の決定に対して御三家が全員反対すれば否決となる。そして御三家の権利は国によって保障されていない、だから常に御三家は他の御三家を蹴落とそうとする、結果それぞれが利害関係の一致でしか協力しないという政治体制が出来上がる、というのがこのヴェール連邦だなのだ。

広間で家族と別れた後僕たちはそれぞれ個室に案内された。僕が入った部屋はまさに貴族が住んでそうな部屋だった。僕は荷物を置いて、財布と小さなカバン、それと山刀だけを持ち父の部屋へ向かった。コンコンコン、「父さん入るよ」父は部屋の窓から外の景色を見おろしていた。「父さん、何してるの?」僕のその一声に父が振り返り「あぁ、ヨウロウか。街に行くのだろう、そこにある袋を持っていきなさい」小さな机の上に袋が置いてあった。「父さん、何見てたの?」すると父さんが僕を手招きするので僕も的の近くに寄った。「ヨウロウ、もし嫌じゃなければあの辺りの人たちに会いに行ってくれないか」父はメインストリートからかなり離れた通りを指さした。「あそこの人たちと知り合いなの?」僕がそう言うと少し悲しげな顔で、「あぁ、俺はこのまちの出身だからな」(そうだったのか、それなのに自分じゃなくて子どもに挨拶に行かせているということは何かあったのだろう)

「分かりましたでは行ってきます」「あぁ、気をつけてな」僕が外に出ようと広間に行くと、「ようやくいらっしゃいましたね、さぁ行きましょう」そこに立っていたのは「ローズ、なんで出待ちしてるの」外出用に服を着替えて準備万端のローズが立っていた。

「ヨウ様はこのような大きな街に行くことはなかったと聞きました、私は大きな街に行き慣れておりますのでご案内できるかと」僕はローズの横を素通りし、外に出ようとドアを空けた。「よかった、やっぱりヨウ様も私と一緒にいきたかったんですね」僕についてドアを出ようとするローズを、ガシッ、誰かに肩を掴まれた。「えっ」「ローズちゃん、貴方は私と一緒に主婦の買い物に付き合って頂戴」「フィ、フィルリース様。私はヨウ様と」グググッ(ち、力強っ)「ヨウが一人で生きたいっていてるのよ。ヨウ気をつけて行ってらっしゃい」「はーい、行ってきます」

「フィルリース様、どういうつもりですか!

せっかくヨウ様についていけたかもしれないのに!」私はじだんだを踏みながらフィルリースさんに怒った。「ローズちゃん、アンチューサやアネモネにわがままを言ったことはあるわよね」私は頷いた。「珍しくわがままを言ったからさせてやれってことですか」「別に、わがままは言うわよ。でもね、気づいてかもしれないけどヨウロウは時々子供らしくない行動をすることがあるの。考えてみて、魔物が何かも知らない上に戦い方すら知らない子どもがガルよりも早く動いてレッドワイバーンに一撃を与えたりできると思う?3歳の子供があれだけ人生を悲観して苦悩にのまれることがある?これは私の憶測なのだけど、もしかしたらヨウロウは勇者になるのかもしれないと思っているの」(さすがにフィルリース様も気づいてるか)「それと止めたことに何の関係があるんですか!」私がそう言うと、ヨウ様のほうを見て、「目よ」あまりに短い言葉に私は「目?」「そう、ヨウロウが変な行動をする時は目つきが変わるのよ」(確かに、言われてみればいつもの目つきと少し違ったような気がするけど、私以上にヨウ様を知っている)

「それじゃあ、私は着替えてくるから少し待っていてね」(今だ、この隙に逃げ出す)「爺、

ローズちゃんを抑えておいて」ガシッ「かしこまりました」「チッ」

私とフィルリース様は嗜好品を売っているお店で構成されている商店街だった。あら、これ可愛いわね。ちょっとちょっとローズちゃん、このネックレスどう?可愛くない」「そうですねぇ〜」「もう、そんなに私と行くのが嫌だったの?そうだ、ローズちゃんも何か買えば?私が買ってあげるわよ。女の子なんだからお洒落しないと」「はぁ、まぁ買ってくれるというのなら貰っておきますか、ね」私の目に入ったのは淡いピンク色の宝石がはめ込まれた十字架のネックレスだった。」「おや、そこのネックレスが気にいったかい、お嬢ちゃん」宝石店の店主が声をかけてきた。「あの、これは何という宝石なんですか」「モルガナイトだな、東の大陸で取れる宝石だ」「あら、これね。いい趣味してるじゃないローズちゃん。買ってあげようか」「いいですか?」「あいよ、銀貨8枚だ」チャラチャラ「あいよ、毎度あり」「あれ、ローズちゃんつけないの?」

「これはヨウ様にプレゼンするんです」(ほんとにこの子はヨウにべったりね)「それじゃ、銀貨8枚分くらいは荷物持ちしてもらおうかな」「あ、ずるいです。そのために買ったんですね」「そりゃ、ただで買うわけ無いでしょ」

(やっぱりこの女、出来る。私ももっと頑張らなきゃ)ドンッ、「あ、すいません。あなたはミカルリア家の次期当主、タスネルさまでわ」「ミカルリア・タスネル、確か連邦の情報機関の幹部じゃ」「シッ、久しぶり、フィルリース今は妹と御忍びできてんだよ」(へぇ、フィルリース様とタスネルさま知り合いなんだ)

「あぁ申し訳ありません、スカウトでしょうか?そちらが妹さんで」フィルリース様がタスネル様の後ろにいた女の子に目線をやった。「せっかくだから紹介しておこう、俺の妹のエルメスだ」(すごい、全身から才気が溢れてる「お初にお目にかかります。ミカルリア家の長女、ミカルリア・エルメスと言います」(この子は、強い)「うん、こんにちは。三歳なのに礼儀正しい子だね」パシッ、「えっ」「気安く頭を触らないでもらえますか」(何あの子、確かに家の格で言えば私たちは下だけど)「あらぁ、ごめんなさいね随分と撫でやすい位置だったので」「そう僻むな、フィルリース。妹は人よりも才能があるからかほかの人間を自分より下か上かでかなり態度が変わるんだ。悪いな」タスネル様とあの女の子は去っていった。

「お兄様、あの女の子。候補に入れておいて」「いいのか?あいつ多分子息じゃないぞ」「あの子、私とは別のタイプで優秀。彼女を学校に連れてこないのならグランベルト家にを取り入れる必要はない」(あのローズがここまで言うとは)「分かった、マークしておこう」

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